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町の西に小高い山がそびえている。特筆するほどの高さではないが、町内にその山ほど高いものは存在しないため、ひときわ存在感を放っている。
その山の中腹に川真田家はある。道中、樹音はそう説明した。
先頭を行くのはグループのリーダーたる彼女。その斜め後ろには、玲奈。会話のイニシアティブをとるわけでもないのに真理愛が中心に据えられ、残る四人が四囲を固めるという陣形だ。
一行は山を縦断する本道を道なりに進み、やがて脇道に入った。木々を最小限切り倒して無理やり開通したような、細く、曲がりくねった、路面が舗装されているのが唯一の救いといった悪路だ。本道を歩いていたときはちらほらと見かけた民家は、姿を消した。樹音に配慮して婉曲な表現が選ばれたが、人が住むような場所ではない、という趣旨の感想を口にした者もいた。
突如として開けた場所に出た。真理愛たちが通う中学校の敷地に匹敵しようかという面積の、白っぽい平坦な地面が広がる最奥に、風情ある佇まいの日本家屋が建っている。屋敷と表現したほうがしっくりくる大きさであり、外観だ。
「湯田は来るのははじめてだよね。あれがあたしの家。パパもママももう出かけたから、騒ぎたい放題だよ。さあ、入ろう」
案内された二階の樹音の自室は、和風の外観とは打って変わって洋間で、ピンクの主張が強い。少女趣味をあからさまに示すものは置かれていないが、全体としては少女らしさが感じられる内装。七人が入り、荷物を下ろしてもまだ数人は座れる余地がある広さだ。
樹音は佐久間に「人数分のジュースを淹れて、お菓子も持ってきて」と命じ、みなと談笑をはじめた。
リラックスした様子の六人が交わす会話の内容は、真理愛を掠めてすらいない。普通の女子中学生らしい無邪気な笑顔を見せながらの、普通の女子中学生らしい他愛もない会話。真理愛は輪から少し外れた場所に正座し、無意味だとしか思えないやりとりを聞き流す。
佐久間が戻ってきた。六人分の飲み物と、大量のお菓子をのせたトレイを手にしていて、こぼすまいと指先に力がこもっている。
佐久間は真理愛の背後を通るさいに、背中を蹴った。その拍子にグラスの一個からジュースが少しこぼれ、加害者の目が泳いだのを真理愛は見た。
馬鹿だろ、こいつ。
真理愛は蹴られたことで少し崩れた姿勢を正しながら、心の中で吐き捨てる。
その山の中腹に川真田家はある。道中、樹音はそう説明した。
先頭を行くのはグループのリーダーたる彼女。その斜め後ろには、玲奈。会話のイニシアティブをとるわけでもないのに真理愛が中心に据えられ、残る四人が四囲を固めるという陣形だ。
一行は山を縦断する本道を道なりに進み、やがて脇道に入った。木々を最小限切り倒して無理やり開通したような、細く、曲がりくねった、路面が舗装されているのが唯一の救いといった悪路だ。本道を歩いていたときはちらほらと見かけた民家は、姿を消した。樹音に配慮して婉曲な表現が選ばれたが、人が住むような場所ではない、という趣旨の感想を口にした者もいた。
突如として開けた場所に出た。真理愛たちが通う中学校の敷地に匹敵しようかという面積の、白っぽい平坦な地面が広がる最奥に、風情ある佇まいの日本家屋が建っている。屋敷と表現したほうがしっくりくる大きさであり、外観だ。
「湯田は来るのははじめてだよね。あれがあたしの家。パパもママももう出かけたから、騒ぎたい放題だよ。さあ、入ろう」
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佐久間が戻ってきた。六人分の飲み物と、大量のお菓子をのせたトレイを手にしていて、こぼすまいと指先に力がこもっている。
佐久間は真理愛の背後を通るさいに、背中を蹴った。その拍子にグラスの一個からジュースが少しこぼれ、加害者の目が泳いだのを真理愛は見た。
馬鹿だろ、こいつ。
真理愛は蹴られたことで少し崩れた姿勢を正しながら、心の中で吐き捨てる。
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