BL短編集②

田舎

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弟×兄のオメガバ

後半

怖い…
空気が重たいのは、記憶の竜胆とは違いすぎるせいなのか?


「なんで…、ここは…?」
「あの商人には予め大金を握らせてた。兄さんが村から出ようとすれば俺の所に連れて来るように」
「っ、か…勝手に出て行こうとした事は謝るよ!でもお前も俺なんていない方が」

良かったと断言しようとしてゾクっと鳥肌が立った。

ーーーー"黙れ"と、声なく命令されたのだ。

これがっ、αの威圧…?
寒くないのにガタガタと体が震えて、ヒュッと喉まで詰まるような息苦しさ。


「兄さん…、兄さんは要らない存在じゃない。俺がどれほど会いたかったか分かる?兄さんに会う為に何をしてきたのか」

もう二度と捨てられたくないと血の滲むような努力をした、それでもつらくて毎晩泣いた。
だけどある日、考え方一つで変わる事に気付いた。

「兄さんがそうしてくれたんだよ?」
「え?」

一度だけ抜け出して槐に会いに行った。そこで知ったのだ。
竜胆は?竜胆は?と屋敷と村を行き来する行商人を捕まえて、槐はそればかり尋ねていた。

兄は弟を想ってくていた。
これが嬉しい反面、ぐっと食いしばって槐に姿を見せる事なく屋敷へ戻った。

兄さんはずっと苦しかったのを我慢した、竜胆の為に。
なら俺も努力せねば。
もう大切な家族が離れなくていいように、槐も竜胆も奪われないために。
いつか村長になったら、こんなくだらない仕来たりなど変えてやろうと思った。



「その日まで苦しい心ごと殺すと決めた。何も思わない感じない考えない。思いの外、上手くできたよ」
「竜胆…」

上っ面だけあればいい。本家に来てから、兄より一緒に過ごした肉親の葬式を見ても何も感じない、思わないのだから。
けれど、兄…槐だけはダメだ。


「今日から兄さんの家は本家だ」
「は…、?」
「父さんも最近病に伏せるようになった。母さんと同じ病だろうね。どんどん痩せ細って、俺に兄さんのことに文句を言う気力もない」
「ま、まて…!待ってくれ!何でお前…っ、そんな淡々と言えるんだ…?それに俺はβだ、本家にいる意味はなーーいっ゛!?」

バタンッと、
乱暴に床に叩きつけるように押し倒された。


「いっ、た…、」
「意味はある」

ここでようやく竜胆が笑ったのに嫌な予感しかない
ずっと体格のいい弟の力は恐ろしく強く、そもそも俺は圧倒的強者のオーラに逆らえない。そういう風に細胞が出来てきる。肉親でも、… 蛇に睨まれた蛙だ。


「…りんっ、まてっ」
「兄さんは今日から兄さんじゃない。俺のΩだ」


ーーーー!! 
ガリッと強く頸を噛まれた瞬間、俺は痛みに大声をあげ、それから大切だった弟に襲われるという


この世の地獄を見た.







「うぁ、あっ、やめてくれっ、あ゛ぁあッッ」

「にいさん…、槐…槐、もう二度と離さない。俺のモノだ」
「あ、んぅ!んーーーッ、ンン゛ッーー、」

乱暴に突き上げられるだけじゃなく、何度も何度も荒々しく口付けられる。
いやだと言えば息を奪うほどの口吸い、抵抗しようとすれば血が滲むほど噛みつかれる。

いたい、くるしい…


「しぬ、っ…、もう…むり…っ」
「駄目だ。俺はいま発情してるから…、槐が気絶しても奥に注ぐぞ、この狭い胎が俺ので満たされるまで離さない」

なんで…、こんなことを…っ。
ぐしゃぐしゃと泣く今も、槐の中には竜胆がいる。
そして男根から伝わる小さな痙攣を堪能し、はぁはぁと必死に息を整える槐を愛おしげに見つめている。
罪悪感など微塵もない。

「一度目は許せたけど、二度目は自分の為にだろ?槐は村にいるだけでよかったのに…」

兄に完全に捨てられる。
それは恐怖であり、最愛に裏切られると生まれた怒りだ。

「どの道、もう戻れない。戻ることも望んでない」
「ひぃっ、!」

ずぷっずぷっと、さらに奥へ入ろうとする熱の塊に悲鳴が漏れる。


「やめ、だ…!いや…っ、苦しいッ、壊れるッ…!」
「なら壊れるまで俺を受け入れろ、槐」











身体中が痛い…
いや、痛いのは心か… 

泣いて泣いて叫んでも無駄で、噛まれて、奥まで抉られ出されて…朝になって解放された
おれは…、ひたすら謝ることしかできなかった。


「泣かないで、俺の槐。これからはずっと一緒だ」

あぁ、昔の竜胆はどこにもいない…
お前を壊した中に俺も含まれているのだと、受け入れるしかなかった…
だけどこんなことは許されない。βで、さらに実兄が次期村長のΩなど、いくら病に伏せっていようが父が許さないだろう。

「希望の光はあるって考えてるのカワイイ」
「……りん…ど…」
「教えてあげようか。βの中にもαとΩの細胞は存在してるんだよ」
「…?」

なにを愉快げに…?
けど労わるように頭を撫でられると気持ちがいい


「だからなのかな?βでも発情中のαに頸を噛まれ続けるとさぁΩ化するって」


ーーーは?
そんな馬鹿な話聞いた事はない…!!
体力はもう残されちゃいないと分かってるはずなのに俺はジタバタと芋虫の様に這い出し、弟から離れようとした。


「勿論それには何回も体を繋げて俺の精を注ぐ必要があるんだけど」
「ーーい、いや゛、やだぁ、離せ、離せよ!!」

必死で布団を掴んでもダメで、無駄で…っ。
強く足首を掴まれ無理やり布団の中へ引き戻された。


「そんなの許されない…間違ってる…っ」
「村を自分達のモノにするための手段を選ばない、俺達はどうせ人手なしの一族だ。けど俺とΩになった槐の子は…、どうなんだろうね?」




ねぇ兄さん?






end




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