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長州の間者
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その夜から、俺の間者探索が始まった。
あれほど的確に、白川南通りのあの場所で待ち伏せしていたと言うことは、一番隊の見回り情報が筒抜けになっていたと言うことだ。
見回りの道順は、いつもその朝、副長の土方さんから指示が出る。
それまでに土方さんが、町方から得た情報で場所を指定するのだ。
指示を受ける場所は、土方さんの部屋と決まっていた。
もちろん付近には誰もいない。
立ち聞きされることもない。
土方さんではなく俺でもない、では誰がどこから見廻り情報を得ていたのか。
心当たりがあった。
二番隊組長永倉に、見回りを待ち伏せされたことがあるか聞いた。
三回も待ち伏せされていた。
次は三番隊の斉藤、
待ち伏せは一度もなかった。
同じように四番隊の松原にも聞いた。
これも、見廻りで一度の待ち伏せもされてはいない。
最後に八番隊の藤堂に、待ち伏せの有無を聞いた。
ほぼ毎回のように見回りで待ち伏せ攻撃を受けていると言う。
これしかない!
俺の疑惑は確信に変わった。
池田屋事件の斬り込みは、近藤さんと俺、永倉、藤堂の四人でおこなった。
そこで長州は吉田稔麿、北添佶摩、宮部鼎蔵、大高又二郎、石川潤次郎、杉山松助、松田重助らの逸材を失った。
近藤さんは見回りに参加しない。
斉藤、松原は池田屋へ斬り込みをしていない。
つまり、松陰がもっとも将来を嘱望した吉田稔麿ら七人を斬った俺と永倉、藤堂が、復讐のために見回りを狙われたのだ。
土方さんへ浪士の情報を流していたのは誰か。
町方の藤蔵だ。
藤蔵が浪士たちの所在や動きを土方さんへ報告し、三人の翌日の見回り順路が決まった。
三人は見廻りの度に待ち伏せされ、俺の一番隊は俺の留守中にそれで壊滅した。
永倉、藤堂だから難を逃れているが、他の者だったらとっくに消されている。
新選組見廻り隊十組の中で、必ず待ち伏せされているのは俺と永倉、藤堂隊のみだった。いずれも池田屋への斬り込み経験者。
つまり、俺たち三人への報復のために、長州情報を藤蔵は土方さんに流していたことになる。
理由はなんだ。。
恐らく金だ。
長州浪士は大金を藤蔵につかませ、三人への報復を誓っていた。
心情としては浪士たちの気持ちはよく分かるが、藤蔵は許せない。
永年新選組へ出入りしているやつは、土方さんの信頼を利用した。
俺も土方さんや近藤さんを殺されたら、同じように手を下したやつらを斬る。
たとえどんなに時間がかかり、どんな手を使ってでも!
翌朝、屯所へ向かう藤蔵が、にこやかにすれ違う俺に挨拶した。
俺は無言で、抜き打ちで藤蔵の右手首を落とした。
蒼白になる藤蔵。
以後、二度と彼は屯所に姿を見せなくなった。
俺たち三人だけへの、待ち伏せ攻撃もなくなった。
藤蔵の姿が京の街から消えた。
土方さんは今でも、その理由を知らない。
あれほど的確に、白川南通りのあの場所で待ち伏せしていたと言うことは、一番隊の見回り情報が筒抜けになっていたと言うことだ。
見回りの道順は、いつもその朝、副長の土方さんから指示が出る。
それまでに土方さんが、町方から得た情報で場所を指定するのだ。
指示を受ける場所は、土方さんの部屋と決まっていた。
もちろん付近には誰もいない。
立ち聞きされることもない。
土方さんではなく俺でもない、では誰がどこから見廻り情報を得ていたのか。
心当たりがあった。
二番隊組長永倉に、見回りを待ち伏せされたことがあるか聞いた。
三回も待ち伏せされていた。
次は三番隊の斉藤、
待ち伏せは一度もなかった。
同じように四番隊の松原にも聞いた。
これも、見廻りで一度の待ち伏せもされてはいない。
最後に八番隊の藤堂に、待ち伏せの有無を聞いた。
ほぼ毎回のように見回りで待ち伏せ攻撃を受けていると言う。
これしかない!
俺の疑惑は確信に変わった。
池田屋事件の斬り込みは、近藤さんと俺、永倉、藤堂の四人でおこなった。
そこで長州は吉田稔麿、北添佶摩、宮部鼎蔵、大高又二郎、石川潤次郎、杉山松助、松田重助らの逸材を失った。
近藤さんは見回りに参加しない。
斉藤、松原は池田屋へ斬り込みをしていない。
つまり、松陰がもっとも将来を嘱望した吉田稔麿ら七人を斬った俺と永倉、藤堂が、復讐のために見回りを狙われたのだ。
土方さんへ浪士の情報を流していたのは誰か。
町方の藤蔵だ。
藤蔵が浪士たちの所在や動きを土方さんへ報告し、三人の翌日の見回り順路が決まった。
三人は見廻りの度に待ち伏せされ、俺の一番隊は俺の留守中にそれで壊滅した。
永倉、藤堂だから難を逃れているが、他の者だったらとっくに消されている。
新選組見廻り隊十組の中で、必ず待ち伏せされているのは俺と永倉、藤堂隊のみだった。いずれも池田屋への斬り込み経験者。
つまり、俺たち三人への報復のために、長州情報を藤蔵は土方さんに流していたことになる。
理由はなんだ。。
恐らく金だ。
長州浪士は大金を藤蔵につかませ、三人への報復を誓っていた。
心情としては浪士たちの気持ちはよく分かるが、藤蔵は許せない。
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俺も土方さんや近藤さんを殺されたら、同じように手を下したやつらを斬る。
たとえどんなに時間がかかり、どんな手を使ってでも!
翌朝、屯所へ向かう藤蔵が、にこやかにすれ違う俺に挨拶した。
俺は無言で、抜き打ちで藤蔵の右手首を落とした。
蒼白になる藤蔵。
以後、二度と彼は屯所に姿を見せなくなった。
俺たち三人だけへの、待ち伏せ攻撃もなくなった。
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土方さんは今でも、その理由を知らない。
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