(仮)さぁ。異世界へいらっしゃい。

やたつぎ すい

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[12]思いを忘れずに。

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目線は元通りになって
でもまだその雨の中にいて

雨が小降りになると

「結愛ちゃん」
「結愛。」
と懐かしい声がした。

私の手を取って触れてくれた。
今だけこの時間(とき)だけだ…大切に声をかける。

「おばあちゃん、おじいちゃんごめんね。」
あぁ、たぶん今の私も可愛くない顔をしてるんだろうな…
言葉が詰まる。

私ができる精一杯の笑顔で

「今までありがとう。沢山迷惑とか、かけたかと思う。でも2人を失ってから気づいたの…遅いってわかってる。でもこれだけは言わせて欲しいの。」


「「ありがとう」」

その声を聞いてくれた2人はそっと微笑んで
『死んだ人は生き返らないでも本当の死は生きているあなたが忘れてしまうこと。思い出話さえしてくれなくなること。』

『でも』
『結愛ちゃん、貴方は違ったわ。決して''忘れて''なんかいなかった。』
おばあちゃんは優しく私を抱きしめてから
涙を浮かべて右手を両手で握る。

『けれど』
『思い出すと結愛、お前は泣いてたんだろ。後悔を思い出して楽しかった、よかった思い出がかき消されてしまうかのように。』
おじいちゃんが優しく頭を撫でて、そして左手を握った。

「『結愛』」

「私の字の由来は愛を結ぶ。思いやりをこころを友情を…そして愛情を。『優しい人になりなさい』とずっと言われてきた。忘れかけてた。この名前を考えてくれたのは2人を含めた家族だって母が言ってたこと。」 頬を伝う涙はとまるということをしらない。

『そうさ。みんなで喜んで』
『一晩中考えたのよ』

『言葉は言の葉。昔の人らしいことかもしれないけれど言霊って言葉もあるくらいなんだ。だから相手を傷つける言葉を言う者はいつか己にかえってくる。それがどんな形になろうがは分からないが。』

『命名ってね。その人の人生も表すとも言われているの』

「生まれて初めての贈りもの?」
『そう。』

触れているはずの手が薄れていく。
「行っちゃうの?もう話せないの?」
『結愛。私達はいつでもそばにいるじゃないか。泣くんじゃない。』
『…。泣いてもいいけど泣くのは今週だけ。そしたらそのあとは笑顔で過ごすのよ。』

『結愛には笑顔が1番似合うんだ』『結愛ちゃんには笑顔が1番似合うのよ』と二人は同時に言って

『『じゃあね。元気でね』』

と声がして見上げた空は


''笑って''いた。
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