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遼の二度目の聞き込み④
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雲が多く出ていて空気が涼しく、屋外を歩くには誂え向きの気候だ。濃い灰色の雲ばかりなので眺めは陰気だが、草太朗は気にも留めない。
広大な芝生広場がある公園を彼は訪れていた。
もともと設置されていたアスレチック遊具が、安全性の懸念からことごとく撤去された結果、獲得された広々とした景色と空間であることを、この町で生まれ育った彼は知っている。
広さを演出するのに配慮したかのように、空間の輪郭に沿って配置されたベンチの一脚に、草太朗は横になって日向ぼっこをしていた。
平日の昼下がりの今、芝生広場は閑散としている。気候と眺め、どちらも眠気を煽り立ててくるかのようだ、
草太朗が公園に立ち寄った動機は気まぐれ。滞在している目的は暇つぶしだ。
頻繁にあくびが出る。そのたびに声も出る。気を抜けばただちに、というほど酷くはないにせよ、気を抜くのは危うい、そんな眠気の度合いだ。
草太朗は約一時間半後に結城遼と会う約束をしている。
遼の中では、切言屋・武元草太朗の評価は緩やかに低下していると推察される。歯止めをかける意味でも、遅刻はなるべく避けたい。
草太朗の眠気を吹き飛ばしたのは、唐突に鳴り出したスマホの着信音。
噂をすれば影、結城遼からだ。
高校が放課後を迎えるには早い時間帯だ。美咲の母親からは、彼女の身に重大な変化が起きたという連絡は来ていない。訝りながらも上体を起こして電話に出る。
「草太朗さん! 俺、美咲が不登校になった原因が分かったかもしれません!」
熱量が感じられる声だが、草太朗は信頼できないものを感じた。根拠は、経験にもとづく直感だ。
切言屋などという、得体の知れないサービスに説得を依頼するような人間は、得てして推理力に難がある。彼らが自信満々で口にする、エクスクラメーションマークつきの「分かった」ほど、草太朗にとって信用できない言葉はない。
温度差に違和感を覚えたらしく、遼は口をつぐんだ。しかしすぐに気をとり直し、叫ぶように言った。
「同性愛!」
「え?」
「同性愛ですよ、草太朗さん。昨日言った美咲の友だちの綿貫弥生、彼女は実はレズビアンで、美咲に恋愛感情を抱いていたんですよ。それが美咲が部屋に閉じこもったそもそもの原因だと俺は思います!」
「……ちょっと話が分からないかな。詳しい説明、お願いできる?」
草太朗の冷ややかな反応が続いたことで、気持ちがいくらか冷えたらしい。遼は気持ちを立て直そうとするような空咳を挟んで、これまでよりもずっと落ち着きが感じられる口調で説明を始めた。
広大な芝生広場がある公園を彼は訪れていた。
もともと設置されていたアスレチック遊具が、安全性の懸念からことごとく撤去された結果、獲得された広々とした景色と空間であることを、この町で生まれ育った彼は知っている。
広さを演出するのに配慮したかのように、空間の輪郭に沿って配置されたベンチの一脚に、草太朗は横になって日向ぼっこをしていた。
平日の昼下がりの今、芝生広場は閑散としている。気候と眺め、どちらも眠気を煽り立ててくるかのようだ、
草太朗が公園に立ち寄った動機は気まぐれ。滞在している目的は暇つぶしだ。
頻繁にあくびが出る。そのたびに声も出る。気を抜けばただちに、というほど酷くはないにせよ、気を抜くのは危うい、そんな眠気の度合いだ。
草太朗は約一時間半後に結城遼と会う約束をしている。
遼の中では、切言屋・武元草太朗の評価は緩やかに低下していると推察される。歯止めをかける意味でも、遅刻はなるべく避けたい。
草太朗の眠気を吹き飛ばしたのは、唐突に鳴り出したスマホの着信音。
噂をすれば影、結城遼からだ。
高校が放課後を迎えるには早い時間帯だ。美咲の母親からは、彼女の身に重大な変化が起きたという連絡は来ていない。訝りながらも上体を起こして電話に出る。
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「え?」
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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