転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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431.集結地7

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「ファイアー」

「はああっ!五月雨討ち」
ばたばたと馬上より落ちる音がした。

馬蹄の音は小さくなっていったが、
規則正しい音は変わらずであった。

ヴェルが指を闇の方へ向けた。
「残り19、17、16」

「ファイアー」
何度目かの魔術を誠一が闇に向かって放った。

「残り6、5、4。姉貴、大丈夫か」

キャロリーヌは肩で息をしながらも
表情を崩さず次の弓を引いた。

「残り2,1,0。殲滅完了だ」

「ふううっ」
キャロリーヌは大きく息をついて、ふらついた。
慌てて誠一が彼女を支えた。

「兄貴、後方の脅威は除いたぞ。ペースを落としても。
駄目だ、まだいるぞー。アルー、魔術を放てええぇ。
ファイアボール」
ヴェルが静かな闇に向かって指を指した方向へ炎の魔術を
唱えた。

「踊れ踊れ、全てを切り刻め風の刃!エアスライサー」

炎の魔術が闇を焼き、風の魔術が闇を刻んだ。

「兄貴、振り切れない。敵は一人だ。此処でやるしかない」
馬車は速度を落として、止まった。

「思ったほど、体力も精神力も削れていないな。
神の目論見では恐怖で混乱するはずだが、
貴様らなかなか思い切ったことをする。
まあ、所詮は使い捨てのNランクだ。いくでも補充は効く」

Nランクの天啓持ち。

神々の世界では、奴隷と評されていた。
替えの利く労働力として、神々から重宝されていると
伝聞されていた。

嫌な言葉だ。誠一は闇から聞こえる言葉に反発した。
それは、転職も告発もできない社畜、生殺与奪までも握られて、
骨の髄まで使い潰せるキャラクターであった。
それは、プレーヤーにとって都合の良い駒でしかなかった。

「たった一人で俺たちを相手にするつもりかよ。
見たところ、おっさんにそこまでの実力はなさそうだけどな」
ヴェルが目の前の敵を煽った。

馬上の男はプレートメイルアーマに身を包み、
ロングソードを右手に、バックラーを左腕、
そして左手で馬の手綱を握っていた。
無論、全てが真っ黒に塗装されていた。

「ふっ、それはやってみないと分からないな」
人を食ったような態度で騎士風の男は言うだけで
その場に留まっていた。

しばらくヴェルと男の応酬が続いた。
男の態度に変化あった。突然、集中しだしていた。
「そろそろだな。時間稼ぎが必要なのは
貴様らだけでは無かったと言うことだ。
温情でNランクの雑兵を殺さなかったことを
後悔するんだな」
左指で派手な音を鳴らすと、闇から規則正しい足音が聞えた。

「高位の暗黒魔術か」
誠一が呻いた。

暗黒に身を染めて暗闇に紛れていたとはいえ、
サリナの警戒とシエンナの探知魔術を
何の技術も魔術もなく掻いくぐれるとは思えなかった。
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