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2章 脇役と不死の王龍
脇役、二度目の旅にでる
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王都の付近には、いくつかの街や村が存在している。
そして、木を隠すなら森の中…という言葉があるように、俺たち三人組は割と人で賑わう大きな街に着いていた。
気が付けば日暮れ間近の時間帯だ。
街は屋台村や宿屋、行き帰りを行き交う馬車で賑わっていた。
「ねぇねぇ!オズさん、あの大きな時計台は何ですか?」
「おお、ママ!あっちからおいしい匂いがするのじゃ!」
「ちょっ!?ユリア待って、はぐれるって!」
「――――えぇい!少しは大人しくせんか!!」
はぐれないで~と慌ててユリアを追いかけると、オズさんから冷静なツッコミが入った。
「……チッ、これだから魔の者は、…常識が欠落して‥‥」
ブツブツと文句を言う。
本名は、オズグ=リュスター。
………マクミランの魔法使いである彼は、眉間に深いシワを刻んでシオウを睨んでいた。
「まったく……貴様は、品性どころか緊張感のかけらもない!」
「うはは、ごめんなさい」
申し訳なさそうにしても、再び舌打ちをされてしまった。
それでも頼りにしている”ガイド”なんだ。
――――どうして、お城の牢屋にいたオズグさんが、俺たちに同行しているのか。
それは、ユリアが交渉してくれたおかげだった。
『我とサトシオウを、西の砦まで送り届けよ。
我を助けるとは、即ち精霊王オルベリオンを手助けするのと同義。精霊王が直々に名誉を与えてくださるのじゃ』
オズグさんは一瞬目を丸くしてたけど、ユリア…っていうか、「精霊」を崇拝しているらしく、(魔法使いとして当然だって言ってた) ユリアの言葉を疑うことなく協力してくれた。
(っていうか、オルベリオンさんの許可もらってないけどいいのかな…?)
けど、背に腹には変えられない。
俺が同行しているのに……渋々、すっごく不本意でもガイド役を請け負ってくれたオズグさんことオズさんに連れられて、
俺とユリアは王都の地下水路に隠されていた「秘密の通路」を使って、山岳地へと抜け出した。
『うわ……!ほんとに隠し通路なんてあったんだ!ゲームの世界みたいだ!!』
隠し通路なんて男の憧れだろ。
なのに目を輝かせる俺の隣で、オズさんは眉を顰めた。
………首都への抜け道を、他国の人が知ってるなんて大問題だ。だけど俺はそれに気づいてなかった。
(オズさんと、ちゃんと和解できればいいなぁ)
俺はそんな甘い考えでいた。
◇ ◇ ◇
シオウもユリアも、ただシュヴァル国に来ただけの者達だ。
そして今はゼアロルドに会うべく行動している。
しかし、オズグだけは違う。
『牢屋にいた捕虜が、脱獄した』
そして脱獄に加担した者がいる。
今頃、シュヴァル城は大混乱であろう。
その緊急事態の重さを、理解しているのはオズグただ一人だった。
(はー…っ。どうして、こうなってしまったのか)
なぜ、コレが一緒なのか――――ズキズキと頭が痛くなりそうだ。
しかし、魔法使いとしての矜持だ。
精霊オルベリオン王の眷属が、“魔の者”サトシオウと行動している。
精名、唐揚げの妖精さん。
『最も人を愛したが、人を見限り神座に還った―――慈愛の精霊王、オルべリオン』
オルベリオン王の資料は大変少なく、歴史的価値も高い。
その眷属だ。
彼女の存在一つで、国一つが揺らぐだろう。
しかし、
(やはり、厄介だ……。聖女だけでなく、騎士も、精霊までも洗脳できるとは‥‥!)
