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その日の帰宅後、真理愛と玲奈は連絡先を交換してからもっとも長時間、電話で会話した。明後日に迫った遊びに行く予定の詳細を決めるためだが、脱線も頻繁に起きた。
二人とも、逸脱した流れをすぐに正そうとはしない。思いがけず現れた光景をともに楽しみ、本来の目的をなかば忘れてはしゃぐ自分を自分で笑った。横道に逸れているからこそ感じられる愉快さを自然体で味わった。遊びに行く前から、今まさに遊びを満喫している最中のようにはしゃいでいた。浮かれていた。
「行く店? まあ、そのときの気分次第でいいんじゃない。別に事前にきっちり決めておく必要はないと思うけどね」
待ち合わせ場所、待ち合わせ時間、利用する交通機関。次から次へと決定事項が増えていく中、本丸とも呼ぶべき具体的な行き先についての議論に入って早々の玲奈の発言だ。
詳細まで詰めておきたい真理愛に対して、玲奈はゆとりを持たせたがる傾向にある。そのいい加減さにやきもきすることもあったが、やりとりを重ねるうちに、逆に頼もしさを感じるようになった。真理愛よりもK駅前について詳しい玲奈が、「いい加減でも差し支えない」と豪語するのだから、きっと支障はないのだろう、玲奈を信頼してすべて玲奈に任せてみよう、と。
「そうだよね。玲奈の言うことに一理あるかも」
「でしょ? ちなみに、現時点でどこに行きたいっていう希望はある? 私はね――」
いくつかの店の名前が挙げられたが、真理愛は薄く苦笑して首を傾げた。
「ごめん、ぴんとこない。そもそもわたし、ファッションには疎いから。名前は聞いたことある気がするけど、どの年齢層向けのどういう雰囲気の店なのかとか、全然イメージできないよ」
「えー、そうなんだ。それって、ちょっと心配になる疎さだね」
部屋の空気が少し下がった気がした。逆に、体は今にも汗が流れ出しそうに熱せられた。
樹音率いるグループの女子は、よくファッション関係の話に花を咲かせている。樹音はまだ中学二年生だがメイクをばっちり決めているし、休み時間にファッション雑誌を机に広げている光景をよく見かける。玲奈たち取り巻きたちもその手の話題には嬉々として参加している。
一方の真理愛は、関心がないわけではないが貪欲ではない。ファッションに関する知識やテクニックは、同年代の同性と比べて大きく遅れをとっていると考えるのが妥当だろう。
失望されてしまっただろうか? 友情が壊れる遠因にならないだろうか?
二人とも、逸脱した流れをすぐに正そうとはしない。思いがけず現れた光景をともに楽しみ、本来の目的をなかば忘れてはしゃぐ自分を自分で笑った。横道に逸れているからこそ感じられる愉快さを自然体で味わった。遊びに行く前から、今まさに遊びを満喫している最中のようにはしゃいでいた。浮かれていた。
「行く店? まあ、そのときの気分次第でいいんじゃない。別に事前にきっちり決めておく必要はないと思うけどね」
待ち合わせ場所、待ち合わせ時間、利用する交通機関。次から次へと決定事項が増えていく中、本丸とも呼ぶべき具体的な行き先についての議論に入って早々の玲奈の発言だ。
詳細まで詰めておきたい真理愛に対して、玲奈はゆとりを持たせたがる傾向にある。そのいい加減さにやきもきすることもあったが、やりとりを重ねるうちに、逆に頼もしさを感じるようになった。真理愛よりもK駅前について詳しい玲奈が、「いい加減でも差し支えない」と豪語するのだから、きっと支障はないのだろう、玲奈を信頼してすべて玲奈に任せてみよう、と。
「そうだよね。玲奈の言うことに一理あるかも」
「でしょ? ちなみに、現時点でどこに行きたいっていう希望はある? 私はね――」
いくつかの店の名前が挙げられたが、真理愛は薄く苦笑して首を傾げた。
「ごめん、ぴんとこない。そもそもわたし、ファッションには疎いから。名前は聞いたことある気がするけど、どの年齢層向けのどういう雰囲気の店なのかとか、全然イメージできないよ」
「えー、そうなんだ。それって、ちょっと心配になる疎さだね」
部屋の空気が少し下がった気がした。逆に、体は今にも汗が流れ出しそうに熱せられた。
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一方の真理愛は、関心がないわけではないが貪欲ではない。ファッションに関する知識やテクニックは、同年代の同性と比べて大きく遅れをとっていると考えるのが妥当だろう。
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