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浴場
しおりを挟むスタイン先生とギルフェールドさんが来るようになって変わったのは、言葉のお勉強の中身だけじゃない。
部屋の外へ出してもらえるようになったのだ。
もちろん、好きなときに好きなところへ、というわけではない。
ギルフェールドさんの護衛付きで許可された場所ならば、ということだけど、それでも十日近く部屋に閉じ込められていた身と比べると、雲泥の差だった。
正直言うとほっとした。
言葉も境遇もわからないのに妙に親切にされるのって、なんか裏があるんじゃないか、ってどっか疑ってたりもしたんだよね。実は魔王に生け贄に捧げるために召喚したとか、政略結婚のために使おう、とか。
でも、それなら言葉はわからないほうが都合がいいだろうし、ましてや、こうやって部屋から出したりすることはないと思うの。これだけで不安がずいぶんと和らいだよ、ほんと。
特に嬉しかったのは、お風呂。
ようやくお風呂に入らせてもらえるようになりました私! ここがお風呂がある文化で助かった! ジャパニーズは風呂を与えないと戦闘力半減するからね!
浴場は私の部屋からそれほど遠くないところにあった。部屋を出てすぐの階段を降りた一階。
私の部屋が四階なのも初めて知ったよ。窓が分厚い鎧戸とカーテンで閉め切られてて、天井近くの嵌め殺しの明かり取りの小窓しかなかったから、外がまったく見えないんだよね。
電気も通ってない感じだから、個室にひとつずつバスルーム、なんて世界ではないと思ってたけど、やはり、浴室というよりは完全に共同で使う浴場だった。
けど、すごくゴージャス。たぶん、館か城か知らないけど、ここで働く人たち用のお風呂じゃなくて、もっと貴人用を使わせてもらえてるんだと思う。
壁は薔薇色、浴槽は薄紫の光沢のある石で貼られていて、ところどころに手すり代わりの金のツタを模したみたいな彫刻が置かれている。燭台には水滴よけに、複雑にカットした透明のガラスのホヤみたいなのが被せてあって、辺りに虹色の光を振りまいていた。
壁の中央には大きな金の巻き貝の彫刻、その先端からお湯が勢いよく噴き出して浴槽を満たしている。
すごいなあ。きらきらだなあ。自分の部屋とか、廊下とか、館の他の部分が石組みの壁! 鉄のかんぬき! みたいな重厚な中世っぽい感じだから、お風呂も石畳の部屋におっきな樽みたいなのがぽつん、というのを想像してたんだけど。
なんにせよ水回りが綺麗なのはありがたい。嬉しい誤算だった。
誤算といえば、入浴するのに最初、メイドさんたちが三人も四人もついてこようとしたんだよね。
私のお世話をする気満々らしく、自分たちは着衣のまま、こっちだけ脱がせようとして。
えーえ、そりゃもう抵抗しました。ここで折れてみせたら、ごねれば流されてくれる性格と思われるかもしれないし。それは困る。
いざというときのために、ノーが言える日本人でいたいの私。
駄目なものは駄目! よそはよそ、うちはうち! 風呂にメイドは不必要!
脅され、すかされ、なだめられ、それでも頑固に言い張って、最終的にはあきれられながらもしぶしぶ認めさせることができました。勝利!
