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真理愛は即座に命令に従った。わざとゆっくりとした動作でボタンを外す時間稼ぎはしなかったし、「生まれてきてすみません」のセリフははきはきと述べた。樹音としては最大級の屈辱を与えたつもりらしいが、真理愛にとっては単なる屈辱的な行為の一つという認識でしかなかった。ただし、樹音がとっておきの一手のつもりで命じたのは察したので、声を震わせる小細工はした。
フローリングの床に額を接した真理愛は、王様ゲームの閉幕が近づいているのを感じていた。少し前から、指示の内容はマンネリ化していたし、樹音は最高だと自負する一手をすでに打っている。
あとは下着姿のまま二つ三つなにかやって、お開きかな。
そう考えながら顔を上げて、思いがけない光景を目にした。玲奈がしかつめらしい顔で、真理愛の顔を食い入るように見つめているのだ。
「ねえみんな、おかしくない?」
シリアスな響きの独言めいた玲奈の呟きに、樹音は口にしかけていた言葉を呑み込み、発言者の顔を見た。他の四人もリーダーに倣った。
『おかしいって、なにが? 全然わかんないんだけど』
五つの顔はそう言いたげだ。
わからないのは真理愛も同じだ。不安だとか、怖いだとか、戸惑うとかではなく、ひとえに答えを知りたい気持ちから、玲奈の顔を凝視する。回答はこうだった。
「こんなにも痛めつけてるのに、湯田、全然ダメージ受けてなくない? 痛がっているし嫌がっているんだけど、どこか演技くさいっていうのかな。心の芯は傷ついていないっていうか。とにかく、なにか変。おかしいよ、この女」
「なにそれ。もう少しわかりやすく言ってよ」
樹音のもどかしげな苦言に、玲奈は真剣な表情を崩さずに答える。
「なにか企んでいるんじゃない? 必死に耐えて、一方的に被害を受けているふりをして、腹の中ではなにかよからぬことを企んでいる気がする。――たとえば、私たちへの復讐とか」
一同の視線がいっせいに真理愛へと注がれた。
真理愛は肩が跳ねそうになるのをかろうじて抑え込んだが、内心では動揺していた。図星をつかれたからだ。
厳然たる事実として、真理愛は樹音たちへの復讐を計画している。目的を叶えるために、今はとにかく耐えよう。そんな決意で心を埋め尽くして、屈辱的で痛くて苦しい時間を凌ぐことに注力してきた。
それが、露見した。
神宮寺玲奈に見透かされた。
「たしかに怪しいな。……そういえば、あたしの家に泊まれと命じたときも、やけにあっさりと了解したよな、湯田は。それって、もしかして、あたしたちに復讐する絶好の機会ができたからってこと? ……うっわ、マジかよ」
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あとは下着姿のまま二つ三つなにかやって、お開きかな。
そう考えながら顔を上げて、思いがけない光景を目にした。玲奈がしかつめらしい顔で、真理愛の顔を食い入るように見つめているのだ。
「ねえみんな、おかしくない?」
シリアスな響きの独言めいた玲奈の呟きに、樹音は口にしかけていた言葉を呑み込み、発言者の顔を見た。他の四人もリーダーに倣った。
『おかしいって、なにが? 全然わかんないんだけど』
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わからないのは真理愛も同じだ。不安だとか、怖いだとか、戸惑うとかではなく、ひとえに答えを知りたい気持ちから、玲奈の顔を凝視する。回答はこうだった。
「こんなにも痛めつけてるのに、湯田、全然ダメージ受けてなくない? 痛がっているし嫌がっているんだけど、どこか演技くさいっていうのかな。心の芯は傷ついていないっていうか。とにかく、なにか変。おかしいよ、この女」
「なにそれ。もう少しわかりやすく言ってよ」
樹音のもどかしげな苦言に、玲奈は真剣な表情を崩さずに答える。
「なにか企んでいるんじゃない? 必死に耐えて、一方的に被害を受けているふりをして、腹の中ではなにかよからぬことを企んでいる気がする。――たとえば、私たちへの復讐とか」
一同の視線がいっせいに真理愛へと注がれた。
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それが、露見した。
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