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2章 脇役と不死の王龍
脇役、指名手配される
翌朝。
二日酔いの魔法使いオズグを連れたシオウ、そしてユリアは、掲示板の前で固まっていた。
「う、嘘だろ……」
「最悪じゃ……」
目の前に貼られていたのは、見覚えのある白黒絵の顔ぶれが描かれた一枚の張り紙。
“シュヴァル城に侵入したマクミランの魔法使いが地下牢から脱獄。二人の人質を連れ逃亡中――”
……そう。
俺たちは、指名手配されてしまった。
由々しき問題はそれだけじゃない。
もっと聞き捨てならない言葉が続いた。
「ごめんなユリア。俺、文字が読めないんだ……だからもう一回、頼む」
「うむ。凶悪犯罪の速報――昨日、マクミランの魔法使いオズグリュスターが王城の地下牢から脱獄。幼い少女と、推定16~18歳の少年を連れて今も逃亡しており、」
「「おい誰だ!?こんな手配書を作ったヤツは!!」」
仲良くハモったシオウとオズグの叫び声が、朝の通りに響いた。
……やっぱり脱獄って罪に問われるんだよな、う゛ぅ~ん…。
掲示板の前で、俺は頭を抱えた。
それに大変申し訳ない。
俺のせいでオズグさんは脱獄犯だけじゃなく、誘拐犯の汚名まで着せられてしまった。
これについてはあとからでも弁明の余地ってあるかな?
俺も罪に問われそうだけど……。
「ふむ。これでオズグと行動を共にする必要はなくなったのじゃ。せめてもの慈悲として、我が今すぐ地下牢へ転移させてやろう」
「ううっ、精霊様……お手を煩わせてしまい申し訳ございません」
「ちょ、待ってユリア!?オズさんも!?」
それに、ちょっと周りを見てほしい!
周囲を見渡せば、人々が掲示板を眺めている。
なのに誰も、俺たちを疑う様子がない。
「ね?手配書を見てるのに、誰もこっちに気づいてないんだ」
「ふむ…。言われてみれば、確かに」
「それに昨夜の酒場じゃあ、あれほどママが『オズさん!』って呼んでおったのに……我らが宿を出て行っても誰も怪しまなかったわ」
俺たちは――怪しまれていない。
オズグ=リュスター。
マクミランの自称「天才魔法使い」。現在、凶悪犯として指名手配中。
シオウ。
人質その一。異世界から来た普通の少年。(ただし脱獄幇助罪に問われる可能性あり)
ユリア。
人質その二。幼女の姿をした上位精霊。オルベリオンの眷属。
――どう見ても怪しいのに?
「ねぇ、あそこの三人組」
「ふふ。兄弟かしら?揃って首を傾げてるなんて仲がいいわね」
まさか、自分たちが微笑ましい観光客として見られているとは、誰も気づかなかった。
……指名手配犯の逃亡劇は、誰にも怪しまれず幕を開けた。
二日酔いの魔法使いオズグを連れたシオウ、そしてユリアは、掲示板の前で固まっていた。
「う、嘘だろ……」
「最悪じゃ……」
目の前に貼られていたのは、見覚えのある白黒絵の顔ぶれが描かれた一枚の張り紙。
“シュヴァル城に侵入したマクミランの魔法使いが地下牢から脱獄。二人の人質を連れ逃亡中――”
……そう。
俺たちは、指名手配されてしまった。
由々しき問題はそれだけじゃない。
もっと聞き捨てならない言葉が続いた。
「ごめんなユリア。俺、文字が読めないんだ……だからもう一回、頼む」
「うむ。凶悪犯罪の速報――昨日、マクミランの魔法使いオズグリュスターが王城の地下牢から脱獄。幼い少女と、推定16~18歳の少年を連れて今も逃亡しており、」
「「おい誰だ!?こんな手配書を作ったヤツは!!」」
仲良くハモったシオウとオズグの叫び声が、朝の通りに響いた。
……やっぱり脱獄って罪に問われるんだよな、う゛ぅ~ん…。
掲示板の前で、俺は頭を抱えた。
それに大変申し訳ない。
俺のせいでオズグさんは脱獄犯だけじゃなく、誘拐犯の汚名まで着せられてしまった。
これについてはあとからでも弁明の余地ってあるかな?
俺も罪に問われそうだけど……。
「ふむ。これでオズグと行動を共にする必要はなくなったのじゃ。せめてもの慈悲として、我が今すぐ地下牢へ転移させてやろう」
「ううっ、精霊様……お手を煩わせてしまい申し訳ございません」
「ちょ、待ってユリア!?オズさんも!?」
それに、ちょっと周りを見てほしい!
周囲を見渡せば、人々が掲示板を眺めている。
なのに誰も、俺たちを疑う様子がない。
「ね?手配書を見てるのに、誰もこっちに気づいてないんだ」
「ふむ…。言われてみれば、確かに」
「それに昨夜の酒場じゃあ、あれほどママが『オズさん!』って呼んでおったのに……我らが宿を出て行っても誰も怪しまなかったわ」
俺たちは――怪しまれていない。
オズグ=リュスター。
マクミランの自称「天才魔法使い」。現在、凶悪犯として指名手配中。
シオウ。
人質その一。異世界から来た普通の少年。(ただし脱獄幇助罪に問われる可能性あり)
ユリア。
人質その二。幼女の姿をした上位精霊。オルベリオンの眷属。
――どう見ても怪しいのに?
「ねぇ、あそこの三人組」
「ふふ。兄弟かしら?揃って首を傾げてるなんて仲がいいわね」
まさか、自分たちが微笑ましい観光客として見られているとは、誰も気づかなかった。
……指名手配犯の逃亡劇は、誰にも怪しまれず幕を開けた。
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