少し譲歩して、メイドさんたちも一緒にお風呂に入るんなら、という姿勢も見せてみた。それなら合宿とか修学旅行とか銭湯みたいで許容範囲だし。
けど、これはメイドさんたちのほうが断固として拒否した。メイドの沽券に関わるとかそういうことなのだろう。
ということで、結局毎回、広い浴場貸し切り状態でちゃぷちゃぷしてる。
贅沢だなあ。ほんっと贅沢だよ私。このお湯たぶん、この壁の向こうで薪かなんかで沸かしたのを流し込んでんでしょう? それも私一人のために。
申し訳なくて、少し胸が痛くなる。
もったいない。せめて、他の人たちの入浴に混ぜさせてもらえればいいのに。けど、それは許されていない。
おそらく、安全上の理由で。
部屋を出るときはいつも、メイドさんたちが私の前、ギルフェールドさんが私のすぐ背後につく。
メイドさんたちは数歩離れて先に進むんだけど、ギルフェールドさんは手を伸ばせば楽に届くほど近い。背中に彼の体温がほんのり感じられる気がするくらい。
いざというとき、いつでも引き寄せられるように、だろう。
立ち位置が私の真後ろではなく少し右側なのは、右利きの彼が抜刀したときを考えてのことだと思う。
そして、浴場につくと、メイドさんたちに私を取り囲ませてから、ギルフェールドさんがまず一人で中へ入っていく。危険がないのか、いちいちチェックしてるのだ。
それを毎回毎回。
絶対に手抜きなしに。
一度、出てきたときに手を拭いていたのを見たことがあるから、きっとお湯の成分も調べてるんだと思う。
さすがにここまでされたら、スタイン先生の言うとおり、私は狙われてもおかしくない立場にいるらしいのは納得した。
私の地位が高いからなのか、なんかの象徴に奉りあげられてるからか、どういう理由かは知らないけど、とにかく私を害するか攫うかなんかしたら、得をする勢力があるかもしれないことを。
だから、無防備な状態で、他の人と一緒にするわけにはいかないんだ。
入浴の時間も毎度まちまちで。
規則正しいスケジュール組んだら狙われやすくなるからだろう。
今のところ、怖い思いは一度もしたことないし、とにかく言葉を覚えるのを第一目標に必死になってるから、行動を制限されても息苦しさを感じたりはしないけど、この状況がずっと続くのは、いろいろとまずい……かもしれない。まあ、すべては話せるようになって諸々の事情がはっきりしてから、なんだけど。
*
ちゃぽん、と天井から水滴が落ちてきて、その音ではっと物思いから覚める。
あー、とろけるわあ、ふやけるわあ。風呂万歳。
横目で壁際に視線を投げる。一休み用に使うのか、長椅子が置いてあるんだけど、今その上に載せてあるのは――砂時計。
すったもんだのあげく、一人きりでの入浴タイムを勝ち取った私に、ギルフェールドさんが持たせたもの。
要するに、この砂時計が落ちきる前に出てきなさい、ってことだ。過ぎたら、なにか異状があったとみなして踏み込んでくるらしい。心配性だなー。
まあ、言葉もろくに通じない、自分で身を守ることもできない女の警護を任されたら、そこまで神経質になる気もわかる。なので、言いつけを破るつもりはない。
でも、ね。
ぎりぎりになるまで、出るつもりもないんだなこれが。
ギルフェールドさんが護衛につくようになって、めちゃくちゃ浮かれたのがメイドさんたち。
私の前では隠そうとしてるみたいだけど、それでも隠しきれない喜びがひしひしと伝わってくるよ。
わかる、わかるよ。あれだけのイケメンだもんね。
しかも、メイドさんたち情報によると、彼は騎士の中でもかなり偉い立場の人らしい。気軽に話しかけたり出来ない、なんて言ってたもん。とどめに、独身なんですってー。そりゃ狙われるわ。
だから最近、むやみに私の部屋の掃除にやってくるメイドさんの多いこと多いこと。一目でもギルフェールドさんのご尊顔を拝みたいという魂胆なのでしょう。
今も、この浴場の外で、メイドさんたちとギルフェールドさんが私が出るのを待ってる。
待たせるのは申し訳ないけど、メイドさんたちはちょっとでも長く彼と一緒の時間を楽しみたいはず。馬に蹴られる趣味はないのだ。ぎりぎりまでお湯を楽しむよ私!
