私は大好きなお姉様をざまぁする

池中織奈

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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㉜

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 お父様に確認をしてから、デル兄様に連絡をした。デル兄様はすぐに返信をしてくれた。王族として忙しいだろうに、すぐに返信をくれたことから本当にデル兄様は心が離れかけているとはいえ、お姉様のことを大切に思っているのだなと思う。
 デル兄様はちゃんとお姉様を大切にしてた。思ってた。だから、お姉様のことだからこそ、こうしてすぐに返事をくれるのだ。デル兄様は私がやりたいといった催しに対しては、やりすぎではないかと思っているようだ。それでももしお姉様がこのままで、公爵令嬢としても問題な態度を続けるのならばそれも仕方がないことだろうと書かれていた。
 ひとまず消極的とはいえ、お姉様への催しのお手伝いをしてくださるということでほっとした。
 また、お父様を通じてデル兄様にその攻略対象の方と会えないか、その婚約者も含めてというのを連絡している。もちろん、その場にはウーログも一緒で、話をして仲を深められることが出来たらと思っているのだ。
 一対一で男女が会っていれば良からぬ噂をたてられてしまう恐れも十分あるのだから。そのあたりはきちんとやっている。というか、出来たらお姉様が言う攻略対象の方々の婚約者のご令嬢たちと是非とも仲良くなりたい。彼女たちはお姉様と同じ年か一つ下ぐらいなので、学園のお姉様の様子を同性目線で見ることもできるし。
 ……もし、婚約者の令嬢たちとお姉様が仲良くなる事が出来れば、此処が現実だとお姉様は気づいてくれるだろうか。お姉様には心から親しい友人はいないはずだ。お姉様はその乙女げぇむの登場人物以外に関心を持たないから、攻略対象の婚約者という人達の言葉なら聞くかもしれないとも思ったから。
 私はその乙女げぇむの中でほぼ出てこない存在だから、お姉様は私を気にも留めないから。
 ああ、お姉様。お姉様は私がデル兄様と仲良く手紙のやり取りをしていても何も気にも留めない。デル兄様のことは攻略対象としか見てなくて、私の事は気に留める必要がない存在だと思っているから。――悪役令嬢の妹いう存在である私が攻略対象と恋仲になるはずがないという思い込みがあるからだと思う。まぁ、私とデル兄様の間にあるのはただの兄妹のような関係でしかないけれど。いっそのこと私が予想外の人とそういう仲になったらお姉様も「あれ?」と思うのだろうか。でも私はウーログが好きだし、婚約者の居る相手に迫るような気はない。本当に、その乙女げぇむの主人公が本当に分からない……。
 そんなことを考えながら、私は目の前の人たちを見る。



 私とウーログの前には宰相様の次男であるマジェック・ウィングフィールド様と、その婚約者であるヨドア・スーイミ様、デル兄様とお姉様がいる。


 流石に前に会った事があるとはいえ、マジェック様とヨドア様とはそんなに交流がないのだから、こんなメンバーでの交流になった。私の目標はヨドア様と仲良くなること。
 ヨドア様と仲良くなれれば、お姉様の情報も他の情報も入りたくなるだろう。もちろん、それだけではなくてヨドア様と仲良くなりたいという思いももちろんある。ヨドア様は、朗らかに笑う栗色の髪の女性で、その穏やかな笑みに何だかほっとした気持ちになる。
 お姉様とはまた違った雰囲気の美人な女性だ。それにしても本当に綺麗な人だ。この方といい、お姉様といい、乙女げぇむというものの中でお相手の男の人の婚約者は皆こういう美しい人なのだろうか。
「ヨドア様、学園はどのように過ごしていらっしゃいますの?」
「そうですね、学園では――」
 学園にまだ入学していない私は、ヨドア様にそういって問いかけた。
 お姉様の事が気になるのも本音だけど、学園生活がどういうものなのか気になるのも本当だ。お姉様は私の話を受け流すというか、ちゃんとは聞いてくれないからこうして学園の様子をきちんと聞くことが出来るのは私は嬉しかった。ウーログもマジェック様とデル兄様と仲良く話している。ウーログが仲良くしていることが嬉しいと思う。
 お姉様は私とヨドア様の会話に入りはしているけれど、相変わらず心ここにあらずと言った様子だ。お姉様とヨドア様が此処で仲良くならないかなとも思ったのだが、お姉様はヨドア様のことは特別視はしているようだが、そういう目でしか見ていない。
 ヨドア様も話しているうちにそれが分かったのかもしれない。というか、お姉様は聞いているようで聞いていなかったり、そういうことがよくある。こうして他の人も含めて話していると余計にお姉様は取り繕ってはいるけれどやはりちゃんと見ていない。
「イエルノ様は――」
「ええ。そうですね」
 純粋にヨドア様と会話をすることは楽しいと思った。
 ヨドア様は穏やかで、私のことをちゃんと見て、にこやかに笑いかけてくれる様子に昔のお姉様との記憶を思い起こした。お姉様もいつも私に笑いかけてくれていた。お姉様は優しかった。私はそんなお姉様とただのんびりと過ごせれば良かった。すぐに思い浮かべる優しい記憶。
 お姉様、私はお姉様にちゃんと私を見てもらうからね。ただ、周りの誰も見ずに、笑っているお姉様にそう思った。


 その日、ヨドア様とは親しくなれて私は嬉しかった。

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