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アデミル様はかわいい。
アデミル様は私をかわいいと言うけれどそれは私が女で小柄だからだ。
でもアデミル様は違う。
威圧的なくらい大柄だし、そもそもワータイガーだし、だからか結構卑屈なところもある。
なのにかわいいのだ。かわいい、かわいい、めっちゃくちゃかわいい。格好良くて渋くてかわいい。あんなにかわいいひとこの世にいるのか、いやいた。私の旦那様だった。
え、なんて奇跡?こんなかわいいひとが私の旦那様?え?夢じゃないの?
今まで男の人と付き合ったことすらなかった私が急にこんな素敵な人と結婚していいの?
なんにも自信なんて無いしテクニックもナイスバディすら持ってない私が?
けれどアデミル様はそれでも良いと言ってくれた。こんな私を毎日かわいいって言って抱き寄せてキスで蕩けさせてくれた。
私もできるだけアデミル様が気持ちよくなれるよう頑張っているけれど、いつも愛してるよって言ってキスしてくれるのが嬉しい。
アデミル様にキスをされると凄くよく眠れるのだ。目を閉じて数秒ですとんと眠りに落ちて夢見るまもなく朝になって目が覚める。たまに夢を見るけどよく覚えていない。それくらい眠りが深いのだ。
私はもうきっとアデミル様のいない生活には戻れない。
だから、すべてを捧げよう。
あなたを愛しているともっと伝えるために。


いつも以上に念入りに体を洗って、夜着をまとう。
この世界の下着は簡素なものだ。もっとこう、フリルとか色んな色とかあってもいいのに、と思う。
せっかくのムードが台無しだと思うけれどこちらのひとにはこれが普通の感覚なのだろうからまあいい。なんなら私がデザインして売り出しても良い。きっと売れると思うんだよなあ。
まあそれは後で考えれば良い。今はただ、あの人のことを考えていたい。
彼の私室に向かうと、彼はいつものように私が作ったワインを飲んでいた。
「それ、飽きないんですか?」
飽きないとも、と彼は笑う。
「きみが私のために作ってくれたワインだ。飽きるわけがないだろう」
ほら、こんなたった一言で私を喜ばせてくれる。
「なら、良いんですけど」
少し照れながらそう返すと、彼はグラスの中身を飲み干して立ち上がった。
「行こう、シオリ」
「……はい」
差し出された手を取って、私は寝室に向かう。
私はこれから、このひとに抱かれる。このひとにすべてを暴かれてしまう。
それでも良かった。彼が私とひとつになりたいと思ってくれるなら。
ベッドに上がって口づけを交わす。キスはもう、だいぶ慣れた。
はじめの頃は鼻で息をするのも難しかったのに、今ではそれが普通にできる。人間、進歩するものなのだ。
キスに蕩かされながらベッドに押し倒されて夜着を剥がれていく。私もたどたどしい手付きで彼の夜着を剥ぎ、彼が私の下着を剥いでいくに任せた。
「きれいだ、シオリ……」
彼がうっとりと私の裸体を見下ろして言う。ありがとうございますと言うのもなんだか変な気がして視線をさまよわせているとこちらを見ろ、と囁かれる。
「私を見ていれば良い。何も怖いことはない」
「はい……アデミル様」
視線を合わせると唇を合わせ、舌を絡めていく。アデミル様の手が私の胸に添えられた。
「ん……」
体温の低い手が私の乳房をやんわりと揉む。きゅ、と頂きをつままれるとびりっと背筋に電流が走った。
「ん、ふ……」
くにくにとそこを捏ねられて私は身を捩る。今まで感じたことのない微電流のような快楽にはしたなくも両脚をこすり合わせた。
アデミル様の手が私の乳房から腹、腰へと滑っていき、薄い茂みをさりりと撫でた。
「ふあ……」
長い口づけから開放された私は呼吸が楽になるのが良いような声が漏れてしまうのが悪いような複雑な心境になった。
「あっ」
彼の指が私の入り口を探り当て、くりくりと動かした。それはぬめりを帯びており、私は自分が濡れていることを自覚して赤くなる。
彼はすぐには指を入れようとせず、入り口の周りを指の腹で撫でてそれからゆっくりと指を埋めてきた。
「あ、あ……!」
ぬぬっと体内に指が入り込んでくる感覚にぞくぞくとした何かが湧き上がってくるのを感じた。
「痛くはないか」
「はい……」
ぬこりぬこりと出し入れされて全身がしびれるような感覚に陥る。
アデミル様が私の脚を割ってその間に体をねじ込むと体を屈めて私の花芯に口づけた。
「ひあっ」
指をぬこぬこと抜き差ししながら花芯にちろちろと舌を絡められる。喘ぎながらびくびくと震えていると指が増やされた。
アデミル様の指は太くて長い。一本増えただけで圧迫感が違う、と思いながらもあ、あと喘ぐのをやめられない。
どうして。
どうしてこんなに気持ちがいいの。
私、初めてのはずなのに。こんなに喘いでいる。
それがひとえにアデミル様の手管に寄るものだと気づいて少しだけ嫉妬した。
彼の相手をしてきた今までの女性に。
けれどいいのだ。だってもうこの先、彼は私しか抱かない。だから良いのだ。
「あんんっ」
内壁を強く擦られて私は思わず達してしまう。ぎゅうっと彼の指を締め付けてその形を身の内に感じながらびくびくと震えた。
ぬぽり、と淫猥な音を立てて指が引き抜かれる。アデミル様が自身の下着の中から猛ったそれを取り出して指に残ったぬめりをそこに塗りつけた。
そして私の脚を抱えあげるとひたりと熱の先端を入り口に押し当てる。
「……力を抜いていろ」
「はい……」
押し入ってくるその熱量に、私は体を震わせたのだった。



(続く)
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