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【黒の創造召喚師 ―Closs over the world―】
第015話 お金の管理はしっかりと(血涙)②
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ツグナたちが門を潜り、日本へと「界渡り」してから早2週間が過ぎた。
その間――
「ツ、ツグナ! この四角い箱の中に人が!」
「ツグ兄っ! そ、外! あの鉄の箱は何!?」
「魔法は無いけど……何なの、この本は! こんな魔法の使い方……『らいとのべる』は奥が深いわね……新しい補助系統魔法の手がかりになるかしら」
「ふむ。この世界の書籍や文房具は、随分とお手頃な価格なのね。留学してた帝国の学校だと、それこそ書籍は貴重なものとして図書室くらいにしか無かったのだけれど」
など、最早テンプレとも言えるソアラたち「異世界転移組」の通過儀礼は最初の数日で終え、今では地球での道具類を難なく使いこなせるまでに順応している。
また、シルヴィも最初は「このボタン一つで洗濯が!? これまでの手間が省ける!」などと、日本の素晴らしい技術にワナワナと震えながら取説片手に使っていた洗濯機も、今は手慣れた様子でスイッチを入れている。
他方、リリアは四六時中部屋に籠ってひたすら学術書や学術論文、医学書に専門雑誌などを貪るように読み耽っている。
(あれが天才ってヤツか……本当にあの勢いは凄まじいな……)
食事時以外は呼んでも出てこないリリアに、ツグナは心配よりも呆れが勝った。
きっかけは学校に行く前に軽く勉強しておくかとツグナが本屋で買ってきた高校レベルの数学の問題集を四苦八苦しながら解いていた時だった。
「な、なんだコレは……」
頭をガリガリと掻きながら解いていた問題集を、横から見ていたリリアが引ったくるように奪うや否や、そこに書かれた問題と解説を食い入るように読む。
そして――
「ツグナ! この数学とやらを教えてくれ! 頼むっ!」
クワッ! と目を見開いてガクガクと身体を揺さぶりながら懇願するリリアに気圧される事態となった。
そこから彼女の言うままに数学の参考書を与えると、まるで乾いたスポンジが水を吸うように瞬く間に高校レベルの数学をマスターした。そしてリリアの知識欲は留まることを知らず、あらゆる分野の学問に手をつけ始めたのである。
今ではとうに高校レベルの知識は身につけ終え、大学又はその手の専門機関で教わるレベルにまで至っている。
なお、リリア程ではないが、今もこうしてキッチンでコーヒーを淹れているシルヴィもまた易々と高校レベルの知識を習得している。彼女の場合はリリアとは異なり、四六時中部屋に籠ってはいないため知識レベルで見ればツグナの数歩先といった具合である。
しかしながら、シルヴィは抜群に教え方が上手く、そこらの教師や塾講師よりも遥かにスムーズに勉強が進むというのがツグナの印象だった。
これは過去に魔法の理論体系及び発動原理をツグナに分かり易く教えたことからもある程度は予想はできた。だが、シルヴィはこれから学校に通うソアラやリーナ、アリア、キリアにまで高校卒業レベルの知識を教え込んでしまったのだ。
ツグナはある程度基礎があったためさほど苦労はなかったものの、「まさかここまで教師としての適性が高いとは……」と驚きを隠せなかった。
(妖精族の個人授業か……)
「……? 何か言った?」
ふと浮かんだワードを、ツグナは頭を振って外に追い出す。
「何でもないよ。 そろそろコーヒー淹れ終わった?」
シルヴィの問いに答えつつ、仄かにキッチンから漂ってくる味わい深い香りに、ツグナはテレビの電源を入れながら訊ねる。
「もうちょっとよ。ブラックでいいのよね?」
「うん。それでお願い」
テレビから流れて来るニュースを聞き流しつつ、ツグナは壁に掛けられたカレンダーを見つめる。
そこに刻まれたバツ印が、学校登校まで残りわずかであることを静かに告げていた。
その間――
「ツ、ツグナ! この四角い箱の中に人が!」
「ツグ兄っ! そ、外! あの鉄の箱は何!?」
「魔法は無いけど……何なの、この本は! こんな魔法の使い方……『らいとのべる』は奥が深いわね……新しい補助系統魔法の手がかりになるかしら」
「ふむ。この世界の書籍や文房具は、随分とお手頃な価格なのね。留学してた帝国の学校だと、それこそ書籍は貴重なものとして図書室くらいにしか無かったのだけれど」
など、最早テンプレとも言えるソアラたち「異世界転移組」の通過儀礼は最初の数日で終え、今では地球での道具類を難なく使いこなせるまでに順応している。
また、シルヴィも最初は「このボタン一つで洗濯が!? これまでの手間が省ける!」などと、日本の素晴らしい技術にワナワナと震えながら取説片手に使っていた洗濯機も、今は手慣れた様子でスイッチを入れている。
他方、リリアは四六時中部屋に籠ってひたすら学術書や学術論文、医学書に専門雑誌などを貪るように読み耽っている。
(あれが天才ってヤツか……本当にあの勢いは凄まじいな……)
食事時以外は呼んでも出てこないリリアに、ツグナは心配よりも呆れが勝った。
きっかけは学校に行く前に軽く勉強しておくかとツグナが本屋で買ってきた高校レベルの数学の問題集を四苦八苦しながら解いていた時だった。
「な、なんだコレは……」
頭をガリガリと掻きながら解いていた問題集を、横から見ていたリリアが引ったくるように奪うや否や、そこに書かれた問題と解説を食い入るように読む。
そして――
「ツグナ! この数学とやらを教えてくれ! 頼むっ!」
クワッ! と目を見開いてガクガクと身体を揺さぶりながら懇願するリリアに気圧される事態となった。
そこから彼女の言うままに数学の参考書を与えると、まるで乾いたスポンジが水を吸うように瞬く間に高校レベルの数学をマスターした。そしてリリアの知識欲は留まることを知らず、あらゆる分野の学問に手をつけ始めたのである。
今ではとうに高校レベルの知識は身につけ終え、大学又はその手の専門機関で教わるレベルにまで至っている。
なお、リリア程ではないが、今もこうしてキッチンでコーヒーを淹れているシルヴィもまた易々と高校レベルの知識を習得している。彼女の場合はリリアとは異なり、四六時中部屋に籠ってはいないため知識レベルで見ればツグナの数歩先といった具合である。
しかしながら、シルヴィは抜群に教え方が上手く、そこらの教師や塾講師よりも遥かにスムーズに勉強が進むというのがツグナの印象だった。
これは過去に魔法の理論体系及び発動原理をツグナに分かり易く教えたことからもある程度は予想はできた。だが、シルヴィはこれから学校に通うソアラやリーナ、アリア、キリアにまで高校卒業レベルの知識を教え込んでしまったのだ。
ツグナはある程度基礎があったためさほど苦労はなかったものの、「まさかここまで教師としての適性が高いとは……」と驚きを隠せなかった。
(妖精族の個人授業か……)
「……? 何か言った?」
ふと浮かんだワードを、ツグナは頭を振って外に追い出す。
「何でもないよ。 そろそろコーヒー淹れ終わった?」
シルヴィの問いに答えつつ、仄かにキッチンから漂ってくる味わい深い香りに、ツグナはテレビの電源を入れながら訊ねる。
「もうちょっとよ。ブラックでいいのよね?」
「うん。それでお願い」
テレビから流れて来るニュースを聞き流しつつ、ツグナは壁に掛けられたカレンダーを見つめる。
そこに刻まれたバツ印が、学校登校まで残りわずかであることを静かに告げていた。
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