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利用された偽物達へ
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帝国軍は順調に作戦を進行させている。
第一作戦では侵攻していたカゲを制圧することに成功する。
その際に第二特殊型と遭遇するが、二人の適合者によりこれを葬り去った。
確実に我々は優勢に立っている。
カゲはまだ全勢力を使っていない為、油断はできない状況にある。
バーナードは帝国で作戦の指揮を執っていた。
いつもより緊張した空気が漂う。
誰もがこの戦いを終わらせる為に必死なのだろう。
「あの二人の活躍が最終的に軍の作戦に大きな影響を与えている…。」
一般兵士は力こそ持っているが、戦略や精神的な弱さが目立っている。
作戦を放棄した者もいると報告を受けている。
その時、アルムの言葉が頭をよぎった。
(本当に勝てるんですか。この戦いは…。)
確かに一般兵士だけなら厳しいかもしれない。
…しかし、やらなければならない。
力を持たない人間が活躍できるのだと…。
バーナードは機械仕掛けの手を握った。
「第二作戦を決行する。現場からの新たな情報によれば、カゲの抵抗はより強くなると予想される。まだ第一特殊型も出てきていない。我々の被害は予想より酷いが………………作戦に支障はない。飛行艇による支援と増援兵士の降下作戦をメインに行い、上級兵士を戦場に送り込む。私もここからは戦場で指揮を執る。いいな。」
バーナードの指示に従い様々な人が動き出す。
冷静に働く兵士達。
バーナードは上級兵士のマレンを呼ぶ。
「マレン。君のお陰で兵器開発は順調に進んだ。ここまで生産が間に合ったのも君のお陰だ。助かった。」
バーナードは深々と頭を下げた。
「頭を上げてバーナード。」
マレンは髪をくるくるといじっている。
バーナードは頭を上げた。
「私はね。あなたを利用しただけよ。あなたが私を利用するように私も利用しただけだから感謝なんかいらないって話。そういう関係でしょ?私達…。」
マレンはいつもどおり話した。
バーナードは息を深く吸った。
「あぁ。お前の言うとおりだな。絶対に計画を成功させるぞ。互いの望みのために…。」
月姫は激しい頭痛に襲われていた。
ベットでずっと苦しい顔をしている。
明らかにエネルギー欠乏症とは違うものだった。
「ずっと消えない…痛い…。…天姫…無事に帰ってきて…。私を一人にしないで…お願い。」
月姫は人より多く生きている。身体を乗り換えることで月姫は世界の真実を見てきたのである。
今の私は果たして昔の私と同じなのだろうか…。
記憶があるだけで別の存在なのではないのか…不安だ。
不安が積み重なる。
重い。
重い。
辛い。
使命なんて忘れて……生きたい。
仲間たちと一緒に過ごすだけでいいのにそれすら許されないの?
きっと今のアルムはあの時のアルムじゃない…………………。
別人なんだ。
(オシエ…タイ…コトガ………アル。)
ッ…何かがおかしい。
彼は勇敢だけど…あんなに強い人じゃなかった。
誰なの………………………?
なぜ今まで博士の計画は成功しなかったのだろう…?
(ワタシハワタシタチノキオクヲスコシダケシッテイル。)
今回ばかり上手く進んでいる。
彼に力を託してからカゲを倒し、敵の本拠地を知ることもできたはなぜなのだろうか。
月姫は様々なことを考えた。
そして、どうしてもカリストレートの言っていた(世界の真実)が気になっていた。
何がこんなにも引っかかるのだろうか。
人類は5回のリターンを繰り返している。
………………なぜ繰り返していることを知っている?
……引っかかる。
今まで気にしなかったことだった。
人類は5回程繰り返している?
どういうこと?
なぜ繰り返しているのにカゲになった人々が増えているのだろうか?
私達は繰り返していた…のか?
その時、カゲになり意識が消えた時のことを思い出した。
私は自分の身体を5回乗り換えている。
それは覚えている。人類の原点まで戻り、身体が寿命を迎える前に生贄になる少女の身体を転々と乗り換えてきた。
だから長女は月姫の名前しかつかない。それを伝承してきたからだ。
博士は…いつから繰り返している??
