転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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331.竜公国11

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「大丈夫よ。竜無き騎士はただの人となる。よく聞く言葉でしょ」
シエンナの言葉をどう受け止めたのか、ヴェルは納得していた。
「そうか、竜を失った竜騎士は大した技量がないということか」

誠一はヴェルの言葉にシエンナの言った言葉の真意を説明しようとした。
その言葉は、竜を失った竜騎士は、騎士を廃業するか竜と共に死を
受け入れるかのいずれかであり、それほどに騎士と竜の絆が強いことを
表現していた。

シエンナが誠一の言葉を遮って続けた。
「魔術も使えるし、事前に補助魔術を展開しておけば大丈夫でしょ」

ヴェルは若干、訝しげであったが、納得したのか食事を再開した。

食後、誠一は、シエンナの部屋を訪れた。
「シエンナ、本当に大丈夫かい?」

「さあ、分からないわ。あまり考えたくないけど、
打ち所が悪ければ、重傷を負うし。
でもまあ、あの場で受けなければ、今のこの厚遇はなかったでしょうね」

確かにその通りであったが、エドワードが竜騎士だけのために
ここまでするだろうか、疑問であった。
しかも決闘は非公式であり、市井の人々の噂に上がることは
無いだろうと考えていた。

「捨て駒の扱いで、竜騎士として名誉すら剥奪されて
罪人として王の裁量の元、裁かれる。
ねえ、アル、いくらそれが執政官や宮廷魔術師たちの
政治的な総意であろうとも竜騎士たちはどう思うかしら。
エドワード陛下自身の心情にも思うところがあるのだろうけど、
実のところは、竜騎士や竜人たちに対するアピールよアピール!
俺はちゃんとおまえたちを見ていると示したいんでしょ」

シエンナの見解になるほどと感心してしまったが、
一体、いつこのような洞察力を働かせるようになったのだろうか
不思議だった。

「それとここに隔離したのは、私たちがどういう人物かを
よく観察したいんでしょ。
ヴェルトール王国の有力貴族であるエスターライヒ家長子の出奔ですから、
そりゃあ、良く見定めたいでしょうね」

明日の事を励ますつもり訪ねたが、何故か現状の分析で話が
盛り上がっていた。

一瞬、会話が途切れた。

室内を沈黙が支配した。

見つめ合う二人。

何気なく誠一はシエンナの頭を撫でた。
シエンナの顔が真っ赤になって頬を膨らませた。
「何よもう、子供じゃないんだから。
そんなことされても嬉しくないんだから」
誠一は微笑んだ。そして、シエンナの隣に座って、
右腕を彼女の左肩に回した。
「シエンナ、お願いだから、本当に危なかったら、降参して」

誠一は、シエンナの太腿の上の彼女の両手に自分の左手を添えた。
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