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何故、妹は姉をざまぁするに至ったか㊸
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――お姉様は着々と、居場所を失いつつある。
それはお姉様が焦っているから。落ち着きがなく、周りを見ないお姉様はおかしな様子を見せている。王家から派遣されている侍女がお姉様をいさめても全く聞きもしないらしい。聞けばいいのにー―ちゃんとその言葉をお姉様が聞いたのならば……なんて考えても仕方がないことを考える。
お姉様とデル兄様の距離も離れ、デル兄様は本格的にお姉様との婚約解消の事を陛下たちに相談しているらしい。そんなことにはお姉様は気づいていない。
あくまでお姉様は、乙女げぇむの中のデル兄様だけを見つめているから。――恋に溺れ、お姉様を見なくなり、暴走して、断罪をする。婚約破棄を行ったというげぇむの中のデル兄様。現実は全くそんなことはないのに、お姉様はデル兄様がそんな風にすると思い込んでいるのだ。
ヒーナは学園に転入して、楽しそうに過ごしている。私に「学園生活が楽しいです。イエルノ様、ありがとう」と笑ってくれた。私がヒーナに接触をしたのは、あくまでお姉様の乙女げぇむの主人公だったから。
だけれど私は……ヒーナがこうして笑ってくれると嬉しかった。こんな風にヒーナが微笑んでくれるのを見ると、このままずっと笑顔でいてくれたらいいのにとそんな気持ちにさえなるのだ。そういう気持ちに人をさせるヒーナは凄いと思う。
なんというか……ヒーナにはそういう力が確かにあるのだ。誰かの心を惹きつけるような力。それを持つヒーナは、私にとっても眩しい。そういう眩しさがきっとヒーナが主人公である所以なのかもしれない。
お姉様をざまぁするための準備を着々と進めていく中で、ウーログからこんな話を聞いた。
「……デルデ殿下とあの子、接触したみたいだな」
「デル兄様とヒーナが?」
「うん。流石乙女ゲームの世界っていうべきかな、ヒロインと攻略対象は出会う運命なのか……」
出会う運命なのではないかと、ウーログはそんなことを言う。私は特にヒーナに何か働きかけてはいなかった。ただヒーナの話を聞いていただけだった。デル兄様のことはヒーナに特別に何か言うこともなかった。けれど、それでもこれだけ学生の数がいる中で、デル兄様とヒーナは出会ったのだ。
デル兄様がヒーナに何を感じるかは分からない。その乙女げぇむの世界では、ヒーナはデル兄様の事を含めた攻略対象と呼ばれる殿方を次々と落としていくらしいけれど、現実で実際にそうなるとは思えない。人には心があるのだから、絶対はない。
「ウーログはどうなると思う? ヒーナとデル兄様はこのまま仲良くなると思う?」
「どうだろう……。デル殿下とヒーナの心次第だろうからね。そもそも人と人が互いにひかれあうというのは、奇跡だからさ。どちらかが惹かれたとしても、恋仲になる可能性は乙女ゲームの世界でもそうないんじゃないかな」
「そうね」
デル兄様の心はお姉様から離れていて、デル兄様はお姉様と婚約を解消しようと動いている。――第二王子という立場だからこそ、デル兄様は比較的自由である。国内が安定しているからというのもあるだろう。この国は他国と戦争が起こる事もなく、平和なのだ。平和だからこそ、デル兄様は相手を選べる立場にある。もし安定していなければデル兄様は恋なんて考えられないだろう。
……もし国が安定していなかったら私の婚約者もウーログではなかったかもしれない。すべての事が繋がっていて、それの一つ一つが原因で今の私たちがいる。
「――もしデルデ殿下がヒーナと恋をしたらどうする?」
「応援するわ。デル兄様のことも、ヒーナのことも好きだから。ただちゃんとけじめをつけてから、恋をしてほしいとは思うけれど。デル兄様とお姉様の婚約はおそらくこのまま解消されるだろうから、そのあたりは問題がないわ。お姉様も……デル兄様に断罪されるってそればかり考え込んで、デル兄様との幸せな未来を考えていないもの」
もっとお姉様がデル兄様との未来を考えたら、もっとお姉様がこの世界をちゃんと見てくれたら――きっと私の行動も違っただろう。
でもそのもし――だったらというのはもう遅いのだろう。歯車は既に動き出している。デル兄様とヒーナは出会ってしまった。恋仲にならなかったとしても、少なからず何かは動き出すことだろう。そんな予感を私は感じている。
――それから一週間後、お姉様の傍にひかえている侍女から話を聞いた。
お姉様はデル兄様とヒーナが接触したことを知っていたらしい。そしてまたおかしな行動を始めようとしていたのだと。
デル兄様とヒーナはただ偶然出会っただけで、互いに互いのことを何か特別意識していたわけでもなかったらしい。だけど、お姉様は――見当違いの事をデル兄様に言ったらしい。
ただ学園で同じ学生としてデル兄様がヒーナと出会っただけなのに、デル兄様に対する注意のようなものをしたのだ。でもそれはお姉様がデル兄様を見ているからの注意ではなく、ただアクノール・カプラッドとして、乙女げぇむのデル兄様に対する言葉だったようだ。
