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真理愛は他の四人の囃し立てる声に促されて腰を上げる。奴隷に相対した高宮は、奴隷ではなく樹音のことを見ている。
『樹音さま、見ていてください。私、今からこいつを思いきり殴るんで。もし殴りっぷりがお気に召しましたら、今後はなにとぞ御贔屓に』
真理愛はそんなセリフを脳内でアテレコした。
高宮が顔を真理愛に向け、腰を少し落として右腕を引いた。放たれた右拳は、腹部にものの見事に直撃した。凄まじい衝撃と、半拍遅れて到来した痛みに、患部を両手で押さえて蹲る。観衆ははしゃいだような声を上げた。
顔を上げると、高宮は勝ち誇ったように右手を突き上げて歯を見せている。その視線が樹音に注がれているのを見て、馬鹿が、と心の中で吐き捨てた。唾もいっしょに吐き捨てたい気分だった。
二回目のくじ引きで、高宮は召使いから王様に昇格した。二代目召使いに選ばれたのは花岡で、高宮の「どこでもいいから蹴って」という命令を嬉々として実行した。花岡は高宮ほど力が強くないため、真理愛は少し体をぐらつかせただけだ。
見物人一同の拍手に気をよくしたらしく、花岡は命令なしでもう一発蹴った。威力は一回目と大差なかったが、不意を打たれた真理愛は床にうずくまった。また拍手が鳴った。
三回目以降はテンポよく進んだ。くじが引かれるごとに指示を下す人間と実行する人間が変わり、指示の内容も変わり、真理愛が屈辱的で痛みを伴う被害に遭う。その反復だった。
最初は物理的に痛めつけるだけだったが、玲奈が「音楽に合わせて踊れ」と命じたのを機に、精神的な屈辱感を与えることに主眼が置かれた命令も出されるようになった。
運悪く、二回目の☆をなかなか引き当てられない樹音は、やがてルールを無視して、誰かに直接なんらかの行為を命じるようになった。グループの絶対的なリーダーは、一言の異論なく特別扱いを許可された。他の五人もリーダーに倣い、機会を見ては自らもルールを違反した。
かくして、くじ引き制度は形骸化した。指示の内容、真理愛が受ける被害は次第にエスカレートしていく。
「裸になって土下座しろ。『生まれてきてすみません』って謝れ。ほら、早く」
樹音がわけもなく苛立ったようにそう命じたときは、「さすがにそれはまずいんじゃないの?」という空気が漂った。樹音は立場上、無理矢理命令を押し通すこともできた。しかし今回は、仲間たちの意気地のなさを嘲るような冷笑に口元を歪め、「じゃあ下着姿でいいよ」と、尊大な寛大さを見せつけることを選んだ。
『樹音さま、見ていてください。私、今からこいつを思いきり殴るんで。もし殴りっぷりがお気に召しましたら、今後はなにとぞ御贔屓に』
真理愛はそんなセリフを脳内でアテレコした。
高宮が顔を真理愛に向け、腰を少し落として右腕を引いた。放たれた右拳は、腹部にものの見事に直撃した。凄まじい衝撃と、半拍遅れて到来した痛みに、患部を両手で押さえて蹲る。観衆ははしゃいだような声を上げた。
顔を上げると、高宮は勝ち誇ったように右手を突き上げて歯を見せている。その視線が樹音に注がれているのを見て、馬鹿が、と心の中で吐き捨てた。唾もいっしょに吐き捨てたい気分だった。
二回目のくじ引きで、高宮は召使いから王様に昇格した。二代目召使いに選ばれたのは花岡で、高宮の「どこでもいいから蹴って」という命令を嬉々として実行した。花岡は高宮ほど力が強くないため、真理愛は少し体をぐらつかせただけだ。
見物人一同の拍手に気をよくしたらしく、花岡は命令なしでもう一発蹴った。威力は一回目と大差なかったが、不意を打たれた真理愛は床にうずくまった。また拍手が鳴った。
三回目以降はテンポよく進んだ。くじが引かれるごとに指示を下す人間と実行する人間が変わり、指示の内容も変わり、真理愛が屈辱的で痛みを伴う被害に遭う。その反復だった。
最初は物理的に痛めつけるだけだったが、玲奈が「音楽に合わせて踊れ」と命じたのを機に、精神的な屈辱感を与えることに主眼が置かれた命令も出されるようになった。
運悪く、二回目の☆をなかなか引き当てられない樹音は、やがてルールを無視して、誰かに直接なんらかの行為を命じるようになった。グループの絶対的なリーダーは、一言の異論なく特別扱いを許可された。他の五人もリーダーに倣い、機会を見ては自らもルールを違反した。
かくして、くじ引き制度は形骸化した。指示の内容、真理愛が受ける被害は次第にエスカレートしていく。
「裸になって土下座しろ。『生まれてきてすみません』って謝れ。ほら、早く」
樹音がわけもなく苛立ったようにそう命じたときは、「さすがにそれはまずいんじゃないの?」という空気が漂った。樹音は立場上、無理矢理命令を押し通すこともできた。しかし今回は、仲間たちの意気地のなさを嘲るような冷笑に口元を歪め、「じゃあ下着姿でいいよ」と、尊大な寛大さを見せつけることを選んだ。
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