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2章 脇役と不死の王龍
擬似家族②
絵本を読み終えて、めでたしめでたし。
「……ねぇ、ママ」
「ん?」
「ママは、言えないことが多い… そんな我を役に立たないと思っておるか?」
「ええ!?そんなことない!」
なんてこと言うんだ!?
びっくりして、即答でユリアの言葉を否定した。
ま、まぁ…確かに聞きたいことは山ほどあるよ?
だけど、俺には制約とか制限とか分かんないけど、全部をユリアに聞いてしまうと情報だって偏ってしまう気がした。
「むっ、我を信じないのか?」
「信じるよ!けどさ、俺の知りたいことってすっごく難しいことばっかりでしょ?教えてもらったところで俺が混乱するオチだよ」
マクミランにいた頃、ちゃんと理解できてた真里亜が偉いよ、マジで。
「あと俺がみんなの言葉を理解できないのって、ユリアのせいでも誰のせいでもないし」
驚くユリアの顔を見て、「当たり前だよ」って笑う。
ふと思い出した、オルベリオンさんの『運だった。シオウはいつ死んでもおかしくなかった』の言葉。
ーーーーそうだよ。俺は、脇役だ。
主人公なんて器じゃないって分かってるし、度胸もゼロ。
誰かの先頭に立って「みんなで頑張ろう!」って率先できるようなタイプでもない。
だけど不貞腐れて出来ないままでいるのは、もっと嫌だ。
「最初の声は上げられなくたって…、みんなと一緒なら大岩だって動かせるよ」
「あの貧弱な騎士たちにか?」
「仲間だよ。それにユリアも」
言ってから俺は、「あ!」と閃いた。
「ユリア。俺と一緒に勉強しない?」って提案をして。
「勉強?大精霊の我にそんなもの必要などない」
「必要だし大事なことだ。特に言葉は遣いを直さないと、ユリアが友達や将来の恋人を作るのに困るだろ?」
「ふん!我に友達など必要ない!結婚もママとする!!」
「えぇ!?」
女の子に見つめられてのプロポーズは、二回目だ。
一度目は真里亜。
で、二回目が今日なんて――――光栄だなぁ。
「ふふ。だったら俺は、俺以上にユリアを大切にしてくれる人を探さないとだ」
「む゛ぅう~~~!!我は冗談など言っておらぬ!」
「あ、そうだ!カイルって男の子が俺の友達にいるんだ。一緒に遊んであげてよ」
「いーやーじゃ!ただのニンゲンなどに我を楽しませられるものか!」
「コラコラ、遊ぶ前から否定しない」
ね?と、シオウが微笑めば、ユリアは可愛らしい顔をちょっとだけ悩ます。
そのとき、ガチャっと部屋の扉が開いた。
「あ、おかえりなさい」
「おかえり、パパ!」
シオウの膝の上を降りて、真っ先にぎゅっとゼアロルドに飛びつくユリア。
そして、優しく頭を撫でるゼアロンさんの姿。
「ただいま………えっと、いい子だったかい?」
「うむ!パパは我にこの絵本を読むのじゃ!」
ユリアが手にとっているのは、まだ俺には難しい絵本だった。
あはは…。まぁ慣れないよね、ゼアロンさんの気持ちは分かるよ。
だけど、追い出そうとしたり邪険に扱ったりしない。
なにより、「ユリア」の名付け親はゼアロンさんなんだ。
こうして、今夜も色んな話をして
二台のベッドを合わせて作った大きな寝床の真ん中で、ユリアが嬉しそうに転がっていた。
いつもの、ゼアロンさんユリア……俺の並び。
ユリアは嬉しそうにパパ……んん゛っ、本当に恥ずかしいんだけどゼアロンさんに引っ付いている。
「シオウ、君も」
「………!」
君もおいで?と手を伸ばされると、失笑しちゃいそうになる。
(だって、ゼアロンさんには想い人がいるのに…)
よくはないと分かってても断れない雰囲気だ……。
ゼアロンさんは、あれだもんね。すっごく空気を読むタイプだから……ユリアのわがままに答えてあげなきゃ。
「ん゛、んんっ、… しょうがないなぁ」
分かってて、やっぱり俺は、ずるいんだ。
ユリアの無邪気さに甘えるように、寄り添って目を閉じる。
「おやすみ」
やさしく重なる、夜の挨拶。
とてつもない安心感があった。
「……ねぇ、ママ」
「ん?」
「ママは、言えないことが多い… そんな我を役に立たないと思っておるか?」
「ええ!?そんなことない!」
なんてこと言うんだ!?
