78 / 85
女王の過去②
しおりを挟む
敵国と戦う我が王国の軍隊は、各地で敗走を重ねた。戦況は一向に好転しないまま、恐れていた瞬間がとうとうやってきた。
あたしたちの住まいである城の門が、敵国軍の手によって破られたのだ。
家臣や使用人たちは虫けらのように殺され、最後の砦であるお父さまの私室に雪崩れ込んできた。
怒号とともに扉が蹴破られ、視界いっぱいに敵国軍の姿が映った瞬間に駆け抜けた戦慄は、今でも鮮明に覚えている。
そしてそれが、世にも凄惨な殺戮ショーの幕が上がる合図でもあったのだ。子どものあたしが遊びでやる虐待とは比べものにならない、世にもおぞましいショーの幕が。
やつらはまず、お父さまを取り囲んで殴る蹴るの暴行を加えた。
お父さまは最初、威厳をもってやつらを追い払おうとした。それが無駄だと分かると、毅然とした態度で話し合いを持ちかけた。
しかし、もとより聞く耳を持つような連中ではない。いっそ一思いに刃で首を刎ねてもらえれば、お父さまも楽に逝けたのだが、やつらは多勢に無勢でなぶり殺しにすることを選んだ。
やつらのやりかたは、プロの戦争屋のものというよりも、闇の世界に生きる無法者のそれだった。お父さまは両目をえぐられ、腕をへし折られ、陰茎を切り落とされた。
それらは全て、あたしやお母さまや妹たちが見ている前で行われたことだ。
一番上の兄は遠征に出ていて不在だったし、他の兄たちは敵軍の入城を阻止するために迎え撃って、すでに殺されていたから、お父さま以外には女しか残っていなかったのだよ。暴力に対してはあまりにも無力な女どもしかな。
お母さまは泣き喚きながら助命を嘆願する。
姉は恐怖とショックのあまり失神する。
妹たちはただただ涙する。
あたし一人だけがやつらの所業を直視していた。だから、お父さまの命がどのような結末を迎えたのかは誰よりも詳しく知っている。
暴行の果てに首を斬られ、それが致命傷となって絶命したのだ。一刀のもとに斬首されたのではない。頸部を深くもなく浅くもなく切り裂かれ、噴出する鮮血をどう足掻いても止められず、出血多量で絶命したのだ。
やつらは、最も苦しむやりかたでお父さまの命を奪ったのだ。
やつらはお父さまを殺すと、今度はお母さまに襲いかかった。殴る蹴るの暴行を加えながら強姦したのだ。
やつらは実に様々なやりかたで、なおかつ徹底的に、お母さまを痛めつけた。あたしが日ごろお前にしているようなことを、もっともっと乱暴にやったと想像すればいい。
セックスというものをまともに見たのは初めてだったから、ショックだった。同じ女だから、あたしもお母さまと同じ目に遭わされる可能性がある、という意味でもショックだった。
強姦と暴行の果てに、お母さまは殺された。槍を力任せに性器に突っ込まれて、それが致命傷となってな。
国王の妻という身分だから、王国が苦境に立たされれば惨めな立場に追いやられる覚悟はしていただろう。しかし、まさか、あそこに槍を突っ込まれて殺されるとは思ってもみなかっただろうな。
……そのときだよ。そのときなんだよ、クロ。あたしが、自分自身や、自分にとって大切な存在に虐げられることに喜ぶ人間だと気がついたのは。
あたしたちの住まいである城の門が、敵国軍の手によって破られたのだ。
家臣や使用人たちは虫けらのように殺され、最後の砦であるお父さまの私室に雪崩れ込んできた。
怒号とともに扉が蹴破られ、視界いっぱいに敵国軍の姿が映った瞬間に駆け抜けた戦慄は、今でも鮮明に覚えている。
そしてそれが、世にも凄惨な殺戮ショーの幕が上がる合図でもあったのだ。子どものあたしが遊びでやる虐待とは比べものにならない、世にもおぞましいショーの幕が。
やつらはまず、お父さまを取り囲んで殴る蹴るの暴行を加えた。
お父さまは最初、威厳をもってやつらを追い払おうとした。それが無駄だと分かると、毅然とした態度で話し合いを持ちかけた。
しかし、もとより聞く耳を持つような連中ではない。いっそ一思いに刃で首を刎ねてもらえれば、お父さまも楽に逝けたのだが、やつらは多勢に無勢でなぶり殺しにすることを選んだ。
やつらのやりかたは、プロの戦争屋のものというよりも、闇の世界に生きる無法者のそれだった。お父さまは両目をえぐられ、腕をへし折られ、陰茎を切り落とされた。
それらは全て、あたしやお母さまや妹たちが見ている前で行われたことだ。
一番上の兄は遠征に出ていて不在だったし、他の兄たちは敵軍の入城を阻止するために迎え撃って、すでに殺されていたから、お父さま以外には女しか残っていなかったのだよ。暴力に対してはあまりにも無力な女どもしかな。
お母さまは泣き喚きながら助命を嘆願する。
姉は恐怖とショックのあまり失神する。
妹たちはただただ涙する。
あたし一人だけがやつらの所業を直視していた。だから、お父さまの命がどのような結末を迎えたのかは誰よりも詳しく知っている。
暴行の果てに首を斬られ、それが致命傷となって絶命したのだ。一刀のもとに斬首されたのではない。頸部を深くもなく浅くもなく切り裂かれ、噴出する鮮血をどう足掻いても止められず、出血多量で絶命したのだ。
やつらは、最も苦しむやりかたでお父さまの命を奪ったのだ。
やつらはお父さまを殺すと、今度はお母さまに襲いかかった。殴る蹴るの暴行を加えながら強姦したのだ。
やつらは実に様々なやりかたで、なおかつ徹底的に、お母さまを痛めつけた。あたしが日ごろお前にしているようなことを、もっともっと乱暴にやったと想像すればいい。
セックスというものをまともに見たのは初めてだったから、ショックだった。同じ女だから、あたしもお母さまと同じ目に遭わされる可能性がある、という意味でもショックだった。
強姦と暴行の果てに、お母さまは殺された。槍を力任せに性器に突っ込まれて、それが致命傷となってな。
国王の妻という身分だから、王国が苦境に立たされれば惨めな立場に追いやられる覚悟はしていただろう。しかし、まさか、あそこに槍を突っ込まれて殺されるとは思ってもみなかっただろうな。
……そのときだよ。そのときなんだよ、クロ。あたしが、自分自身や、自分にとって大切な存在に虐げられることに喜ぶ人間だと気がついたのは。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる