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決行②
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僕の渾身の一撃を食らっても、シルヴァーは死ななかった。しかし、誰になにをされたのかは把握しているはずだ。
ここで攻撃をやめれば、きっと報復される。
女王に反抗したという大罪を、死という方法で償わされる。
――その前に、殺さなければ……!
もう一度、棍棒を振りかざした。絶え間なく体を右に左に半回転させて悶えているが、頭部の位置はほぼ一定しているので狙いはつけやすい。
もう一撃、両手の隙間を狙って叩き込む。
ぎゃっ、という短く甲高い悲鳴。
さらにもう一撃、二撃。
両手が力なく滑り落ち、隠れていた顔が露わになった。
驚愕が電撃のように体を駆け抜け、僕の心身は凍りつく。
シルヴァーはとろけたように笑っていた。恍惚の表情だ。
毎夜のように目にしてきたから、すぐに分かった。シルヴァーは性的快感を覚えているとき、決まってこんな顔をする……。
孤島の女王は、奴隷から殴られて、心地よさを感じて、笑っているのだ。
「待っておったぞ。クロよ、あたしはな、この瞬間をなによりも大望しておったのだ」
表情はそのままに、微かに震えを帯びてはいるが比較的しっかりした口調で、シルヴァーはしゃべる。
身分をわきまえずに盾突いたことに激高している様子では、明らかにない。
「お前は、今のあたしの表情を怪訝に思っておるな? 死ぬほど痛い攻撃を何発も食らったにもかかわらず、なぜ笑っていられるのかと。答えは単純明快、気持ちいいからだよ。痛いと気持ちいいんだ。苦しいのが快感なんだ。ようするに、変態ということだな。記憶を失い、世間知らずの子どもも同然のお前は知らんだろうが、世の中にはそういう歪んだ嗜好を持つ人間が、数は少ないが存在しているんだよ。その一人が、女王たるこのあたし。それだけの話だ」
「……そんな。僕はてっきり、陛下は僕を虐待することに喜びを感じているのかと……」
「違う。正反対だ。あたしは人から虐められるほうが好きなんだよ。断然好きだ。お前を虐めていたのは、虐められ続けることでお前が怒りを爆発させ、あたしを殺してくれることを期待したからだよ。奴隷の手によって苦しみながら殺されるという、歪んだ人間にとっての最高の快楽を味わいたくて、お前に酷いことばかりしていたのだ」
シルヴァーの呼吸は荒い。そのことに気がついた瞬間、思う。
僕は、とんでもない過ちを犯してしまったのでは?
「長くなるが、語らせてくれ。楽しみの少ない暮らしを送ってきたお前にとっては、なかなか興味深く、それなりに面白い話ではあると思う。奴隷としての最後の仕事だと思って、まあ聞いてくれ」
ここで攻撃をやめれば、きっと報復される。
女王に反抗したという大罪を、死という方法で償わされる。
――その前に、殺さなければ……!
もう一度、棍棒を振りかざした。絶え間なく体を右に左に半回転させて悶えているが、頭部の位置はほぼ一定しているので狙いはつけやすい。
もう一撃、両手の隙間を狙って叩き込む。
ぎゃっ、という短く甲高い悲鳴。
さらにもう一撃、二撃。
両手が力なく滑り落ち、隠れていた顔が露わになった。
驚愕が電撃のように体を駆け抜け、僕の心身は凍りつく。
シルヴァーはとろけたように笑っていた。恍惚の表情だ。
毎夜のように目にしてきたから、すぐに分かった。シルヴァーは性的快感を覚えているとき、決まってこんな顔をする……。
孤島の女王は、奴隷から殴られて、心地よさを感じて、笑っているのだ。
「待っておったぞ。クロよ、あたしはな、この瞬間をなによりも大望しておったのだ」
表情はそのままに、微かに震えを帯びてはいるが比較的しっかりした口調で、シルヴァーはしゃべる。
身分をわきまえずに盾突いたことに激高している様子では、明らかにない。
「お前は、今のあたしの表情を怪訝に思っておるな? 死ぬほど痛い攻撃を何発も食らったにもかかわらず、なぜ笑っていられるのかと。答えは単純明快、気持ちいいからだよ。痛いと気持ちいいんだ。苦しいのが快感なんだ。ようするに、変態ということだな。記憶を失い、世間知らずの子どもも同然のお前は知らんだろうが、世の中にはそういう歪んだ嗜好を持つ人間が、数は少ないが存在しているんだよ。その一人が、女王たるこのあたし。それだけの話だ」
「……そんな。僕はてっきり、陛下は僕を虐待することに喜びを感じているのかと……」
「違う。正反対だ。あたしは人から虐められるほうが好きなんだよ。断然好きだ。お前を虐めていたのは、虐められ続けることでお前が怒りを爆発させ、あたしを殺してくれることを期待したからだよ。奴隷の手によって苦しみながら殺されるという、歪んだ人間にとっての最高の快楽を味わいたくて、お前に酷いことばかりしていたのだ」
シルヴァーの呼吸は荒い。そのことに気がついた瞬間、思う。
僕は、とんでもない過ちを犯してしまったのでは?
「長くなるが、語らせてくれ。楽しみの少ない暮らしを送ってきたお前にとっては、なかなか興味深く、それなりに面白い話ではあると思う。奴隷としての最後の仕事だと思って、まあ聞いてくれ」
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