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593.狩猟祭18
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馬車はソルテールに向かって動き出した。
先頭をロジェとキャロリーヌ、後方をヴェルとアミラで
周囲を警戒しならが進んだ。
馬車の御者は誠一であった。
その隣に剣豪が腰を下ろしていた。
心なしかにこにこしているようであった。
「まさかと思いますが、杖とモーニングスターを
持ってきてないでしょうね」
剣豪が不思議そうな目を誠一に向けた。
「死体と一緒に埋葬しても意味がありません。
まさしくそれは宝の持ち腐れ。
我々が有用に用いる方が理に適っています」
誠一は疑わし気な目を向けた。
杖はまだしもモーニングスターは誰が使うのか問い質したかった。
「むっ、杖もモーニングスターも逸品でござる。
世に送り出して、良き使い手の元に届いた方が良き事です」
言っていることは至極真っ当であったが、
どうにも剣豪のにやつきが気になって仕方なかった。
「そうですか。ならば、杖はシエンナ。
モーニングスターは私が受け取りましょう」
剣豪が間髪入れずに断った。
「駄目でござる。なるほど確かにシエンナは
二人とより魔術師として動いていますが、
雷の属性が強いこの杖との相性が悪いでござる。
アルフレート様は、他の武器にかまける暇があれば、
手持ちのメイスをもっと習熟なさい」
真っ当な剣豪の返しに誠一は言葉に詰まった。
「でっでは、ソルテールで売り払うのですか?」
「左様。換金して、より活用します。
使い道に関しては既に拙者、腹案がござるので、
口出し無用でござる」
ぴしゃりと剣豪は言った。
剣豪の剣幕に呆れて、誠一は追及を諦めた。
大方、女遊びにでも使うのだろうと思い
大きなため息をついた。
街道の治安は良好とは言えず、野盗の一団や
魔物の群れが偶に現れた。
しかし、誠一たちより人数が少し多い程度では、
脅威となり得なかった。
そこら辺の木で作った棍でゴブリンを
叩き潰したヴェルが大きく身体を伸ばした。
「あーつまらねえな。一々、煩わしい。
もっと何かこうひりひりするような戦いがしたいよな。
なあ、アル」
「同意を求められても困るよ。
できれば、威圧して逃げ出してくれると助かるけどね」
「アル、それは駄目でしょ。できる限り倒しておかないと。
近隣の農村に被害が及ぶわ」
シエンナの言わんとすることを誠一もヴェルも理解し、
真摯な表情で頷いた。
討伐や駆除の依頼を冒険者に出したとしても
このような時世である。冒険者たちの受理が遅くなるかもしれない。
そう考えれば、出来る限り駆除しておくのも悪くないことであった。
「まー魔石としょぼい素材かあ。それもしょうがないか。
アル、さっさと解体作業をおわらせるか」
ヴェルは解体用のナイフで手際よく魔石と
売れそうな素材を剥ぎ取り始めた。
ヴェルの解体速度、技術を見て、誠一はこの分野においては
到底敵わないなと実感した。
天候にも恵まれたソルテールまでの誠一たちの旅路は
残り僅かであった。
先頭をロジェとキャロリーヌ、後方をヴェルとアミラで
周囲を警戒しならが進んだ。
馬車の御者は誠一であった。
その隣に剣豪が腰を下ろしていた。
心なしかにこにこしているようであった。
「まさかと思いますが、杖とモーニングスターを
持ってきてないでしょうね」
剣豪が不思議そうな目を誠一に向けた。
「死体と一緒に埋葬しても意味がありません。
まさしくそれは宝の持ち腐れ。
我々が有用に用いる方が理に適っています」
誠一は疑わし気な目を向けた。
杖はまだしもモーニングスターは誰が使うのか問い質したかった。
「むっ、杖もモーニングスターも逸品でござる。
世に送り出して、良き使い手の元に届いた方が良き事です」
言っていることは至極真っ当であったが、
どうにも剣豪のにやつきが気になって仕方なかった。
「そうですか。ならば、杖はシエンナ。
モーニングスターは私が受け取りましょう」
剣豪が間髪入れずに断った。
「駄目でござる。なるほど確かにシエンナは
二人とより魔術師として動いていますが、
雷の属性が強いこの杖との相性が悪いでござる。
アルフレート様は、他の武器にかまける暇があれば、
手持ちのメイスをもっと習熟なさい」
真っ当な剣豪の返しに誠一は言葉に詰まった。
「でっでは、ソルテールで売り払うのですか?」
「左様。換金して、より活用します。
使い道に関しては既に拙者、腹案がござるので、
口出し無用でござる」
ぴしゃりと剣豪は言った。
剣豪の剣幕に呆れて、誠一は追及を諦めた。
大方、女遊びにでも使うのだろうと思い
大きなため息をついた。
街道の治安は良好とは言えず、野盗の一団や
魔物の群れが偶に現れた。
しかし、誠一たちより人数が少し多い程度では、
脅威となり得なかった。
そこら辺の木で作った棍でゴブリンを
叩き潰したヴェルが大きく身体を伸ばした。
「あーつまらねえな。一々、煩わしい。
もっと何かこうひりひりするような戦いがしたいよな。
なあ、アル」
「同意を求められても困るよ。
できれば、威圧して逃げ出してくれると助かるけどね」
「アル、それは駄目でしょ。できる限り倒しておかないと。
近隣の農村に被害が及ぶわ」
シエンナの言わんとすることを誠一もヴェルも理解し、
真摯な表情で頷いた。
討伐や駆除の依頼を冒険者に出したとしても
このような時世である。冒険者たちの受理が遅くなるかもしれない。
そう考えれば、出来る限り駆除しておくのも悪くないことであった。
「まー魔石としょぼい素材かあ。それもしょうがないか。
アル、さっさと解体作業をおわらせるか」
ヴェルは解体用のナイフで手際よく魔石と
売れそうな素材を剥ぎ取り始めた。
ヴェルの解体速度、技術を見て、誠一はこの分野においては
到底敵わないなと実感した。
天候にも恵まれたソルテールまでの誠一たちの旅路は
残り僅かであった。
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