五人の適合者

アオヤカ

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それぞれの情報

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アルムはどこか遠くを見ていた。
ここは確か……村で誰もいなくて…。
「アルム……アルム。」
誰かに起こされた。
寝返りを打ちながら重いまぶたを開けた。
とても懐かしい姿を見た。
本当なら村で一生暮らすつもりだった。
家族と…友達と…ずっと暮らしていくつもりだったのに…。
「母……さ…ん。」
すると…冷たい声で言われてしまった。
「違う。クロだ。寝ぼけてる暇はないよ。アルム。」
クロの声を聴くと自然に力が抜けた。
「なんだ…。何かあったのか。」
アルムはベッドから起き上がった。
「……天姫から連絡がきたんだ。やっと無線が繋がったんだ。」
アルムはその言葉に完全に眠気が覚めた。
「本当か!今すぐ繋いでくれ!」
クロは無線を渡した。
「あー。聴こえてますか?こちら天姫です。」
「あぁ。聴こえている。そっちは大丈夫か?」
天姫の声はあまり元気ではなかった。
窶れたような感じに聴こえる。
「えぇ…なんとか。……敵の狙いがわかりました。儀式の内容もわかっています。もう儀式の第一段階は終わってしまっています。すぐにでも決着をつけなければ私達の……負けです。」
天姫の情報は悪い知らせばかりだ。
一つたりともいい知らせが入ってこない。
「この先……どうするつもりだ?俺達を含めた五人が集まれば儀式は次の段階に進むんだろ?」
アルムの問いに対して天姫はしばらく考えていた。
「今がチャンスです。今、戦える適合者はアルムさんとクロ君…そして私です。お姉様は帝国にいるはずですから、五人が揃うことはありません。移動していたとしても、一週間以上はかかる距離です。つまり…これが今戦える最大の戦力です。」
確かに月姫は帝国にいる。
三人の力を合わせればカリストレートを倒せるかもしれない。でも…何か引っかかる。
「……あぁ。分かった。今すぐそっちに向かう。天姫は今どこにいる?」
「今は…塔の地下室にいます。塔の中はカゲが多くてとても動けそうにありません。塔の近くまで来たらまた連絡してください。私はもう少し、研究資料を探します。何か対策できることがあるかもしれません。それと……アルムさんの影の王の力が儀式を止める鍵です。私達姉妹を救ったように人類も救ってください。信じています……。」
天姫の声は泣きそうな声だった。きっと色々考えてしまっていたのだろう。月姫の影に隠れてきた天姫はいつも月姫の考えに従ってきた。
でも、今は違う。自分で考えて進みでいる。
辛い時間も一人では抱えきれない責任も全て背負っているのだ。
アルムはもう一度無線に声を届けた。
「俺を信じろ。だから安心して力を抜いてほしい。君には強い仲間がいる。カゲに屈したりしない。そして、平和な世界でみんなで暮らそう。何一つ怯えることない楽園を……。お互いに幸せになる未来を掴もう。それが…俺たちの旅の目的地だ。」
熱意のこもった声が無線に伝わった。
「ふふっ……ごめんなさい。あまりにもかっこよかったから笑っちゃいましたよ。頑張りましょう!…私達の未来の為に…。」
無線は切れた。しばらく余韻のようなものが続いた。
天姫の安心した声を最後に聴くことができた。
「……旅の目的地。いいと思うよ。響きがなんだがかっこいい。」
クロは穏やかな表情でそう伝えた。
アルムは突然恥ずかしくなってきて顔を赤くした。
「べべ…別にだな。……いいだろ。」
アルムは外方を向いて顔を隠した。
窓の外を見た時、無数の墓が見えた。
それはアルム達が二日程かけて作ったものだった。
「…最後にバーナードさんや村の人達に挨拶をしておこう。」
アルムはせめて墓だけは作ってあげたかったのだ。
「……そうだね。きっとバーナードさんも応援してくれているよ。」
バーナードさんの墓の前で二人は並んだ。
そして、二人は墓の前で手を合わせた。
何十秒も祈り続けた。なぜ戦いは続くのだろうか。そればかりがずっと気になる。関係ない人間も大勢いるというのに……。
「……行こう。天姫が待ってる。」
クロは転移の準備をした。
「塔の近くは敵も警戒しているはずだ。少し、離れたところに転移してくれ。」
クロは頷くと空間操作を行う。
光に包まれてアルム達はまた戦場へ戻るのだ。
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