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田舎

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現パロ(レオルオ目線)

中編

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ホンジョウ バンリ。
どんな漢字を書くのか、そもそも本当の名前かどうかも分からない。

ただあの夜、レオルオは酷く焦ってた。
楽しかったはずの飲み会だった。それが泥酔し店内で眠りこけていたところを起こされてみれば、全員が姿を消していたのだ。
そして、目の前にいたのはオーナーを名乗る男が一人。

『君のお友達が、店の備品を壊したあと逃げ帰った』

BARの出入り口に飾られていた大きくて派手な柄をした花瓶。それは亡き陶芸家の作品で、いまになって少しずつ希少価値が上がっていたことも含め、冷静にレオルオへ事情を説明をした。
そして聞かれたのは連絡先と住所、大学とサークル名だ。

―――とんでもないことになってしまった。
混乱か酔いからか、うまく頭が回らない。そんなレオルオに追い打ちをかけるように男は「証拠なら店の防犯カメラに残っているし、そもそも飲食代も未払いだ」と話す。

「ま、待って…くださ、い」

(とにかく、せんぱいにれんらく…おれの、スマホは?ポケットに、ない…テーブルの、上…?)

くらくらする視界を必死に探すが、そもそも鞄が見当たらない。
所詮は酔っ払いだ。レオルオの姿を見かね、「大事にしたくないけど警察を呼ぼうか」と提案する店長。

「や、っ、」

それだけは待ってください!と泣きつくが、他にどうしようもない。
青ざめ自然と涙がこぼれ落ちそうになった時、


「なにかあったのか?」


割って入ってきたのは、きっちりとスーツを着こなしたレオルオより年上の男。
誰かは知らない。
けれど、くしゃりと顔をゆがめているレオルオと目が合った瞬間、男はふっと優しく微笑んでくれた。


レオルオには、それが天からの助けに見えてしまった。


今思えば、親に知られようが借金をしたほうがマシだった。



*  *  *





「あっ…んっ、んっ」

軽々とバンリに抱えられ降ろされたベッドの上で、レオルオは組み敷かれていた。

繰り返されるのは荒々しく、呼吸を奪うような口づけ。
破るように強引に脱がされた服。
そして、まだ数回しか男を受け入れた事がないのにすっかり快楽を覚え、入口をひくひくさせている後孔。

「すっかり期待しているな?」

そこを指先でクリクリと撫でされると焦らされているみたいで、ますます羞恥心を煽られた。

「いやだ、そんな風に…触らない、でっ」
「なら反抗は諦めろ」

すでに反抗なんてしちゃいない。
クスッと笑うバンリの前にあるのは俺の、恥ずかしがって顔を覆い隠しているだけの弱々しい姿だけだ。

「っ、お願いだから…、電気消してくださいっ」
「ダメだ。お前が性欲に負けて浮気していないか、まだ確認できていない」
「~~~~っ、てない!そんなひと、いない!」

明るい場所で正面を向き合うなんて嫌だ、無理だ。
レオルオはつい先週まで未経験だったのだ。風俗どころかAVもまともに見たことがない。同性のものであっても性的に見られる、見るといった行為は耐えられなかった。

「ひ、やだぁ、ゆるして、ください…」
「今夜はだいぶ反抗的だな?やましいことがあるのか」
「っ、ん、や…っ、やだ…、…バンリさん、だけだからぁっ…っ」

ぽろぽろと流れ落ちる涙をバンリは舐めて拭う。
本当に誰ともしていない。
バンリとしか、ヤったことはない。
涙声で嘘偽りのない事実を必死で訴えれば、バンリは証拠を見せろと言う。

「浮気をしていないなら簡単だろ?」
「…………っ」

ぐっと下唇を嚙み、震える両足をゆっくり自分の意志で開く。
けれどそれじゃ満足しなかったらしい。
バンリは羞恥で震える姿を鼻で笑い、もっとはしたなく開くよう要求してきた。

(っ、この……変態野郎っ!!)