ギリッと歯を食いしばる。
大精霊すら魅了し洗脳する、邪悪な加護――。
しかし、稀有な加護である。オズグは一人の魔法使いとして、その正体を知りたかった。
最終的に、宿敵ゼアロルドと相対するためにも。
「オズさん、それ気に入ったんですか?ミュスガイのつぼ焼き」
「……」
「あっちの酒蒸しもおいしそうですね。あ、ユリア、晩ご飯あるから食べすぎダメだぞ」
「ママ、あそこのプレッペを買ってほしい。食後のデザートにする!」
「はいはい」
……いや、違う。
ご当地観光をしてる場合じゃない。
それに、オズグには何より大事なものがあった。
「おい。目的地はまだまだ先だぞ。……断っておくが、金がない者とは」
「大丈夫です!ユリアはそこまで大食いじゃないし、これでも節約してます」
「はっ、羨ましい身分だな。聖女様は今も瘴気と戦っているというのに」
牢屋で味わった、せめてもの屈辱を返そうとした。
そして、オズグが皮肉混じりに言えば、ソレは悔しそうに視線を逸らした。
「……戦い、ですか」
「ああ、そうだ。聖女様は平和のために日々精進している」
「………っ。貴方は、年端のいかない少女が、自分の命を失うかもしれないところにいっても、何も思わないんですか?」
「思わないな。それが聖女様のお役目だ」
「‥‥‥‥聖女だって、誰かの家族ですよ」
「は?」
真っすぐ見つめる、黒い瞳。
―――――コレは何を、おかしなことを言うのか?
聖女のために命を落としていい。本望だと思う兵士など大勢いる。
常に、聖女様の守りは厳重だ。
「オズさん。俺は、マクミランのした選択を……認めない」
「では、何を救いとする?」
とたん、”それ”は黙った。
この世界の窮地に、現れてくださった聖女様。
それに対して不敬な言葉ばかり投げつける。貴様なんだと?
「聖女様じゃない。真里亜だよ。ちゃんと名前がある…」
「……」
「オズさん。貴方が真里亜に会った時も、そう呼んであげてください。名前で」
「ハッ、聖女様の名を?恐れ多い」
「それでも、名前があるんです。俺やユリア…貴方にも、あるように」
……やはり、解せぬ。
そして、木を隠すなら森の中…という言葉があるように、俺たち三人組は割と人で賑わう大きな街に着いていた。
気が付けば日暮れ間近の時間帯だ。
街は屋台村や宿屋、行き帰りを行き交う馬車で賑わっていた。
「ねぇねぇ!オズさん、あの大きな時計台は何ですか?」
「おお、ママ!あっちからおいしい匂いがするのじゃ!」
「ちょっ!?ユリア待って、はぐれるって!」
「――――えぇい!少しは大人しくせんか!!」
はぐれないで~と慌ててユリアを追いかけると、オズさんから冷静なツッコミが入った。
「……チッ、これだから魔の者は、…常識が欠落して‥‥」
ブツブツと文句を言う。
本名は、オズグ=リュスター。
………マクミランの魔法使いである彼は、眉間に深いシワを刻んでシオウを睨んでいた。
「まったく……貴様は、品性どころか緊張感のかけらもない!」
「うはは、ごめんなさい」
申し訳なさそうにしても、再び舌打ちをされてしまった。
それでも頼りにしている”ガイド”なんだ。
――――どうして、お城の牢屋にいたオズグさんが、俺たちに同行しているのか。
それは、ユリアが交渉してくれたおかげだった。
『我とサトシオウを、西の砦まで送り届けよ。
我を助けるとは、即ち精霊王オルベリオンを手助けするのと同義。精霊王が直々に名誉を与えてくださるのじゃ』
オズグさんは一瞬目を丸くしてたけど、ユリア…っていうか、「精霊」を崇拝しているらしく、(魔法使いとして当然だって言ってた) ユリアの言葉を疑うことなく協力してくれた。
(っていうか、オルベリオンさんの許可もらってないけどいいのかな…?)