正直、ギルフェールドさんは格好いい。
ただの綺麗な美形ってだけじゃなく、実力が伴っていてむちゃくちゃ強いんだろうっていうのが素人目にもわかるから。たぶん、強い雄に惹かれる雌の本能みたいなもんなんだと思う。
だから――少し怖い気がする。
もともと、イケメンモテ男苦手なんだよね。
なんとなくああいう人種に私みたいな地味で草食で頭でっかちの非ぱーりーぴーぽーは相手にされるはずないって思ってるし。ってか、まともに視界に入れてもらえない気がするし。人間扱いされないというか?
それに、ここがどこかもこの先どうなるかも解らない状況で、下手に気持ちを揺らしたくない。
ギルフェールドさんってば、ほんとに奇跡か二次元ばりの男前で、しかもそれがなんの因果か私を護ってくれていて。
いくらイケメン苦手の私でも、うっかりしたら心を攫っていかれかねない、それだけの破壊力があるんだよあの人。
でも、だからこそ。
気をつけなきゃ。好意を持ったりしたら――きっと辛い。
だいたい向こうは、私のことなんて、単なる護衛対象としか思ってないはず。
ううん――ひょっとしたら、いや、ひょっとしなくても。
なぜか、嫌われてる気がする。
もちろん、ギルフェールドさんはそんな素振り見せたことないけどね。ただ無表情で、私とは視線が合わないだけで。なんとなくそんな気がする、って程度なんだけど。
でもまあ、嫌われても仕方ないのかもしれないなあ。
あんな強くて偉い人が、どんな事情があれ、こんな小娘の部屋の前で立ってるだけのお仕事させられてるなんて。
怒りまくっててもおかしくないと思うし。って、私がさせてるわけじゃないんだけど。
せめて、せいぜい迷惑かけないようにしよう。私が出来るのはそれくらいだし――と何気なく砂時計に目をやって――頭から血の気が引いた気がした。
やばい! 砂、落ちきってる!
迷惑かけないように、って誓ったばかりじゃんか! なにしてんの私!
ばしゃっと水を蹴立てて立ち上がる。乱暴に浴槽から飛びだそうとして、目測を誤って縁に思い切り脛をぶつけた。
痛い。目から火花出そう。けど、必死で声を押し殺す。
こんなところで悲鳴上げたら、それこそギルフェールドさんが飛び込んできちゃうよ。
足を引きずりながら浴場と脱衣場のつなぎの間を抜け、服とタオルが置いてある棚へと到着すると、なんとなく扉の向こうがざわざわしている雰囲気が伝わってきた。
いかにも私が時間になっても出てこないから、どうしよう、踏み込もうか、って相談してる感じ。
慌てて大声を上げた。
遅くなってごめんなさい、今から出ます、って。
とたんによかったと安堵した声が聞こえてくる。私もよかったよ。慌てて身体を拭いて服を着て、タオルなど手荷物を籠に詰めると扉を開けて飛び出した。
『遅い、なった。ごめんなさい』
なんか、冷え冷えと冷気が漂ってくるようなギルフェールドさんの前に立って頭を下げる。
彼は無表情なまま頷いた。
わかった、ということだろうか。眉間の皺は変わらないけど、冷気はほんの少しだけ和らいだ気がする。
少しほっとして気が抜けた。そのとたん――脛の痛みがぶり返してきた。
これまで忘れてたのに。どうせなら、部屋にたどり着くまで忘れさせててて欲しかったなあ。
部屋に戻ろうと笑いさざめくメイドさんたちの後を、唇を噛みながらついていこうとする。
と。
不意に、後ろから声がかかった。
『どうした?』
あ、違う。『どうした』の丁寧語だなこれ。『どうしました?』だ。
私は振り返る。
すると、冷たいほど澄んだ青い瞳が、なにかを見透かすかのようにじっとこちらを見ていた。
『足をどうなさいました?』
あ、ばれてる。
『足、痛い。少し』
えーと。
「ぶつける」という単語がわからなかったので、『風呂、急ぐ』と言った後、片手で足をぶつ真似をしてみせる。どうやら、それで通じたようだった。
『痛みますか?』
『少し。痛む、ます。少し。ちょっと』
ほんの少ししか痛くないよ、そう言ったつもりだったのに。
ギルフェールドさんは小さく頷くと、不意に私に一歩踏み込んだ。
え。
近い、近い、と慌てているうちに、ギルフェールドさんは屈むと私の膝裏と背中に手を回した。そのまま軽々と抱き上げられる。
「うえっ!?」
思わす変な声が出た。
これって、いわゆるお姫様だっこってヤツ!? まさか、生きてるうちに自分がされることがあるだなんて思わなかったよ!