いくら心の中で罵っても我慢するしかない。
顔を覆っていた腕を解くと自分の足を支え、望み通り大きく開いてやった。

「ちゃんとっ、み、見て確かめて…っ、なにも、してないから」

晒されたのはバンリに与えられたキスマークが消えた白い太ももと、レオルオの熱を持ち勃ち上がった男根。
消えそうになる声を紡いでなんとか言葉にする姿を、バンリがどう思っているかなんて知りたくもない。
ただレオルオからの「見て」の哀願を叶えるようにバンリは何もせずじーっと見ている。

(もう、いやだ!はやく……っ、終われよっ)

素っ裸でぶるぶると震える小動物と、それを舌舐めずりしながら眺める捕食者。

「怯えなくていい。それにレオのここは、ちゃんと分かってるぞ?」
「んんっ、っ♡」

撫でないで、もっとちゃんと触ってくれ♡
そんなことを訴えるように蜜を溢れ出させる男根と、竿を下から上へ優しく撫でられると期待から揺れる腰。

「いつもより念入りに可愛がってやるよ。お前が泣いて謝るくらいに」
「ひ、んっ」

つぷっ♡♡と簡単に入る一本目の指。
やだっ、……!♡こんなこと、いやなはずなのにっ♡♡
まだ数回とはいえバンリから与えられた暴力的な快楽は、確実にレオルオの性感帯を躾け蝕んでいた。

「んっ、…ゃっ、っ♡」
「いやじゃないだろ?お前のちんこは期待して、こんなに涎をたらしてる」
「ごめっ、なさ……やだ、ぬいてっ……♡♡」

もう何度も謝ってるし、恐怖と羞恥心で泣きもしている。
これ以上どんな無様な表情を見せろというんだ。
鬼畜に囁く声が不快で、両腕で覆い隠していても正面だけは向けていた頭を目線ごと背けた。

だが、それがいけなかった。

「ひっ、!?いや、っ、い゛ーーーひ、あぁっ!♡♡」

ぐ、ぬぷぷ♡♡
いくらローションがあるとはいえ勢いよく2本目を挿れられるのは苦しい。けれどレオルオの前立腺の場所をバンリは覚えている。
ぐちゃぐちゃ♡♡と乱暴でも的確にいいところを刺激されるうちに苦しげな声は甘く変化していく。

「あ゛、あぁあーっ♡♡ん゛、んっ、い゛、ん♡」
「少しほぐせばもうトロトロだ。さぁ、どこで浮気していた?」
「~~~し、してな、いっ、浮気なんか♡っあ゛、しょこぉ、っ、グリグリしなっ、あぁ~~あ、あっ♡♡」

ぐちゅ…♡♡ごりゅ、ごりゅ…♡♡
まともな会話なんてできやしない。すでに覆っていた腕はバンリに引き剥がされ、あんなに嫌がっていた明るい場所で好き勝手犯されているというのに、それを嫌だと喚くこともない。

けれど少しだけ物足りない…気持ち良くてどうしようもないのに、指で達したくない…。


「あ、っ、…い、れてっ、…♡、バンリさ、んのが、欲しいっ」

バンリは強請られる行為を好む。
どこになにを、と言わないのがせめてもの矜持だったが、こんな無様な格好を男とは呼ばない。
それでも、指だけでイかさることがレオルオは大嫌いだった。

「逃げた仕置きだ。尻だけでイかせまくって、俺の声しか届かなくなった時に挿れてやる」
「や、だぁ、こわれ゛、るっ♡♡そんなの、やだっ、っ、指いや、っ~あ゛、あぁあーー!♡♡」
「一回目、だな」
「あ、あっ、♡♡」

だめ♡♡やだ…無理、いきたくない…っ♡
尻だけでイクと前は萎えない。
とろっとした精液だけが男根からでて、敏感な奥は甘く痙攣しながらバンリの指を締め付けている。

「休むな。まだイけるだろ?」
「ん、♡っ、…んぁ、や、やだっ、っ、あ゛…♡♡」

やめて、ちゃんと反省したから解放してほしい…。
ようやく視線をバンリに向ければ満足そうな、そして愛おしい存在を見つめるよう目を細める男の姿がうつった。

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