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727. 初の戦略・戦術17
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鉄が叩き折れる音が誠一たちに聞えた。
誠一が音の方へ目を向けると、ソードブレイカーが
敵兵の剣を叩き折っていた。
ソードブレイカーによる剣の折り方が
違うような気がしたが、誠一たちに
聞き覚えのある女性の声が耳に入った。
「そうか、ジェミロ、それは随分と気前がいいな」
誠一たちを囲んでいた兵士たちがばたばたと倒れ、
囲いは解かれ始めていた。
「アルフレート君、すまない、手間取ってしまった」
「兄貴、遅いぞ」
ヴェルの顔に喜色が戻った。
誠一は安堵した。二人とも一瞬だったが、集中力を欠いた。
「ホッとするには気が早い。奴はここで捉えるぞ」
マリアンヌの一声で、誠一とヴェルは一直線に
ジェミロに向かった。
ジェミロは転送石を掲げて、
この場を去ろうと試みていた。
転送石の輝きが増し、ジェミロは眩い光に
覆われた。
「待ちやがれ」
ヴェルが絶叫した。そのヴェルを飛び越した影があった。
ジェミロは光の粒子となり飛び去るその時、
マリアンヌがその光に左手を突っこみ、何かを掴んだ。
「ぎゃっ」
光の粒子より奇声が聞えた。
粒子は消失して、地面に尻餅をつく男がいた。
「おいおい、マジかよ。あり得んのかよ。
アル、これってどういことだ?
マリが転送を阻止したってことかよ」
ヴェル同様に誠一も理解が追い付かなかった。
転送を阻止するなんてことが出来るとは思っていなかった。
「いや、分からない。一体、何がどうすれば、
転送石の転送を阻止できるんだ。こっちが知りたいよ」
誠一は目の前の出来事に目を疑った。
だから、二度も目を擦りマリアンヌの方を見た。
そこには首根っこを抑えつけられているジェミロがいた。
それが事実であった。
「待て待て、待ってくれー。
俺はジェミロじゃないんだ。
待ってくれ、殺さないでくれ」
じたばたしながら、ジェミロが
訳の分からないことを叫び出した。
「俺は奴に顔を変えられらたんだ。
姿すらもな。頼む、勘弁してくれ」
誠一たちは誰一人、動けなかった。
その場に固まり、ジェミロから目を離せなかった。
既にマリアンヌはジェミロから手を離していた。
ジェミロはどろどろに溶け出していた。
溶けながらも意識はあるようで、
必死に助けを訴えていた。
「俺は嵌められたんだぁ。やぁつぅうにぃー」
段々とその叫びは間延びしていき、
遂には言葉をとしての意味を成さない音になっていた。
既に身体は人の形を保っていなかった。
どろどろに溶けたモノは、地面に水溜まりを作って蠢いていた。
「こいつは一体、なんなんだよ」
ヴェルが呻いた。
「闇の勢力圏の高位の盗賊や暗殺者が
好んで使う技『身代わり地蔵』の一種だろうね。
ジェルミラ家はどうやら闇の勢力とも親交が
あるということかな」
ヴェルは誠一の説明を聞いて、舌打ちした。
「ちっ後味悪いな」
誠一もその通りだと思った。
ぽつりぽつりと雨が降り出しきて来た。
雨は次第に大地を濡らした。
雨水と混じった水溜まりは、己の意思によるものか
自然になのか誰にも分からなかったが、ゆっくりと
どこかへ流れ始めた。
誠一が音の方へ目を向けると、ソードブレイカーが
敵兵の剣を叩き折っていた。
ソードブレイカーによる剣の折り方が
違うような気がしたが、誠一たちに
聞き覚えのある女性の声が耳に入った。
「そうか、ジェミロ、それは随分と気前がいいな」
誠一たちを囲んでいた兵士たちがばたばたと倒れ、
囲いは解かれ始めていた。
「アルフレート君、すまない、手間取ってしまった」
「兄貴、遅いぞ」
ヴェルの顔に喜色が戻った。
誠一は安堵した。二人とも一瞬だったが、集中力を欠いた。
「ホッとするには気が早い。奴はここで捉えるぞ」
マリアンヌの一声で、誠一とヴェルは一直線に
ジェミロに向かった。
ジェミロは転送石を掲げて、
この場を去ろうと試みていた。
転送石の輝きが増し、ジェミロは眩い光に
覆われた。
「待ちやがれ」
ヴェルが絶叫した。そのヴェルを飛び越した影があった。
ジェミロは光の粒子となり飛び去るその時、
マリアンヌがその光に左手を突っこみ、何かを掴んだ。
「ぎゃっ」
光の粒子より奇声が聞えた。
粒子は消失して、地面に尻餅をつく男がいた。
「おいおい、マジかよ。あり得んのかよ。
アル、これってどういことだ?
マリが転送を阻止したってことかよ」
ヴェル同様に誠一も理解が追い付かなかった。
転送を阻止するなんてことが出来るとは思っていなかった。
「いや、分からない。一体、何がどうすれば、
転送石の転送を阻止できるんだ。こっちが知りたいよ」
誠一は目の前の出来事に目を疑った。
だから、二度も目を擦りマリアンヌの方を見た。
そこには首根っこを抑えつけられているジェミロがいた。
それが事実であった。
「待て待て、待ってくれー。
俺はジェミロじゃないんだ。
待ってくれ、殺さないでくれ」
じたばたしながら、ジェミロが
訳の分からないことを叫び出した。
「俺は奴に顔を変えられらたんだ。
姿すらもな。頼む、勘弁してくれ」
誠一たちは誰一人、動けなかった。
その場に固まり、ジェミロから目を離せなかった。
既にマリアンヌはジェミロから手を離していた。
ジェミロはどろどろに溶け出していた。
溶けながらも意識はあるようで、
必死に助けを訴えていた。
「俺は嵌められたんだぁ。やぁつぅうにぃー」
段々とその叫びは間延びしていき、
遂には言葉をとしての意味を成さない音になっていた。
既に身体は人の形を保っていなかった。
どろどろに溶けたモノは、地面に水溜まりを作って蠢いていた。
「こいつは一体、なんなんだよ」
ヴェルが呻いた。
「闇の勢力圏の高位の盗賊や暗殺者が
好んで使う技『身代わり地蔵』の一種だろうね。
ジェルミラ家はどうやら闇の勢力とも親交が
あるということかな」
ヴェルは誠一の説明を聞いて、舌打ちした。
「ちっ後味悪いな」
誠一もその通りだと思った。
ぽつりぽつりと雨が降り出しきて来た。
雨は次第に大地を濡らした。
雨水と混じった水溜まりは、己の意思によるものか
自然になのか誰にも分からなかったが、ゆっくりと
どこかへ流れ始めた。
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