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わたしはこの家に来るのははじめてだから、キッチンの場所はわからない。川真田は説明するが面倒くさかったから、勝手知ったるあんたに任せたんだろうに。
そんな簡単なこともわからずに八つ当たりって、こいつ、馬鹿だ。馬鹿なやつの仲間は馬鹿だし、そのリーダーもやっぱり馬鹿。
まとめて殺してしまおう。馬鹿なんだから殺してもいいよね、別に。
樹音たちが飲食しながら無駄話をしているあいだ、真理愛は鏖計画を磨き上げようと考えていたのだが、
「いけない、忘れるところだった。おい、湯田」
唐突に樹音が真理愛のほうを向き、こう命じた。
「一階の廊下の雑巾がけ、やっておいて。玄関の近くに『用具入れ』ってプレートが貼ってあるドア、あったでしょ。あそこは物置部屋で、道具はその中にあるから、適当に掃除しといて」
「わたしがしてもいいの? 家事は家の人がするものだと思うけど……」
「ばーか。そのためにお前を連れてきたんだよ。廊下の掃除はあたしの担当なんだけど、範囲が広いし、かったるくてやってられないだろ。ちょうどいいから湯田にやらせようと思ってさ」
取り巻きの何人かが笑った。仲がいいわけでもない人間を同行させるのは変だと思っていたけど、そういう事情があったのね、ご愁傷さま――そんな笑いだ。中でも佐久間は痛快だったようで、笑いすぎてむせていた。
「命令に逆らう気なら、六人がかりでお前を殺すつもりでいるんだけど、返事は?」
「わかった。してくるよ、廊下の掃除」
樹音は満足そうに大きくうなずき、話の輪に復帰した。
真理愛は暗い表情で部屋を出る。
後ろ手にドアを閉めたとたん、その顔は狂気の微笑に歪む。
さあ、鏖計画の下準備だ。
掃除道具は物置部屋に揃っていた。それを手に、一階の各地を見て回る。清掃が必要なほど汚れているようには見えなかったが、入念なチェックが行われる事態も想定し、雑巾で床を拭きながらの行動となる。
調査の結果、居間・台所・食堂がひと続きになった空間が中央に据えられ、取り囲むように設けられた廊下から各部屋に行けるようになっている、という間取りだとわかった。ドアに鍵がかかっている部屋、ドアあるいは襖は閉まっているが施錠されていない部屋、ドアや襖が開きっぱなしになった部屋と、さまざまある。
真理愛が注目したのは、東向きの十畳ほどの畳敷きの和室。床の間が設けられた、時間帯によっては幽霊でも出てきそうな一室だ。樹音の自室は、個人の私室にしては広かったが、七人分の寝床を設けるには狭い。押し入れを開いてみると、複数の布団が収納されていて、ぴったり七セットあった。
真理愛はほくそ笑み、物置部屋に引き返した。
そんな簡単なこともわからずに八つ当たりって、こいつ、馬鹿だ。馬鹿なやつの仲間は馬鹿だし、そのリーダーもやっぱり馬鹿。
まとめて殺してしまおう。馬鹿なんだから殺してもいいよね、別に。
樹音たちが飲食しながら無駄話をしているあいだ、真理愛は鏖計画を磨き上げようと考えていたのだが、
「いけない、忘れるところだった。おい、湯田」
唐突に樹音が真理愛のほうを向き、こう命じた。
「一階の廊下の雑巾がけ、やっておいて。玄関の近くに『用具入れ』ってプレートが貼ってあるドア、あったでしょ。あそこは物置部屋で、道具はその中にあるから、適当に掃除しといて」
「わたしがしてもいいの? 家事は家の人がするものだと思うけど……」
「ばーか。そのためにお前を連れてきたんだよ。廊下の掃除はあたしの担当なんだけど、範囲が広いし、かったるくてやってられないだろ。ちょうどいいから湯田にやらせようと思ってさ」
取り巻きの何人かが笑った。仲がいいわけでもない人間を同行させるのは変だと思っていたけど、そういう事情があったのね、ご愁傷さま――そんな笑いだ。中でも佐久間は痛快だったようで、笑いすぎてむせていた。
「命令に逆らう気なら、六人がかりでお前を殺すつもりでいるんだけど、返事は?」
「わかった。してくるよ、廊下の掃除」
樹音は満足そうに大きくうなずき、話の輪に復帰した。
真理愛は暗い表情で部屋を出る。
後ろ手にドアを閉めたとたん、その顔は狂気の微笑に歪む。
さあ、鏖計画の下準備だ。
掃除道具は物置部屋に揃っていた。それを手に、一階の各地を見て回る。清掃が必要なほど汚れているようには見えなかったが、入念なチェックが行われる事態も想定し、雑巾で床を拭きながらの行動となる。
調査の結果、居間・台所・食堂がひと続きになった空間が中央に据えられ、取り囲むように設けられた廊下から各部屋に行けるようになっている、という間取りだとわかった。ドアに鍵がかかっている部屋、ドアあるいは襖は閉まっているが施錠されていない部屋、ドアや襖が開きっぱなしになった部屋と、さまざまある。
真理愛が注目したのは、東向きの十畳ほどの畳敷きの和室。床の間が設けられた、時間帯によっては幽霊でも出てきそうな一室だ。樹音の自室は、個人の私室にしては広かったが、七人分の寝床を設けるには狭い。押し入れを開いてみると、複数の布団が収納されていて、ぴったり七セットあった。
真理愛はほくそ笑み、物置部屋に引き返した。
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