黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第100話 当主会談と御神木、そして乱入者約一名①

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 アリアの怪我が回復し、再び学院に登校するようになってから数日後。

「まさか、またここに来ることになるとはね」
「まぁしょうがないよ。バレちゃったワケだしね」
 指に嵌めた纏装の指輪による偽装を解除し、本来の姿に戻ったキリアとソアラが会話しながら目的地へと向かって歩いていく。

「うぅ……ごめん、ツグ兄ぃ~」
「ハハッ、まぁ過ぎたことをグチグチ言ってても始まらないさ。とりあえず、今日の『会談』をセットしたいと申し出て来たのは向こうだし、取って食われるワケじゃないから安心しとけって」
「まぁトドメの一撃を放ったのはアリアの言葉なのは間違いないでしょうが」
「あ、コラ」
「うわー」
 その二人のすぐ後ろでは、同じく本来の姿に戻ったツグナとリーナ、アリアの姉妹が続く。また、彼の後ろには周囲を見回すリリアとシルヴィもいた。

「ふむ、ここが話にあった場所か。趣があって気持ちも安らぐ場所だな。それに、ここは他と比べて魔力が多いようだな……」
「えっ!? そうなのか?」
 ふと漏れたリリアの言葉に、ツグナが反応を示す。

「あぁ。といっても、魔の森にある私たちの家に比べると薄いがな。ここでしばらく休めば、魔力も幾分回復するだろう。ただ、どうしてこの場所だけがこれほどまでに魔力が満ちているのか……興味深いものがあるな」
 反射的に訊き返したツグナに、彼女は辺りを見回しながら答える。研究者として知的好奇心が刺激されているのか、今のリリアはいつもの落ち着いた態度は消え、どこかソワソワとしている様子が見てとれた。

「あー、調べたいのは山々だけど、それよりもまずはこっちの用事を終わらせてからだな」
 入り口を通過し、境内へと続く階段を登り終えた先。
 西の空が茜色に染まった頃に目的地に到着した彼らを、

「皆様……お待ちしておりました」

 恭しく礼をした千陽が出迎えていた。


「この度は、私の大切な家族を助けていただき、誠にありがとうございました……」

 千陽に先導され、通された二十畳ほどの部屋。畳が敷かれ、仄かにいぐさの香りが鼻腔を掠める中、ツグナたちと面会した御水瀬家当主――御水瀬健介は開口一番そう言って深々と頭を下げた。
 彼の後ろには千陽と御庭番を務める四人――棗、椿、蓮、萩も控え、倣うように目を閉じて頭を下げた。

「い、いえ。頭を上げてください。俺たちは別に……それに、結果として敵は逃してしまいましたし、魔煌石も持ち去られてしまいましたから」
 面通しをして早々、当主自ら頭を下げて礼を述べる事態に、ツグナは慌てて口を開く。

「いえ……たとえ意図していなくても、結果として助けられたことに変わりはありませんから」
「は、はぁ……」
 ツグナたちの申し出も固辞して頭を下げたままの健介に、側から見ていた千陽がクスクスと笑う。

「すみません、継那さん。お父さん、こういうのはキチンとしないと……という性格で。律儀というか、頑固というか……なので諦めてください」
 小さく笑いながら告げる千陽の言葉に、ガシガシと頭を掻いたツグナはやがて深く息を吐いて「分かったよ」と白旗を上げて観念したように呟いた。

「では、先の御礼はここまでとして……貴方がたは何者なのですか?」
「……」
 真正面からストレートに訊ねた健介の言葉に、ツグナはどう切り出して説明すれば良いか分からず、口を閉ざして逡巡してしまう。
 そんな彼を見かねたのか、両者の会話にリリアが割って入った。

「何者、ですか……そうですね、分かり易く端的に言えば『地球こことは異なる世界からやって来た者』と表現すべきでしょうな」
「なっ――!?」
 アッサリと告げたリリアの言葉に、その場に居合わせた健介や千陽、そしてその後方で控えていた御庭番の顔が驚愕の表情に染まった。
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