惣助とアラバマ

阿波野治

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アラバマママからの電話

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 アラバマはジーンズのポケットからスマホを取り出し、ディスプレイを見た。それから惣助のほうを向いた。

「ママだ」

 ディスプレイをタップし、耳に宛がって「もしもし」と言う。

*

『てぃあら? ちょっとあんた、どこでなにしてるの』
「公園」
『遊びに行ってんの』
「うん」
『うん、じゃないでしょうが。大人しく家にいろっていったのに、あんたは。ママが用意しておいたごはん、まるまる残ってるけど、まさかなにも食べてない?』
「ううん。友だちと食べた」
『……は? 誰と?』
「ひみつー」
『いいから、言えって。心配してんだろ』
「代わる?」

 スマホを耳から離し、惣助のほうを見やる。惣助の顔は困惑に包まれた。

*

『えっ、なに? いんの? 近くに?』
「いるよ。でも、あんまり出たくなさそう」
『……おい。まさか、変なやつに誘拐されてるとかじゃないだろうな』
「ちがうよー。遊んでただけ」
『誰なんだよ、その友だち。心配してんだろうが。早く言えって』
「男の人だよ。はたちとか、そのくらい? よくわかんないけど」
『……ガチで犯罪かよ』

 舌打ちが聞こえた。

「ちがうよー。ママ、はずればっかり」
『は?』
「なにもされてないもん。ばんごはんとね、あさごはんもらって、バスに乗って遊びに行った。すごく楽しかった!」
『もういい。そっちへ行くから、大人して待ってろ。どこにいるんだ?』
「公園。ドームみたいな遊具があって――」
『分かった。K町二丁目の公園だろ。スーパーの近く』

 アラバマが見上げてくる。小首を傾げる。

「たぶん、そうなんじゃない。よくわかんないけど」
『とにかく、そっちへ行く。ダッシュで行くから、公園から動くなよ。なにかされそうになったら、全力で抵抗しろ。叫べ。いいな?』
「そうすけはそんなことしないって」
『誰だよ。犯人の名前か?』
「うん。ていうか、武器持ってるから、なにかあってもだいじょうぶ」
『被害者なのに武器持ってるって、どういうことだよ。……もうわけ分かんないから、とにかく行く!』

 通話が切れた。

*

「ママ、来るって」

 スマホをしまいながら、惣助に向かって言う。

「アラバマのママ、なんていうか、怖そうな人だね」
「うん。そこそこ怖いよ。舌打ちとか、むっちゃする」
「そこそこっていうレベルじゃない気もするけど……。誤解してるっぽいし、上手く説明できるかな。すごく不安なんだけど」
「たぶんだいじょーぶ。だってそうすけ、なにも悪いことしてないもん」
「うん、まあ」
「ブランコすわろ」

 手を引っ張り、公園の奥の左隅、ブランコのもとへ。
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