反射的に手足をばたつかせようとして――思いとどまった。こんなとこで暴れたりしたら、かえってギルフェールドさんに迷惑だ。
『降ろす? してください』
『降ろしません』
きっぱりと却下された。
その後呟いたのは、たぶん、この方が早いとか、これ以上痛めてはいけないとか、そんな意味だろう。
そうだね。
護衛の立場としては、部屋から部屋への移動なんて無防備な状態、一刻でも短い方がいいだろうし。私が痛めた足でひょこひょこ階段を上るのを気長に見守ってる暇なんてないんだろう。
そう考えて、猛烈にこみ上げる羞恥心に蓋をする。
無だ無。心も、体重も。
けど。
手間をかけさせたことの詫びはきっちりといれねばならない。
私はうつむいたまま、小声でギルフェールドさんに謝った
『ごめんなさい。ありがとう』
低い声で返事が聞こえる。気にするなとかどういたしまして、の類いの。
そして続く沈黙。
黙っていると、なんか、ギルフェールドさんの腕の感触とか、息づかいとかがやたらと気になり始める。
あったかいなあ。腕、すごいがっしりしてるし。私なんかなんでもないくらい軽そう。
それから……それから……あああ、なんか恥ずかしい!
間が持たない!
これまで異性とこんな接近したことない処女だからね!
頭爆発しそう。顔から火出る。
「……えーと、あの」
沈黙が怖くて、無意識のうちに口を開いていた。
『ごめん、思います。本当』
『謝罪はいらない――』
『だって』
つい、ぽろりと言葉がこぼれる。
『あなた、嫌い。私』
ギルフェールドさんの腕がわずかにぴくりと動いたのが伝わって、初めて自分がなにを言ったのかに気づく。
あ、やば。ぶっちゃけたわ。
かーっと血が上る。慌ててさらに言葉を紡いだ。恥の上塗りだ。
『あなた、強い。賢い。……私、弱い。私、護る、おもしろい、ない。あなた、仕事、おもしろいない。あなた、私、嫌い。顔、怖い。いつも。笑う、ない』
口早にそう続けて、そーっと顔を上げる。
すると。
いつも無表情なギルフェールドさんは、眉をひそめていた。
あらら。怒らせちゃった?
さらにテンパって、謝ろうとした。それを、視線でギルフォードさんが止める。
『悪かった』
はい?
思わず目を見開く。
そんな私に、ギルフェールドさんがゆっくりと語ったことは、たぶん次のような意味のことだと思う。
ギルフェールドさんは別に私のことは嫌ってはいないらしい。
ただ、いきなり命じられた任務だからつまらないのも本当で、ただ淡々と仕事をこなしていた、と。
不愉快にさせたのなら謝る、と、頭を下げられた。
えー。頭下げられても困るんですが。
『謝る、ない――』
あ、違うな。
『謝罪はいらない』、って言えばいいんだっけ。
私はギルフェールドさんの顔を見た。
「謝ってほしいわけじゃなくて、ちょっと表情を和らげて欲しいだけなんですが。えーと」
『顔、怖い、しない。笑う。笑え、です』
ギルフェールドさんは一瞬虚をつかれた表情になった。
そして。
『わかった』
そういって、わずかに表情を柔らかくしてくれた。
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