黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第102話 当主会談と御神木、そして乱入者約一名③

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(ふぅむ。先の戦闘で見た限り、彼は相当な力を有していることが容易に判断できる。ならば、彼の仲間も同等に近いレベルと判断するべきだろう……)

 健介たちにはツグナという「力」を
 ツグナたちには御水瀬家という「数」と「人脈」を
 それぞれ持つことができる。

(それに、あえて「友好的関係」に留める理由も納得できるものだ。もし関係性を深める必要があれば、その際に判断すればいいという余地も残している。まったく……始めからこちらの手札など無いも同然というわけか。おそらくここまでのことを想定して入れ知恵・・・・したのは――)

 しばしの間考えに耽っていた健介は、チラリとリリアの顔を一瞥する。ふと彼の視線を受けたリリアは、まるで答え合わせをするように、妖艶な笑みを浮かべて見せた。

(……やれやれ)

 内心「やっぱりか」と思う反面、これからのツグナたちとの関わり合いの中でどのように千陽たちが成長するのか……それを楽しみに思う健介だった。

「――分かりました。そういうことであれば、その提案……是非お受けいたしましょう」

 御水瀬家という、地球での協力者を獲得したツグナたちは、ディエヴスからの依頼を達成する大きな一歩を刻むことができた。
 ――だが、この時の彼らは知らなかった。

 この後、彼らが大きな騒動に巻き込まれることになることなど。

◆◇◆

 すっかり日も暮れ、辺りが薄暗い夜の闇に包まれた頃。
 健介との話し合いが終わり、室内にこもった空気を入れ替えようと開けた窓から涼しげな風が頬を撫でていく。

「……なるほど。この場に満ちた魔力、その源はあれか」
 スルリと入ってきた風に、開けた窓の方に顔を向けたリリアがポツリと呟く。
「えっ……魔力、ですか? あれは――」

 リリアの発した言葉に、ふと彼女に倣って窓の外に目を向けた千陽が答える。

「この御水無瀬神社にある御神木ですよ? 伝え聞いた話では、樹齢300年を超える桜の木なんですけど、もう見頃の時期は過ぎてしまいましたが……」
「ふむ。それほどまでに長い年月を経た木なのか……興味深いな。近くで見ても問題はないか?」
「あっ、はい。それではご案内しま――」

 そう言って千陽が立ち上がった時、出入り口付近から何やら騒がしい声が一同の耳に届く。

「……こ、困ります! 今、御当主に来客の方が――」
「煩い! 事態は急を要するんだ! いちいち待っていられるか!」
 
 使用人らしき人物が慌てて止めに入るものの、訪れた人物はかなりの身分の者なのか、制止の声に耳を貸さず苛立った様子で真っ直ぐにツグナたちのいる部屋に向かってくる。

「まったく……こちらの事情も考えてほしいものだ。仕方がない。千陽はそのままリリアさんたちをご案内しなさい」
「えっ、でも……」
「いいから。この場は任せておきなさい。それと、継那さん。申し訳ないが、貴方は代表者としてここに残っていてくれないか? 一応私の口から説明するが、詳細な説明を求められるかもしれないのでね」
「わ、分かった……」

 どうやら健介たちは向かってくる声の主が誰なのか分かっているらしく、不安げな声を漏らす千陽を半ば追い出すように部屋から逃がした。

「そういうことなら私たちはさっさと移動するとしようか。後は任せたぞ、ツグナ」
「はいよ。ただ、何か嫌な予感がするんだけどな」
「ハハッ。面倒な事が起きても、それに対処しなければならないというのがリーダーというものだ。言っただろ? 『後は任せる・・・・・』とな」
 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべながら告げるリリアを、ツグナはため息交じりに「了解」と返して送り出した。
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