それはお姉様が焦っているから。落ち着きがなく、周りを見ないお姉様はおかしな様子を見せている。王家から派遣されている侍女がお姉様をいさめても全く聞きもしないらしい。聞けばいいのにー―ちゃんとその言葉をお姉様が聞いたのならば……なんて考えても仕方がないことを考える。
お姉様とデル兄様の距離も離れ、デル兄様は本格的にお姉様との婚約解消の事を陛下たちに相談しているらしい。そんなことにはお姉様は気づいていない。
あくまでお姉様は、乙女げぇむの中のデル兄様だけを見つめているから。――恋に溺れ、お姉様を見なくなり、暴走して、断罪をする。婚約破棄を行ったというげぇむの中のデル兄様。現実は全くそんなことはないのに、お姉様はデル兄様がそんな風にすると思い込んでいるのだ。
ヒーナは学園に転入して、楽しそうに過ごしている。私に「学園生活が楽しいです。イエルノ様、ありがとう」と笑ってくれた。私がヒーナに接触をしたのは、あくまでお姉様の乙女げぇむの主人公だったから。
だけれど私は……ヒーナがこうして笑ってくれると嬉しかった。こんな風にヒーナが微笑んでくれるのを見ると、このままずっと笑顔でいてくれたらいいのにとそんな気持ちにさえなるのだ。そういう気持ちに人をさせるヒーナは凄いと思う。
なんというか……ヒーナにはそういう力が確かにあるのだ。誰かの心を惹きつけるような力。それを持つヒーナは、私にとっても眩しい。そういう眩しさがきっとヒーナが主人公である所以なのかもしれない。
お姉様をざまぁするための準備を着々と進めていく中で、ウーログからこんな話を聞いた。
「……デルデ殿下とあの子、接触したみたいだな」
「デル兄様とヒーナが?」
「うん。流石乙女ゲームの世界っていうべきかな、ヒロインと攻略対象は出会う運命なのか……」
出会う運命なのではないかと、ウーログはそんなことを言う。私は特にヒーナに何か働きかけてはいなかった。ただヒーナの話を聞いていただけだった。デル兄様のことはヒーナに特別に何か言うこともなかった。けれど、それでもこれだけ学生の数がいる中で、デル兄様とヒーナは出会ったのだ。
デル兄様がヒーナに何を感じるかは分からない。その乙女げぇむの世界では、ヒーナはデル兄様の事を含めた攻略対象と呼ばれる殿方を次々と落としていくらしいけれど、現実で実際にそうなるとは思えない。人には心があるのだから、絶対はない。
「ウーログはどうなると思う? ヒーナとデル兄様はこのまま仲良くなると思う?」
「どうだろう……。デル殿下とヒーナの心次第だろうからね。そもそも人と人が互いにひかれあうというのは、奇跡だからさ。どちらかが惹かれたとしても、恋仲になる可能性は乙女ゲームの世界でもそうないんじゃないかな」
「そうね」
デル兄様の心はお姉様から離れていて、デル兄様はお姉様と婚約を解消しようと動いている。――第二王子という立場だからこそ、デル兄様は比較的自由である。国内が安定しているからというのもあるだろう。この国は他国と戦争が起こる事もなく、平和なのだ。平和だからこそ、デル兄様は相手を選べる立場にある。もし安定していなければデル兄様は恋なんて考えられないだろう。
……もし国が安定していなかったら私の婚約者もウーログではなかったかもしれない。すべての事が繋がっていて、それの一つ一つが原因で今の私たちがいる。
「――もしデルデ殿下がヒーナと恋をしたらどうする?」
「応援するわ。デル兄様のことも、ヒーナのことも好きだから。ただちゃんとけじめをつけてから、恋をしてほしいとは思うけれど。デル兄様とお姉様の婚約はおそらくこのまま解消されるだろうから、そのあたりは問題がないわ。お姉様も……デル兄様に断罪されるってそればかり考え込んで、デル兄様との幸せな未来を考えていないもの」
もっとお姉様がデル兄様との未来を考えたら、もっとお姉様がこの世界をちゃんと見てくれたら――きっと私の行動も違っただろう。
でもそのもし――だったらというのはもう遅いのだろう。歯車は既に動き出している。デル兄様とヒーナは出会ってしまった。恋仲にならなかったとしても、少なからず何かは動き出すことだろう。そんな予感を私は感じている。
――それから一週間後、お姉様の傍にひかえている侍女から話を聞いた。
お姉様はデル兄様とヒーナが接触したことを知っていたらしい。そしてまたおかしな行動を始めようとしていたのだと。
デル兄様とヒーナはただ偶然出会っただけで、互いに互いのことを何か特別意識していたわけでもなかったらしい。だけど、お姉様は――見当違いの事をデル兄様に言ったらしい。
ただ学園で同じ学生としてデル兄様がヒーナと出会っただけなのに、デル兄様に対する注意のようなものをしたのだ。でもそれはお姉様がデル兄様を見ているからの注意ではなく、ただアクノール・カプラッドとして、乙女げぇむのデル兄様に対する言葉だったようだ。
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