101 / 129
本編
第100話 当主会談と御神木、そして乱入者約一名①
しおりを挟む
アリアの怪我が回復し、再び学院に登校するようになってから数日後。
「まさか、またここに来ることになるとはね」
「まぁしょうがないよ。バレちゃったワケだしね」
指に嵌めた纏装の指輪による偽装を解除し、本来の姿に戻ったキリアとソアラが会話しながら目的地へと向かって歩いていく。
「うぅ……ごめん、ツグ兄ぃ~」
「ハハッ、まぁ過ぎたことをグチグチ言ってても始まらないさ。とりあえず、今日の『会談』をセットしたいと申し出て来たのは向こうだし、取って食われるワケじゃないから安心しとけって」
「まぁトドメの一撃を放ったのはアリアの言葉なのは間違いないでしょうが」
「あ、コラ」
「うわー」
その二人のすぐ後ろでは、同じく本来の姿に戻ったツグナとリーナ、アリアの姉妹が続く。また、彼の後ろには周囲を見回すリリアとシルヴィもいた。
「ふむ、ここが話にあった場所か。趣があって気持ちも安らぐ場所だな。それに、ここは他と比べて魔力が多いようだな……」
「えっ!? そうなのか?」
ふと漏れたリリアの言葉に、ツグナが反応を示す。
「あぁ。といっても、魔の森にある私たちの家に比べると薄いがな。ここでしばらく休めば、魔力も幾分回復するだろう。ただ、どうしてこの場所だけがこれほどまでに魔力が満ちているのか……興味深いものがあるな」
反射的に訊き返したツグナに、彼女は辺りを見回しながら答える。研究者として知的好奇心が刺激されているのか、今のリリアはいつもの落ち着いた態度は消え、どこかソワソワとしている様子が見てとれた。
「あー、調べたいのは山々だけど、それよりもまずはこっちの用事を終わらせてからだな」
入り口を通過し、境内へと続く階段を登り終えた先。
西の空が茜色に染まった頃に目的地に到着した彼らを、
「皆様……お待ちしておりました」
恭しく礼をした千陽が出迎えていた。
「この度は、私の大切な家族を助けていただき、誠にありがとうございました……」
千陽に先導され、通された二十畳ほどの部屋。畳が敷かれ、仄かにいぐさの香りが鼻腔を掠める中、ツグナたちと面会した御水瀬家当主――御水瀬健介は開口一番そう言って深々と頭を下げた。
彼の後ろには千陽と御庭番を務める四人――棗、椿、蓮、萩も控え、倣うように目を閉じて頭を下げた。
「い、いえ。頭を上げてください。俺たちは別に……それに、結果として敵は逃してしまいましたし、魔煌石も持ち去られてしまいましたから」
面通しをして早々、当主自ら頭を下げて礼を述べる事態に、ツグナは慌てて口を開く。
「いえ……たとえ意図していなくても、結果として助けられたことに変わりはありませんから」
「は、はぁ……」
ツグナたちの申し出も固辞して頭を下げたままの健介に、側から見ていた千陽がクスクスと笑う。
「すみません、継那さん。お父さん、こういうのはキチンとしないと……という性格で。律儀というか、頑固というか……なので諦めてください」
小さく笑いながら告げる千陽の言葉に、ガシガシと頭を掻いたツグナはやがて深く息を吐いて「分かったよ」と白旗を上げて観念したように呟いた。
「では、先の御礼はここまでとして……貴方がたは何者なのですか?」
「……」
真正面からストレートに訊ねた健介の言葉に、ツグナはどう切り出して説明すれば良いか分からず、口を閉ざして逡巡してしまう。
そんな彼を見かねたのか、両者の会話にリリアが割って入った。
「何者、ですか……そうですね、分かり易く端的に言えば『地球とは異なる世界からやって来た者』と表現すべきでしょうな」
「なっ――!?」
アッサリと告げたリリアの言葉に、その場に居合わせた健介や千陽、そしてその後方で控えていた御庭番の顔が驚愕の表情に染まった。
「まさか、またここに来ることになるとはね」
「まぁしょうがないよ。バレちゃったワケだしね」
指に嵌めた纏装の指輪による偽装を解除し、本来の姿に戻ったキリアとソアラが会話しながら目的地へと向かって歩いていく。
「うぅ……ごめん、ツグ兄ぃ~」
