転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

202.選択肢5

　講師の出て行った講義室では、
幾つかのグループに分かれて、
北方戦役と出征について議論を交わしていた。

誠一は、いつのもの二人と意見を交わしていた。
「アル、どうする？ってか、これって強制だろ。
先生はああ言ったが、無理だろ。どうすんだろ」

「ヴェル、恐らくだけど、
最前線への投入はないと思うよ。
流石にそこまで、無茶ぶりはしないと思う。
後方の輜重の護衛とかその辺りに
配属される気がするよ」

「そうね、アルの言う通りだと思う。
集団戦に慣れていない私たちを投入したら、
統率が取れずに混乱するし、まあ、その辺りが
妥当だと思うわ」
シエンナは、誠一に同調した。

「もし、僕らが前線に駆り出されるような
事態になったら、本当にやばい状況だろうね。
おそらく、耐え切れずに北関は、陥落する」

「アル、嫌な事を言うなよ。
おまえが言うと本当にそうなりそうで
恐ろしいわ」
ヴェルの表情は暗かった。
誠一やシエンナのような想像を働かすことは、
得意でなかったが、誠一の考えには全幅の信頼を寄せていた。
そのため、ヴェルとしては、これからの戦役に明るい希望を
持つことはできなかった。

「アルは、結局、どうするの？
退学してでも回避する気なの？」
誠一はシエンナの質問に即答できなかった。
本音では、退学してでも戦などには
関りたくなかった。
しかし、参戦しなければ、かなり強力なペナルティを
陰に陽に国からかけられることは容易に想像できた。

「廃嫡の件もあるし、これ以上、色んな制約を
受けるのは、今後の活動に支障をきたしかねない。
だから、出征には参加するよ。
強いて言えば、消極的な参加ってことかな」

「だよな。仕方ないな」
ヴェルも誠一に同調した。

「ロジェさんやキャロリーヌさんは、
どうしているの？」
シエンナの問いにヴェルが答えた。
「少し前から、両親と共に北関にいる。
これでも一応、男爵家だからな。
家には帰っても誰もいない」

「そうなんだ。一旦、里帰りの許可が出てけど、
ヴェルは、どうするの？」
シエンナの問いにヴェルは黙して何も語らなかった。

「ヴェル、一人で家にいるのも退屈だろ。
僕の家に来なよ。
多分、ラムデールも戻っているはずだから」

「そうね、それがいいわ。
アルの家がちょっと、苦手なら、私の家でもいいわ」
二人から、二者一択の選択を押し切られ、
ヴェルは、誠一の家で数日、過ごすことになった。

ヴェルは、一旦、家に戻り、向うことにしたようで、
2人は各々、実家に向かった。

誠一は、彼等を見送り、リシェーヌの元へ向かった。