けど、背に腹には変えられない。
俺が同行しているのに……渋々、すっごく不本意でもガイド役を請け負ってくれたオズグさんことオズさんに連れられて、
俺とユリアは王都の地下水路に隠されていた「秘密の通路」を使って、山岳地へと抜け出した。
『うわ……!ほんとに隠し通路なんてあったんだ!ゲームの世界みたいだ!!』
隠し通路なんて男の憧れだろ。
なのに目を輝かせる俺の隣で、オズさんは眉を顰めた。
………首都への抜け道を、他国の人が知ってるなんて大問題だ。だけど俺はそれに気づいてなかった。
(オズさんと、ちゃんと和解できればいいなぁ)
俺はそんな甘い考えでいた。
◇ ◇ ◇
シオウもユリアも、ただシュヴァル国に来ただけの者達だ。
そして今はゼアロルドに会うべく行動している。
しかし、オズグだけは違う。
『牢屋にいた捕虜が、脱獄した』
そして脱獄に加担した者がいる。
今頃、シュヴァル城は大混乱であろう。
その緊急事態の重さを、理解しているのはオズグただ一人だった。
(はー…っ。どうして、こうなってしまったのか)
なぜ、コレが一緒なのか――――ズキズキと頭が痛くなりそうだ。
しかし、魔法使いとしての矜持だ。
精霊オルベリオン王の眷属が、“魔の者”サトシオウと行動している。
精名、唐揚げの妖精さん。
『最も人を愛したが、人を見限り神座に還った―――慈愛の精霊王、オルべリオン』
オルベリオン王の資料は大変少なく、歴史的価値も高い。
その眷属だ。
彼女の存在一つで、国一つが揺らぐだろう。
しかし、
(やはり、厄介だ……。聖女だけでなく、騎士も、精霊までも洗脳できるとは‥‥!)
ギリッと歯を食いしばる。
大精霊すら魅了し洗脳する、邪悪な加護――。
しかし、稀有な加護である。オズグは一人の魔法使いとして、その正体を知りたかった。
最終的に、宿敵ゼアロルドと相対するためにも。
「オズさん、それ気に入ったんですか?ミュスガイのつぼ焼き」
「……」
「あっちの酒蒸しもおいしそうですね。あ、ユリア、晩ご飯あるから食べすぎダメだぞ」
「ママ、あそこのプレッペを買ってほしい。食後のデザートにする!」
「はいはい」
……いや、違う。
ご当地観光をしてる場合じゃない。
それに、オズグには何より大事なものがあった。
「おい。目的地はまだまだ先だぞ。……断っておくが、金がない者とは」
「大丈夫です!ユリアはそこまで大食いじゃないし、これでも節約してます」
「はっ、羨ましい身分だな。聖女様は今も瘴気と戦っているというのに」
牢屋で味わった、せめてもの屈辱を返そうとした。
そして、オズグが皮肉混じりに言えば、ソレは悔しそうに視線を逸らした。
「……戦い、ですか」
「ああ、そうだ。聖女様は平和のために日々精進している」
「………っ。貴方は、年端のいかない少女が、自分の命を失うかもしれないところにいっても、何も思わないんですか?」
「思わないな。それが聖女様のお役目だ」
「‥‥‥‥聖女だって、誰かの家族ですよ」
「は?」
真っすぐ見つめる、黒い瞳。
―――――コレは何を、おかしなことを言うのか?
聖女のために命を落としていい。本望だと思う兵士など大勢いる。
常に、聖女様の守りは厳重だ。
「オズさん。俺は、マクミランのした選択を……認めない」
「では、何を救いとする?」
とたん、”それ”は黙った。
この世界の窮地に、現れてくださった聖女様。
それに対して不敬な言葉ばかり投げつける。貴様なんだと?
「聖女様じゃない。真里亜だよ。ちゃんと名前がある…」
「……」
「オズさん。貴方が真里亜に会った時も、そう呼んであげてください。名前で」
「ハッ、聖女様の名を?恐れ多い」
「それでも、名前があるんです。俺やユリア…貴方にも、あるように」
……やはり、解せぬ。
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