「ハハッ、まぁ過ぎたことをグチグチ言ってても始まらないさ。とりあえず、今日の『会談』をセットしたいと申し出て来たのは向こうだし、取って食われるワケじゃないから安心しとけって」
「まぁトドメの一撃を放ったのはアリアの言葉なのは間違いないでしょうが」
「あ、コラ」
「うわー」
その二人のすぐ後ろでは、同じく本来の姿に戻ったツグナとリーナ、アリアの姉妹が続く。また、彼の後ろには周囲を見回すリリアとシルヴィもいた。
「ふむ、ここが話にあった場所か。趣があって気持ちも安らぐ場所だな。それに、ここは他と比べて魔力が多いようだな……」
「えっ!? そうなのか?」
ふと漏れたリリアの言葉に、ツグナが反応を示す。
「あぁ。といっても、魔の森にある私たちの家に比べると薄いがな。ここでしばらく休めば、魔力も幾分回復するだろう。ただ、どうしてこの場所だけがこれほどまでに魔力が満ちているのか……興味深いものがあるな」
反射的に訊き返したツグナに、彼女は辺りを見回しながら答える。研究者として知的好奇心が刺激されているのか、今のリリアはいつもの落ち着いた態度は消え、どこかソワソワとしている様子が見てとれた。
「あー、調べたいのは山々だけど、それよりもまずはこっちの用事を終わらせてからだな」
入り口を通過し、境内へと続く階段を登り終えた先。
西の空が茜色に染まった頃に目的地に到着した彼らを、
「皆様……お待ちしておりました」
恭しく礼をした千陽が出迎えていた。
「この度は、私の大切な家族を助けていただき、誠にありがとうございました……」
千陽に先導され、通された二十畳ほどの部屋。畳が敷かれ、仄かにいぐさの香りが鼻腔を掠める中、ツグナたちと面会した御水瀬家当主――御水瀬健介は開口一番そう言って深々と頭を下げた。
彼の後ろには千陽と御庭番を務める四人――棗、椿、蓮、萩も控え、倣うように目を閉じて頭を下げた。
「い、いえ。頭を上げてください。俺たちは別に……それに、結果として敵は逃してしまいましたし、魔煌石も持ち去られてしまいましたから」
面通しをして早々、当主自ら頭を下げて礼を述べる事態に、ツグナは慌てて口を開く。
「いえ……たとえ意図していなくても、結果として助けられたことに変わりはありませんから」
「は、はぁ……」
ツグナたちの申し出も固辞して頭を下げたままの健介に、側から見ていた千陽がクスクスと笑う。
「すみません、継那さん。お父さん、こういうのはキチンとしないと……という性格で。律儀というか、頑固というか……なので諦めてください」
小さく笑いながら告げる千陽の言葉に、ガシガシと頭を掻いたツグナはやがて深く息を吐いて「分かったよ」と白旗を上げて観念したように呟いた。
「では、先の御礼はここまでとして……貴方がたは何者なのですか?」
「……」
真正面からストレートに訊ねた健介の言葉に、ツグナはどう切り出して説明すれば良いか分からず、口を閉ざして逡巡してしまう。
そんな彼を見かねたのか、両者の会話にリリアが割って入った。
「何者、ですか……そうですね、分かり易く端的に言えば『地球とは異なる世界からやって来た者』と表現すべきでしょうな」
「なっ――!?」
アッサリと告げたリリアの言葉に、その場に居合わせた健介や千陽、そしてその後方で控えていた御庭番の顔が驚愕の表情に染まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?
サクラ近衛将監
ファンタジー
会社員の俺が交通事故に遭いました。二か月後、病院で目覚めた時、ほぼ全身不随。瞼と瞳が動かせるものの、手足も首も動かない。でも、病院で寝ると異世界の別人の身体で憑依し、五体満足で生活している。また、異世界で寝ると現代世界に目が覚めるが体の自由は利かない。
睡眠の度に異世界と現代世界を行ったり来たり、果たして、現代社会の俺は、元の身体に戻れる方法があるのだろうか?
そんな男の二重生活の冒険譚です。
毎週水曜日午後8時に投稿予定です。
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる