私は大好きなお姉様をざまぁする

池中織奈

文字の大きさ
34 / 60

何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㉝

しおりを挟む
 ヨドア様たちと仲良くなることが出来て私は嬉しかった。学園にも入学していない私の世界はまだまだ狭いから、こうして誰かと絆を結べるのは嬉しかった。それに学園のことを聞くことが出来たから、学園での目標がある程度定めることが出来た。
 他のお姉様が攻略対象と書いていた人たちの婚約者たちともデル兄様のおかげで仲良くなることが叶った。それが本当に良かったとほっとする。これで少しは、お姉様の言う乙女げぇむの始まりまでに準備が少しずつ整ってきたと言えるかもしれない。
 学園の話を聞いていて、私が学園でどういうスタンスでいるべきかというのがなんとなく見えてきた。ヨドア様たちと話をしてきたからこそ、見えてきたこと。
 ――お姉様に現実を見てもらうために、催しをするためにも私は学園内での影響力を高める必要がある。本当に心から慕われる令嬢になれるだろうかという問題もあるが……。
 なるべくそういう風になれるように目指していこう。
 お姉様を正気に戻すために、そのために周りを動かしやすくする。そういう打算的な面もあるけれど、純粋に仲良い人が増えたら嬉しいという思いもある。
 お姉様のためにというよりも、ただ自分のためだけに私はそういうそういうことを起こそうと考えている。上手く立ち回らなければ、お姉様への催しをしにくくなるかもしれないから。
 ああ、不謹慎かもしれない。性格が悪いと言われるかもしれない。だけど、お姉様への催しを思い浮かべると少しだけ高揚した気持ちになる。
 ――私のことを、取るにも取らない存在と思っているお姉様、私が何をしても問題がないと思っているお姉様、私に興味を持たないお姉様。
 そんな私が催しを成功させることが出来たのならば――、お姉様はどんな顔をするだろうか。その表情を思い浮かべると、少しだけ楽しみになる。
 学園生活もとても楽しみになってくる。ヨドア様たちから沢山学園の話を聞けたからこそ、楽しみという気持ちが溢れていく。
 私の世界は狭い。
 屋敷の外にはそんなに出た事もない。交友関係も狭い。公爵令嬢として、領地の中を見て回ったりはしているけれど、まだまだ知らない世界は多いもの。学園に入学して、私の世界が広がったら――私はお姉様のことを気にしなくなるだろうか。お姉様がこのままでも仕方がないと思うだろうか。
 今、私はお姉様のことばかり考えていて、お姉様に現実を知ってほしいとそればかりを考えている。
 ――けど、それがずっと続くのかは分からない。私はお姉様が好きで、お姉様が大切だから催しを行おうとしているのだ。本当にどうでもいいと思ったのならば、私は催しなどせず、現実を全く見ないお姉様のことを放置するだろうか。
 ああ、分からない。
 まだ学園にも入学していないのに、私はずっとそんなことばかりを考えている。
「――ねぇ、ウーログ、私ね、学園生活楽しみだわ。不安もあるけど、ヨドア様たちと話して楽しみって気持ちが大きいの。ウーログとも一緒に学生生活を送れるのが楽しみだわ」
「僕も楽しみだわ。アクノール様のことは色々と考えなければならないし、このままの様子でざまぁを決行するというのならば、やることは沢山あるけれど、それでもイエルノと一緒に共同作業が出来るのも楽しみだしね。僕も学園の話を聞いて、イエルノと過ごせると嬉しいって思うよ。
 きっとイエルノの制服姿は可愛いだろうし。僕、前世では恋人なんていなかったし、可愛い婚約者と一緒に過ごせると思うだけでワクワクしている」
「……また恥ずかしいことを言って」
 私はウーログの声に少し恥ずかしくなって横を向いてしまう。
 本当に恥ずかしい台詞を簡単に言うウーログ。ウーログのそういう言葉は恥ずかしいけど、心地よい。
 ああ、もう私もウーログの制服姿が楽しみだと思っている。恥ずかしいからそんな風には言えないけど。
 だけど、ウーログの手を握った。ウーログは嬉しそうに微笑んで、私の手を握り返してくれた。


 学園生活。
 学園に通う日はだんだん迫っている。
 学園生活での目標も出来たし、行動を起こすわ。行動して、お姉様に分かってもらうように、行動し続けるわ。六年後のために。
 お姉様へ行う催しを行う準備をするために。でも、それだけではなく、学園生活も楽しむ。知り合いを沢山作って、仲良くなるの。そしてウーログと一緒に楽しく過ごす。


 

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです

ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。 「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」 隣には涙を流す義妹ルミレア。 彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。 だが――王太子は知らなかった。 ヴァレリオン公爵家が 王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証―― 王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。 婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。 「では契約を終了いたします」 その瞬間、王国の歯車は止まり始める。 港は停止。 銀行は資金不足。 商人は取引停止。 そしてついに―― 王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。 「私は悪くない!」 「騙されたんだ!」 見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。 王太子、義妹、義父母。 すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。 「契約は終わりました」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...