惣助とアラバマ

阿波野治

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公園

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 アラバマに手を引かれて道を進む。

「もう少し?」
「もう少し」

 他愛もない話をする合間合間に、あたかもそうするのがルールであるかのように、そんなやりとりを交わす。

「あ、あそこ」

 足を止めて、アラバマは前方を指差した。道の左側に入り口があり、アスファルトに取って代わって、白っぽい地面が広がっているのがわずかに見える。

「あれが問題の公園?」
「うん。あそこに灰色じじいがいるんだ」

 白い包みをべしべしと叩く。

「出して、槍」
「今から?」
「いま出さないで、いつ出すの」
「まあ、そうだね」

 べりべり、と包装紙を破る音。

「すぐに破るんだから、包装してもらう必要はなかったかな」

 アラバマの返事はない。その場にじっと佇んで、公園の入り口をじっと見ている。

*

 ようやく剥がし終わって、槍が剥き出しになった。
 柄だけでも五十センチほどもある代物を包んでいた包装紙を丸めると、ソフトボールよりも大きくなった。惣助はそれを無理矢理気味にチノパンツのポケットに押しこんだ。

「はい」

 槍が受け渡される。

「行こう、公園」

 こくん、と頷き、歩き出す。惣助はななめ後ろをついてくる。

*

 入り口に立って眺めた公園は、無人だった。
 その中央に、かまくらにも似た、抹茶色のドーム型の遊具がある。

「あれだよね、アラバマが言っていた遊具」

 遊具を指差しながら言う。

「灰色じじいは、あの中にいるってこと?」
「たぶん。この前来たときは、しばらく見てたら穴から顔出した」
「中に入っているのかな」

 アラバマは黙ってドーム遊具を見つめている。

*

「アラバマ」

 少し強い声に振り向くと、惣助は軽く顎をしゃくって促した。
 顔の向きを戻し、歩き出す。

*

 アラバマのななめ後ろのポジションをキープして、問題の遊具へと歩を進める。
 白い地面は、白っぽい土と、白っぽい小石の二種類で構成されている。その上を歩くと、不可抗力的に小石を踏みにじる形となり、ざり、ざり、と、ひっきりなしに音が鳴る。その地面に、時折槍の柄がこすれ、小石が踏みにじられるのとは別の音が混じる。
 残り三分の一という地点まで来て、アラバマが急に立ち止まった。つられて足を止める。
 アラバマは首を伸ばし、ドーム型遊具のほうを窺っている。
 先に歩き出すと、アラバマもついてきて、すぐに横に並んだ。

*

 穴の一つから、遊具の中を覗きこんだ。

*

 もぬけの殻だった。

*

 体を入れられるほどの大きさの穴から、中に入ってみる。
 内部は二畳ほど。至るところに穴があいているせいか、閉塞感は覚えない。
 見上げると、ほぼ真上に穿たれた穴から青空が見えた。
 そのななめ下の穴から中を覗いている惣助と、目が合った。
 空洞から出て、改めて惣助と目を合わせる。惣助がなにか言おうとした瞬間、
 着信音が鳴りはじめた。
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