私は大好きなお姉様をざまぁする

池中織奈

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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㊳

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 お姉様は高等部に進学した。——お姉様が高等部二年生になった時に、その乙女げぇむの主人公がやってくる。お姉様はその乙女げぇむというものと同じ展開になると信じ切っている。そしてこの世界が乙女げぇむの世界だと、高等部に進学して余計に思い込んでいるようだった。
 ――お姉様と同学年の先輩とも交流があるから、お姉様の様子を聞くようにしよう。デル兄様にもお姉様のことは頼んでいる。デル兄様の方でもお姉様と会話をしようと心掛けているらしいが――お姉様の心は益々乙女げぇむの世界だけを見ている。
 ……デル兄様とお姉様の婚約はまだ継続されている。それは私がやる催しの時まで、猶予をもらっている。デル兄様は、優しい人だ。それでいて、お姉様のことが私と一緒で好きで、そしてお姉様の事を諦めきれない。
 あきらめきれないから、切り捨てられなくて――、なんとかしたいと思っているのだ。
「――ウーログ、来年、その主人公が転入するのならばその子は貴族としてそのうち引き取られるはずだもの。ならば、今ならば探せるはずだわ」
 お姉様が気にしている主人公は、貴族の庶子として引き取られるとお姉様のノートには書いてあった。だからこそ今のうちにその主人公に会うことが出来ないだろうかとそう考えている。
「そうだね。今ならば探せるだろうね。イエルノはヒロインのことを見つけられたらどうするの?」
「どうするか……決めてないわ。その主人公をまずは探さなきゃとそればかり考えていたもの。探したらどうしたらいいのかしら……」
 私は主人公を探せたらと思っていた。お姉様の記憶にある乙女げぇむの世界の主人公を探せたら――お姉様に此処が現実だと知ってもらうためのきっかけになるのではないかと期待して。
「とりあえず会いたいと思ったの。六人もの殿方に好意を寄せられるとされているような少女というのが気になるわ」
 お姉様に此処がげぇむではないと分かってもらうためには、そもそもその主人公を学園に通わせない方がいいのかもしれない――でもそんな強制力は私にはないし、出来たとしてもそういうことをしてしまえば後々問題になる。貴族というのは横暴だと思われがちだが、評判というのは大事なの。
 それに私はお姉様に現実を見てほしい。私のことをちゃんと見てほしい。——だけどそれと同時に、親しい人達とお姉様をざまぁするための催しをすることが楽しみにもなっている自分がいる。……お姉様は私の事を何も出来ないな存在だと思っている。私を取るに取らない存在だと思っている。
 ――私のことを脇役だと思い込んでいて、私を一欠けらも見てくれないお姉様を驚かせたいとそうも思っている。そんなことを思っている私は性格が悪いのかもしれない。
「主人公にあってどうするかは、会ってから決めるわ。今から見つけた後のことを考えて、結局見つけられないのならばがっかりするもの」
「そうだね。それにしてもヒロインかぁ。やっぱり可愛いのかな。周りの人を引き付ける魅力があるとか。逆ハーレム作れるくらいだしなぁ」
「……ウーログはその子に会いたいの?」
 楽しそうな声に、ジト目でウーログの事を見てしまう。
 ウーログがその主人公とされている存在を気にしていると思うと、心がざわつく。
「そんな目で見ないでよ。僕は乙女げぇむのヒロインを気にしているだけだからさ。僕はイエルノが一番可愛いと思っているよ?」
「……そんな事は言わなくていいの」
 急に不意打ちでそんな風に言われて、私は恥ずかしくなる。まったく、調子よくそんなことを言わなくてもいいのに……。嬉しいけれど……。
 

 私たちはウーログとそんな会話をした後、主人公を探すために動き出した。



 私が主人公について知っている情報というのは少ない。お姉様のノートの中の情報でしか知らない。その少女が主人公で、お姉様が悪役令嬢で、そういう役割を与えられている。
 その主人公とされている少女はどんな子なのだろうか。警戒心というのは少しだけしかない。お姉様はその主人公とされている少女に並みならぬ感情があるようだけれども、私からしてみればデル兄様が誠意のない行動を行うことはありえないし、お父様がお姉様にノートのような扱いをすることはありえない。私は二人を知っているからそれを知っている。
 だからこそ、主人公とされている少女も、その乙女げぇむとされている世界とは実際は異なるのだと思う。少なくともこの世界でずっと生きてきて、元々平民として生きてきたというのならば常識は持っているはずだろう。
 というか、いきなり貴族の学園に通うなんてその子は大変なのではないかと思う。……その乙女げぇむだと大変だからこそデル兄様が気にかけていたのかな。
 そんなことを私は思った。
 しばらく公爵家のものを使って、情報収集に勤しんだ。
 ――そして数か月ほどして私は、お姉様のノートにあった乙女げぇむの主人公かもしれない少女を発見したのだった。
 

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