爆裂令嬢(ボンバーガール)は、あきらめない~科学チートで乙女ゲームを攻略するの! アタシを追放した悪徳貴族は後悔しても、もう遅い!!~

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第3章 エルフ大公国を襲う悪意!

第33話(累計・第114話) クーリャ106:情報収集。作戦立案するの、わたし!

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「クーリャ様、先日は大活躍だったご様子。市街にもお噂は響いております。颯爽さっそうと魔族姫様を救う勇者姫様がいらっしゃったと」

「それは大げさですよ、イポリトさん。わたくし、恥ずかしいですぅ」

 クラーラちゃん襲撃事件から二日半。
 大公様の公館にわたしは、小人族商人イポリトさんを呼んで、詳しい話を聞いている。

「いつのまに、そんな噂が市中に広まったのでしょうか? 何より敵に情報が駄々洩れなのですけれども?」

「どうも、事態を片づけに行った兵士が口々に噂しているそうです。ゴブリンの死骸が一山、そして街道に大穴が開いているって話です」

 ……なるほど、首都や港町キーアダンから後片付けと襲われた集落の支援に向かった兵士の方々が、一部首都に帰ってきて話しちゃったのね。

 イポリトさんがまとめてくれた資料を読みながら、報告を受ける大公様とわたし。

「はぁ。兵士へ口止めすべきでしたか。クーリャちゃん、ごめんね。私のミスだよ」

「そこはしょうがないですね。わたくしも口止めは考えていませんでしたし、襲われた村落の救援は急務でしたから……」

「ご心配なく、皆様。噂では、お二人の姫様達は馬も要らない馬車で、あっというまに王国方面に走っていったとなっております。まあ、私が補足で噂をコントロールしましたが」

 イポリトさんが気を利かせて、わたし達が首都では無く、王国へと向かったと噂をコントロールしてくれた様だ。

「それは助かります。今、ここを襲いに来られても困りますから。でしたら、敵は国境付近に終結している可能性があるのでしょうか?」

「国境付近の街の噂では、やはりゴブリン襲撃事案が増えている様です。ですので、帰国時にはお気をつけて下さいませ」

「ありがとう存じます。では、イポリトさんも事態が落ち着くまで出国はなさらない方が良いかもですわね」

 ……イポリトさんの情報では、予想通り国境付近ではゴブリンがわたしやクラーラちゃんを待ち構えているようだ。

「クーリャ様。私共にもご心配頂き、ありがとうございます。大丈夫、そこは良くある話ですので。それと、大公様。首都での噂ですが、改革派の一派がハーフエルフ達を集めていると聞きました。クーリャ様にはお話していましたが、いつまでも世代交代しないハイエルフ首脳部に対して、寿命が対照的に短いハーフエルフやエルフの方々が不平をもらしがちだそうです」

「そうか、情報ありがたい。では、もしかすると改革派の一部に敵がいるのかもな。なれば、保守派を味方にしつつ、改革派を切り崩す方向で進むのが良かろう。イポリト殿、首都も荒れる可能性あるから、注意するのだぞ」

 敵の手の内が、なんとなく見えてくる。
 不満を貯めた人達を集め、一気に首都で動乱を起こさせて警備に隙を産ませ、どさくさに紛れて大公様やエル君などの暗殺を狙うのかもしれない。

「色々とありがとう存じました、イポリトさん。後は、わたくし達で出来るだけ穏便に話を終わらせる様に頑張ります。ここからは、商談をどうぞです。大公様、わたくしからお送りしました白い植物紙、そして匂いと泡立ちが良い高級石鹸。今後はイポリトさんからご購入すると良いですわ。他にも当方の新製品はイポリトさんの処に最優先で卸しますので、今後ともごひいきに!」

「クーリャちゃん。君は商売人でもあるのかい? イポリト殿、これは大変だな。クーリャちゃんが相手では、中々儲けが出せないかもな」

 大公様は苦笑気味にイポリトさんに話す。
 わたしが、商売っ気を出し過ぎたのを驚いている様だ。

 ……だってしょうがないもん。わたし、研究の為にもっとお金欲しいし。

「いえいえ、大公様。新製品を優先的に卸させてもらうだけでも、私共は十分な利益を得ています。クーリャ様は、私共の命の恩人であり、大取引先でもあります。この商売を維持するためにも、今後ともクーリャ様には活躍してお元気でいてもらわないと私共も困ります。ですので、大公様も今後とも宜しくお願い致します」

  ◆ ◇ ◆ ◇

「さて、大公様。ここからは作戦を決めましょう。皆さんも意見があれば、自由に発言してくださいませ。この場では、身分の上下は関係ないです。忌憚きたん無きご意見をお願い致しますの」

 イポリトさんが帰宅後、大公様、わたしとわたしの配下全員、ダニエラ、アデーレさん、エル君、クラーラちゃん、アクサナさん、そして、何故か学院から急遽転移してきた学院長先生にシルヴァリオさんまで集まっての作戦会議を開始した。

 ……何故かわたしが会議を仕切っているのは、どーしてなんだろうね?

「エルウェ。お前がもっとしっかりしておれば、クーリャお嬢ちゃんのような幼女に助けてもらわぬでも済んだのだぞ。反省しろ」

「父上、久方ぶりにお帰りになられたと思ったらお小言ですか? まあ、近頃お声も聴いてませんでしたから、お小言でも嬉しいです」

「おじい様。先だっては気が付かず申し訳ありません。ボク、この国や民を守るために頑張ります!」

「エルロンド、実に良い答えと顔だ。エルウェ、息子に追い越されておるぞ。精進せい!」

 ……こんなところで親子喧嘩しなくても良いけど、お互い笑っているから、ただのスキンシップかな?

「おほん。シルヴァリオ様、久方ぶりの親子のじゃれあいは、そのくらいで。さて、今のところ近づく脅威ですが、改革派の動きです。まだ未確認ではありますが、敵が動くとすれば改革派の動向に連動すると思われます。なので、改革派が動く前に先手を打ちたいと思っていますの」

 ……さあ、敵を斜め上からぶっ叩くの!
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