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(一章)小ネタ
騎士の裏事情
ーーーゼアロンさんたちが城でシオウに会わなかった理由。
「やっぱり、シオウくんには一言あったほうがよかったのでは?」
現場復帰のために用意された訓練所で、誰かの呟きが聞こえた。
シオウが部屋で塞ぎ込んでいるという情報は、すでに療養を終えた一部の騎士たちのもとにも届いていた。
「でも行ってどうなるの?僕らの顔なんて見たくないかも」
「それは、会ってみないと分からないかと。ねぇ?」
「……」
シオウはマクミラン教会の何者かに命を狙われ、助けを求めてきた。
その少年を騎士たちは、命の恩人としてだけでなく、彼の加護もあってシュヴァル国へ連れ帰ったのだ。
――――脱国は、とくに重罪であると知った上での判断だった。
言葉の通じないシオウを騙す形になったのは不本意ではある。しかし言い訳をするつもりもない。
シオウは、シュヴァル城を見た時は動揺していた。
明るく取り繕っていたが……。故郷に戻れなくなったうえ、騎士らの判断で意図せず罪人となってしまったのだ。
だから、部屋で塞ぎ込むのは当然だろう。
「ま、命を狙われて怯えて生きるよりは、まだマシだろ」
「ゴルディ、それは我々の勝手な判断でしょう。それに、シオウ様にはそこまで伝わってない」
「ですね」
ここまで連れてくると決めたのは、ゼアロルドたち全員だ。
シュヴァル国ならば法的な庇護を受けられる。
これがシオウが望んだ助けではなくとも、笑顔を消して受け入れずとも、長い時間をかけて誠意で償おうと決めていた。
「はぁー。おい、ゼアロルド。お前も綺麗事ばっか言ってねぇで行ってやれよ」
「ああ。頃合いを見て、シオウ様への謝罪と説明には私が伺う予定だ。今は少しでも彼の心を休めることを優先させたい」
「お前もここで様付けかよ。嫌われることにビビってんのか?」
「……シオウからの非難は、甘んじて受ける」
“ゼアロン、ゼアロン”と、無邪気に何度も呼ばれた――
信じていた相手に騙されて、傷つかないはずがない。
彼の気を悪くさせず、部屋で少しでも心を休めてくれたなら、と願うばかりだった。
全員が肩を落とす中、
バタバタと一人のメイドが血相を変えて訓練所に駆け込んできた。
「た、大変です!! 神子が、シオウ様が―――――!!」
その瞬間、場にピリッとした緊張が走った。
(この頃シオウは、ドラン青果店でアルバイトしてました)
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