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プロローグ:そしてお姉様へのざまぁは決行された。
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アクノール・カプラッド。
私の二つ上のお姉様で、カプラッド公爵家の長女。美しい深緑の瞳と、燃えるような赤いくせ毛を腰まで伸ばしている。その目は吊り上っていて、初対面の人には悪い印象を与える事が多い。
体つきは女性らしくて、胸が小さな私からしてみれば同じ血が流れているのにどうしてこんなにも違うのだろうか、と悩んでしまうぐらい羨ましい体つきをしている。
美しい見目に加えて、お姉様は第二王子の婚約者という誰もが羨む立場を持っていた。
お姉様は、才色兼備という言葉が似合う。
学園では生徒会副会長を務めていて、会長である婚約者の第二王子を支え、決して表に出てくる事なく、献身的な態度だった。
お姉様は優しいと評判だ。性格がきつそうな見た目に反して、誰にでも優しいと。
こんな婚約者がいて羨ましいと周りは第二王子に言った。
そして、こんな姉がいて羨ましいと周りは私に言った。
――だけど、私はお姉様の事が大好きだけど嫌いだった。
だから、私は今、この場で行われている催しをただ黙ってみている。
「アクノール・カプラッド。僕は君との婚約を破棄する」
第二王子であり、私が兄のように慕っているデルデ・フソン様――デル兄様はそう宣言した。
その隣には、学園に転入してきたフィリ伯爵家の庶子であり、私の親友であるヒーナ・フィリがいる。
その言葉を、学園の卒業式という場で告げられたお姉様はショックを受けた表情を一旦浮かべた後、気丈にも笑みを零した。
「あら、それは国王陛下や我が父であるカプラッド公爵の許しを得ての事かしら」
――ああ、お姉様、私の大好きなお姉様。
貴方はやっぱり、何も見ていない。何も見えていない。
お姉様が見ているのは、”げぇむ”というものでの世界。
だから、デル兄様の悲しそうな表情には気づかない。だから、ヒーナの悲しそうな目にも気づかない。周りの目にも気づかない。周りの視線にも気づいていない。
「もちろんだとも。許可を得て私はこれを行っている」
「え」
お姉様は、”げぇむ”の知識を見ている。だからこんな予想外の台詞を吐かれて固まっている。
お姉様は見ていない。見ていないから、わかっていない。”げぇむ”の知識外のことに対応できない。
「僕は正式に父上の許可を得た上で婚約破棄を行っている」
「それは、何故ですか……私はフィリさんを苛めたりなんかしてません!」
「……それは分かっている」
ああ、お姉様。
お姉様の思い描いていたバッドエンド。――それをあえて導いた。でも、まだお姉様は周りを見ていない。
「ならば、なぜ……」
「残念だ、アクノール。君が本当に理由に思い至らない事が僕は残念でならない。言っておくが、婚約破棄をしたからといって君が思っているような最悪な事態にはならない。本当にただ、婚約を破棄するだけだ」
お姉様は理解しない。何故、デル兄様が婚約破棄を希望したか。何故、あえてその”げぇむ”でのバッドエンドを私が催したか。やっぱり、お姉様は何も見ていない。
だからきょろきょろして、私とその隣にいる義理の兄であるラスタ・カプラッド。ラスタ兄様を見てほっとした顔をするのだ。ラス兄様と反対の位置に、私の婚約者がいるけれど、お姉様にとってはその婚約者は目に映っていないらしい。
「イエルノ、ラスタ!」
すがるように私を見るお姉様に私は笑った。
「ふふふ、馬鹿なお姉様」
「え」
「この催しを作ったのは私なのよ?」
そう言って笑えば、お姉様は信じられないような目で、私を見た。
ようやく”悪役令嬢の妹”という記号ではなく、”イエルノ・カプラッド”という私自身を見た。
そのことが嬉しくてたまらなくて、私は崩れ落ちるお姉様を前に笑った。
私の二つ上のお姉様で、カプラッド公爵家の長女。美しい深緑の瞳と、燃えるような赤いくせ毛を腰まで伸ばしている。その目は吊り上っていて、初対面の人には悪い印象を与える事が多い。
体つきは女性らしくて、胸が小さな私からしてみれば同じ血が流れているのにどうしてこんなにも違うのだろうか、と悩んでしまうぐらい羨ましい体つきをしている。
美しい見目に加えて、お姉様は第二王子の婚約者という誰もが羨む立場を持っていた。
お姉様は、才色兼備という言葉が似合う。
学園では生徒会副会長を務めていて、会長である婚約者の第二王子を支え、決して表に出てくる事なく、献身的な態度だった。
お姉様は優しいと評判だ。性格がきつそうな見た目に反して、誰にでも優しいと。
こんな婚約者がいて羨ましいと周りは第二王子に言った。
そして、こんな姉がいて羨ましいと周りは私に言った。
――だけど、私はお姉様の事が大好きだけど嫌いだった。
だから、私は今、この場で行われている催しをただ黙ってみている。
「アクノール・カプラッド。僕は君との婚約を破棄する」
第二王子であり、私が兄のように慕っているデルデ・フソン様――デル兄様はそう宣言した。
その隣には、学園に転入してきたフィリ伯爵家の庶子であり、私の親友であるヒーナ・フィリがいる。
その言葉を、学園の卒業式という場で告げられたお姉様はショックを受けた表情を一旦浮かべた後、気丈にも笑みを零した。
「あら、それは国王陛下や我が父であるカプラッド公爵の許しを得ての事かしら」
――ああ、お姉様、私の大好きなお姉様。
貴方はやっぱり、何も見ていない。何も見えていない。
お姉様が見ているのは、”げぇむ”というものでの世界。
だから、デル兄様の悲しそうな表情には気づかない。だから、ヒーナの悲しそうな目にも気づかない。周りの目にも気づかない。周りの視線にも気づいていない。
「もちろんだとも。許可を得て私はこれを行っている」
「え」
お姉様は、”げぇむ”の知識を見ている。だからこんな予想外の台詞を吐かれて固まっている。
お姉様は見ていない。見ていないから、わかっていない。”げぇむ”の知識外のことに対応できない。
「僕は正式に父上の許可を得た上で婚約破棄を行っている」
「それは、何故ですか……私はフィリさんを苛めたりなんかしてません!」
「……それは分かっている」
ああ、お姉様。
お姉様の思い描いていたバッドエンド。――それをあえて導いた。でも、まだお姉様は周りを見ていない。
「ならば、なぜ……」
「残念だ、アクノール。君が本当に理由に思い至らない事が僕は残念でならない。言っておくが、婚約破棄をしたからといって君が思っているような最悪な事態にはならない。本当にただ、婚約を破棄するだけだ」
お姉様は理解しない。何故、デル兄様が婚約破棄を希望したか。何故、あえてその”げぇむ”でのバッドエンドを私が催したか。やっぱり、お姉様は何も見ていない。
だからきょろきょろして、私とその隣にいる義理の兄であるラスタ・カプラッド。ラスタ兄様を見てほっとした顔をするのだ。ラス兄様と反対の位置に、私の婚約者がいるけれど、お姉様にとってはその婚約者は目に映っていないらしい。
「イエルノ、ラスタ!」
すがるように私を見るお姉様に私は笑った。
「ふふふ、馬鹿なお姉様」
「え」
「この催しを作ったのは私なのよ?」
そう言って笑えば、お姉様は信じられないような目で、私を見た。
ようやく”悪役令嬢の妹”という記号ではなく、”イエルノ・カプラッド”という私自身を見た。
そのことが嬉しくてたまらなくて、私は崩れ落ちるお姉様を前に笑った。
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