私に伝えた(繰り返す)と言う言葉は、作戦を成功させる為に身体を乗り換えることが繰り返すことではないのか??
では、何を繰り返していたの?
私はただ人類史を進んできただけだった。
戻ってなんかいない。
その時、記憶にノイズが入る。
(ワタシカラ、ワタシニツタエルコトガアル。)
何かが私のことを邪魔している。
頭痛が酷くなる。
痛い…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
………………やめろ。
じゃあなぜ私は何を戻っていると思っていたの?
(きこエテイル?)
………………痛い。
作戦を繰り返すことではなかった…。
(わたしタチハわたしヲ救いタイ。)
…………………痛い痛い痛い。
身体を乗り換えることでもない。
(私達ハあなたニ伝えてイタ。)
…………………痛い痛い痛い痛い痛い。
その時、理解してしまった。(教えられた。)
博士はただ繰り返しているんじゃない。
また記憶にノイズが入る。
(これは私ではない私の記憶)
私達が全滅してから新しい人類を創り出していたんだ。
そして、違う私が一回目の人類史を支えた。
そして、人類が全滅した。
また別の私が人類史を繰り返していた。
私は最初から繰り返していない。
この人類史を支えてきただけで博士が言っていた繰り返すということは身体を乗り換えることではなく。
本当に世界から人類を最初から創り直すことだったんだ…。
私達は偽物だった。
私達は人工的に創られた人間。
なんで思い出せなかったの…。
そして、この繰り返しの人類史はこの世代で終わる。
博士は言っていた。
世界は新たなステージに進んでしまう。
「止めないと…。」
そういうことだったんだ。
月姫は涙を流した。
「帝国軍は………私達は…この戦いは最初から儀式の生贄だったんだね。ずっと教えてくれてたんだね最初から………。」
月姫は走り出す。頭痛を我慢して走る。
仲間が危ない…きっと儀式の鍵は彼らに違いない。
廊下を走る音が永遠に聞こえるようなそんな絶望感だった。
第一作戦では侵攻していたカゲを制圧することに成功する。
その際に第二特殊型と遭遇するが、二人の適合者によりこれを葬り去った。
確実に我々は優勢に立っている。
カゲはまだ全勢力を使っていない為、油断はできない状況にある。
バーナードは帝国で作戦の指揮を執っていた。
いつもより緊張した空気が漂う。
誰もがこの戦いを終わらせる為に必死なのだろう。
「あの二人の活躍が最終的に軍の作戦に大きな影響を与えている…。」
一般兵士は力こそ持っているが、戦略や精神的な弱さが目立っている。
作戦を放棄した者もいると報告を受けている。
その時、アルムの言葉が頭をよぎった。
(本当に勝てるんですか。この戦いは…。)
確かに一般兵士だけなら厳しいかもしれない。
…しかし、やらなければならない。
力を持たない人間が活躍できるのだと…。
バーナードは機械仕掛けの手を握った。
「第二作戦を決行する。現場からの新たな情報によれば、カゲの抵抗はより強くなると予想される。まだ第一特殊型も出てきていない。我々の被害は予想より酷いが………………作戦に支障はない。飛行艇による支援と増援兵士の降下作戦をメインに行い、上級兵士を戦場に送り込む。私もここからは戦場で指揮を執る。いいな。」
バーナードの指示に従い様々な人が動き出す。
冷静に働く兵士達。
バーナードは上級兵士のマレンを呼ぶ。
「マレン。君のお陰で兵器開発は順調に進んだ。ここまで生産が間に合ったのも君のお陰だ。助かった。」
バーナードは深々と頭を下げた。
「頭を上げてバーナード。」
マレンは髪をくるくるといじっている。
バーナードは頭を上げた。
「私はね。あなたを利用しただけよ。あなたが私を利用するように私も利用しただけだから感謝なんかいらないって話。そういう関係でしょ?私達…。」
マレンはいつもどおり話した。
バーナードは息を深く吸った。
「あぁ。お前の言うとおりだな。絶対に計画を成功させるぞ。互いの望みのために…。」
月姫は激しい頭痛に襲われていた。
ベットでずっと苦しい顔をしている。
明らかにエネルギー欠乏症とは違うものだった。
「ずっと消えない…痛い…。…天姫…無事に帰ってきて…。私を一人にしないで…お願い。」
月姫は人より多く生きている。身体を乗り換えることで月姫は世界の真実を見てきたのである。
今の私は果たして昔の私と同じなのだろうか…。
記憶があるだけで別の存在なのではないのか…不安だ。
不安が積み重なる。
重い。
重い。
辛い。
使命なんて忘れて……生きたい。
仲間たちと一緒に過ごすだけでいいのにそれすら許されないの?