びっくりして、即答でユリアの言葉を否定した。
ま、まぁ…確かに聞きたいことは山ほどあるよ?
だけど、俺には制約とか制限とか分かんないけど、全部をユリアに聞いてしまうと情報だって偏ってしまう気がした。
「むっ、我を信じないのか?」
「信じるよ!けどさ、俺の知りたいことってすっごく難しいことばっかりでしょ?教えてもらったところで俺が混乱するオチだよ」
マクミランにいた頃、ちゃんと理解できてた真里亜が偉いよ、マジで。
「あと俺がみんなの言葉を理解できないのって、ユリアのせいでも誰のせいでもないし」
驚くユリアの顔を見て、「当たり前だよ」って笑う。
ふと思い出した、オルベリオンさんの『運だった。シオウはいつ死んでもおかしくなかった』の言葉。
ーーーーそうだよ。俺は、脇役だ。
主人公なんて器じゃないって分かってるし、度胸もゼロ。
誰かの先頭に立って「みんなで頑張ろう!」って率先できるようなタイプでもない。
だけど不貞腐れて出来ないままでいるのは、もっと嫌だ。
「最初の声は上げられなくたって…、みんなと一緒なら大岩だって動かせるよ」
「あの貧弱な騎士たちにか?」
「仲間だよ。それにユリアも」
言ってから俺は、「あ!」と閃いた。
「ユリア。俺と一緒に勉強しない?」って提案をして。
「勉強?大精霊の我にそんなもの必要などない」
「必要だし大事なことだ。特に言葉は遣いを直さないと、ユリアが友達や将来の恋人を作るのに困るだろ?」
「ふん!我に友達など必要ない!結婚もママとする!!」
「えぇ!?」
女の子に見つめられてのプロポーズは、二回目だ。
一度目は真里亜。
で、二回目が今日なんて――――光栄だなぁ。
「ふふ。だったら俺は、俺以上にユリアを大切にしてくれる人を探さないとだ」
「む゛ぅう~~~!!我は冗談など言っておらぬ!」
「あ、そうだ!カイルって男の子が俺の友達にいるんだ。一緒に遊んであげてよ」
「いーやーじゃ!ただのニンゲンなどに我を楽しませられるものか!」
「コラコラ、遊ぶ前から否定しない」
ね?と、シオウが微笑めば、ユリアは可愛らしい顔をちょっとだけ悩ます。
そのとき、ガチャっと部屋の扉が開いた。
「あ、おかえりなさい」
「おかえり、パパ!」
シオウの膝の上を降りて、真っ先にぎゅっとゼアロルドに飛びつくユリア。
そして、優しく頭を撫でるゼアロンさんの姿。
「ただいま………えっと、いい子だったかい?」
「うむ!パパは我にこの絵本を読むのじゃ!」
ユリアが手にとっているのは、まだ俺には難しい絵本だった。
あはは…。まぁ慣れないよね、ゼアロンさんの気持ちは分かるよ。
だけど、追い出そうとしたり邪険に扱ったりしない。
なにより、「ユリア」の名付け親はゼアロンさんなんだ。
こうして、今夜も色んな話をして
二台のベッドを合わせて作った大きな寝床の真ん中で、ユリアが嬉しそうに転がっていた。
いつもの、ゼアロンさんユリア……俺の並び。
ユリアは嬉しそうにパパ……んん゛っ、本当に恥ずかしいんだけどゼアロンさんに引っ付いている。
「シオウ、君も」
「………!」
君もおいで?と手を伸ばされると、失笑しちゃいそうになる。
(だって、ゼアロンさんには想い人がいるのに…)
よくはないと分かってても断れない雰囲気だ……。
ゼアロンさんは、あれだもんね。すっごく空気を読むタイプだから……ユリアのわがままに答えてあげなきゃ。
「ん゛、んんっ、… しょうがないなぁ」
分かってて、やっぱり俺は、ずるいんだ。
ユリアの無邪気さに甘えるように、寄り添って目を閉じる。
「おやすみ」
やさしく重なる、夜の挨拶。
とてつもない安心感があった。
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