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ソラ
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一瞬、何を言われたか分からなかった。
「騎士さんには敵わないでしょうけど…僕、結構大きいらしいですよ。どうですか……」
自分の身に何が起こっているのか完璧に把握するのが難しかった。
恋人だと思ってた男に浮気され愚かにも絆されその場面を見ていた美少年に迫られてるなんて信じがたい。
「……はは、子どもの冗談にしてはきついんじゃないか?」
やっと絞り出した言葉と愛想笑い。それとは裏腹に心臓はバクバク鳴っていた。変な汗が頬を伝う。美少年──エイプリルはさっきとは打って変わって驚くほどの真顔に冷たい光を瞳に宿してこちらを見つめている。
「子ども? 子どもじゃないですよ、僕もう15歳なのに」
「15は子どもだよ、まだまだ。さあ、本を探してたんだろ、案内するから───って、ッ!!」
腕を引っ張られ体が傾いた、その瞬間。
柔らかい何かが唇を掠めた。
「僕、諦めません、絶対」
熱っぽく囁くと、さらりと黒髪を靡かせ、エイプリルは窓から差し込む光の中に消えていった。
その場に突っ立ったまましばらくして、キスをされたということに気づく。
顔が一気に熱くなった。
(俺は…未成年と……)
そしてどんどん熱は醒めていく。不可抗力と知っていても、罪悪感で吐きそうになる。もし、誰かに見られていたりしたら…
「ソラ! お前どこにいたんだよ?」
「!」
カイトだった。どうやら自分を探していたらしい。それもそのはず、もうカウンターに戻る時間はとっくに過ぎていた。慌てて謝罪を口にする。
「ごめん、ちょっと…」
「ああ、もういいけど。早く戻ってこいよ」
そう言うとカイトは背を向けてあっさりと去ってしまった。
(何か、変だな)
いつもよりよそよそしいような気がする。そしてすぐにさっきした恋人宣言に思い当たった。
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