きっと今のアルムはあの時のアルムじゃない…………………。
別人なんだ。
(オシエ…タイ…コトガ………アル。)
ッ…何かがおかしい。
彼は勇敢だけど…あんなに強い人じゃなかった。
誰なの………………………?
なぜ今まで博士の計画は成功しなかったのだろう…?
(ワタシハワタシタチノキオクヲスコシダケシッテイル。)
今回ばかり上手く進んでいる。
彼に力を託してからカゲを倒し、敵の本拠地を知ることもできたはなぜなのだろうか。
月姫は様々なことを考えた。
そして、どうしてもカリストレートの言っていた(世界の真実)が気になっていた。
何がこんなにも引っかかるのだろうか。
人類は5回のリターンを繰り返している。
………………なぜ繰り返していることを知っている?
……引っかかる。
今まで気にしなかったことだった。
人類は5回程繰り返している?
どういうこと?
なぜ繰り返しているのにカゲになった人々が増えているのだろうか?
私達は繰り返していた…のか?
その時、カゲになり意識が消えた時のことを思い出した。
私は自分の身体を5回乗り換えている。
それは覚えている。人類の原点まで戻り、身体が寿命を迎える前に生贄になる少女の身体を転々と乗り換えてきた。
だから長女は月姫の名前しかつかない。それを伝承してきたからだ。
博士は…いつから繰り返している??
私に伝えた(繰り返す)と言う言葉は、作戦を成功させる為に身体を乗り換えることが繰り返すことではないのか??
では、何を繰り返していたの?
私はただ人類史を進んできただけだった。
戻ってなんかいない。
その時、記憶にノイズが入る。
(ワタシカラ、ワタシニツタエルコトガアル。)
何かが私のことを邪魔している。
頭痛が酷くなる。
痛い…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
………………やめろ。
じゃあなぜ私は何を戻っていると思っていたの?
(きこエテイル?)
………………痛い。
作戦を繰り返すことではなかった…。
(わたしタチハわたしヲ救いタイ。)
…………………痛い痛い痛い。
身体を乗り換えることでもない。
(私達ハあなたニ伝えてイタ。)
…………………痛い痛い痛い痛い痛い。
その時、理解してしまった。(教えられた。)
博士はただ繰り返しているんじゃない。
また記憶にノイズが入る。
(これは私ではない私の記憶)
私達が全滅してから新しい人類を創り出していたんだ。
そして、違う私が一回目の人類史を支えた。
そして、人類が全滅した。
また別の私が人類史を繰り返していた。
私は最初から繰り返していない。
この人類史を支えてきただけで博士が言っていた繰り返すということは身体を乗り換えることではなく。
本当に世界から人類を最初から創り直すことだったんだ…。
私達は偽物だった。
私達は人工的に創られた人間。
なんで思い出せなかったの…。
そして、この繰り返しの人類史はこの世代で終わる。
博士は言っていた。
世界は新たなステージに進んでしまう。
「止めないと…。」
そういうことだったんだ。
月姫は涙を流した。
「帝国軍は………私達は…この戦いは最初から儀式の生贄だったんだね。ずっと教えてくれてたんだね最初から………。」
月姫は走り出す。頭痛を我慢して走る。
仲間が危ない…きっと儀式の鍵は彼らに違いない。
廊下を走る音が永遠に聞こえるようなそんな絶望感だった。
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