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語る話題は無尽蔵に湧いた。輝夜という存在そのものが大切なので、姉が関わり合う思い出のすべてが語るべき対象となった。
大切だと気づくのが遅かったことを恥じるように、感情を排し、機械的な口述に徹していたが、やがて散発的に感情が混入するようになった。無機質な語りは意識したものではなく、しゃべりやすさは圧倒的に感情を織り交ぜるやり方を採用したため、瞬く間にそちらに絡め取られた。感情的になればなるほど感情的になった。
話し相手が猫ということも忘れて朔也は語る。涙ぐむ場面もあり、握りしめた拳を振りかざす場面もあった。もっとも、ネガティブな感情はすべて語り手自身に向けられたものだった。
長くなりそうだったので、そばにあった、四角柱を横倒しにしたような形状の墓石に腰を下ろす。虹猫は朔也の前まで移動し、すぐさま凝視の態勢に入った。
墓石を椅子代わりにした罪悪感はまったくない。虹猫と同じだ。常識的に見れば不可思議な世界が、僕が話すために用意した椅子なのだと思う。仮に真実からは外れた解釈だったのだとしても、咎める人間がいないのだから構わないさ、と開き直っている。
彼はふてぶてしくなっていた。雨の中を駆ける恋人を追いかける者が、路傍に咲く花を平気で踏みつけるのと同じだ。姉について語る目的の前に、ささいな触法行為は取るに足らないものでしかなかった。いつしか身振り手振りが交えられ、空想した木々をねぐらにした黒鳥たちはいつまで経っても静観の構えを崩さない。
語りが終幕へと近づくにつれて、感極まって言葉に詰まる場面が増えてきた。話題は無限に抽出できても、朔也にとっての主人公はすでにこの世の人ではない。終わりが明確に存在し、語り手はそれを否応にも意識せざるを得なかった。
無限の話題の中でもっとも重要で、ゆえに無視できないのは、言うまでもなく死だ。
悲しみの感情の力は凄まじい。虹猫と遭遇する以前、朔也は不可思議が現実と世界への不条理に対する憤りを持て余し、虹猫相手に話しかけてからも、その感情を吐き出すのが有力な目的の一つだったはずなのに、いつの間にか大切な肉親を失った悲しみに囚われている。
好きだった、だから悲しい。
大切な人だった、だから悲しい。
もう二度と戻ってこない、だから悲しい。
煎じ詰めればそうまとめられる趣旨の発言を、十五歳の語彙と表現力が許す限りに言い回しを組み替えながら、延々と垂れ流すだけの機械に、無自覚のままに慣れ果てていた。
しかし、やがて、語りの勢いに陰りが見えはじめた。減速した乗り物が加速するのにはエネルギーが必要だが、今や朔也に一時期ほどの熱量はない。言葉の羅列は、声量とともに次第に尻すぼみになり、唇の動きがやがて停止する。
もっとも、納得がいかない気持ち、受け入れがたい気持ちは、まだ完全には消えていない。
大切だと気づくのが遅かったことを恥じるように、感情を排し、機械的な口述に徹していたが、やがて散発的に感情が混入するようになった。無機質な語りは意識したものではなく、しゃべりやすさは圧倒的に感情を織り交ぜるやり方を採用したため、瞬く間にそちらに絡め取られた。感情的になればなるほど感情的になった。
話し相手が猫ということも忘れて朔也は語る。涙ぐむ場面もあり、握りしめた拳を振りかざす場面もあった。もっとも、ネガティブな感情はすべて語り手自身に向けられたものだった。
長くなりそうだったので、そばにあった、四角柱を横倒しにしたような形状の墓石に腰を下ろす。虹猫は朔也の前まで移動し、すぐさま凝視の態勢に入った。
墓石を椅子代わりにした罪悪感はまったくない。虹猫と同じだ。常識的に見れば不可思議な世界が、僕が話すために用意した椅子なのだと思う。仮に真実からは外れた解釈だったのだとしても、咎める人間がいないのだから構わないさ、と開き直っている。
彼はふてぶてしくなっていた。雨の中を駆ける恋人を追いかける者が、路傍に咲く花を平気で踏みつけるのと同じだ。姉について語る目的の前に、ささいな触法行為は取るに足らないものでしかなかった。いつしか身振り手振りが交えられ、空想した木々をねぐらにした黒鳥たちはいつまで経っても静観の構えを崩さない。
語りが終幕へと近づくにつれて、感極まって言葉に詰まる場面が増えてきた。話題は無限に抽出できても、朔也にとっての主人公はすでにこの世の人ではない。終わりが明確に存在し、語り手はそれを否応にも意識せざるを得なかった。
無限の話題の中でもっとも重要で、ゆえに無視できないのは、言うまでもなく死だ。
悲しみの感情の力は凄まじい。虹猫と遭遇する以前、朔也は不可思議が現実と世界への不条理に対する憤りを持て余し、虹猫相手に話しかけてからも、その感情を吐き出すのが有力な目的の一つだったはずなのに、いつの間にか大切な肉親を失った悲しみに囚われている。
好きだった、だから悲しい。
大切な人だった、だから悲しい。
もう二度と戻ってこない、だから悲しい。
煎じ詰めればそうまとめられる趣旨の発言を、十五歳の語彙と表現力が許す限りに言い回しを組み替えながら、延々と垂れ流すだけの機械に、無自覚のままに慣れ果てていた。
しかし、やがて、語りの勢いに陰りが見えはじめた。減速した乗り物が加速するのにはエネルギーが必要だが、今や朔也に一時期ほどの熱量はない。言葉の羅列は、声量とともに次第に尻すぼみになり、唇の動きがやがて停止する。
もっとも、納得がいかない気持ち、受け入れがたい気持ちは、まだ完全には消えていない。
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