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本編
第108話 Event & Invader①
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御水無瀬家当主との面会、そしてその後の地下修練場での尊琉との一戦を終えたツグナは、気絶した尊琉は棗たち御庭番に任せ、健介と魔煌石を持ち去っていった組織に関する情報を交換し、その日は帰途に着いた。
こうしてようやく本当の意味で日常の生活へと戻った彼らだったが、それから数日後、今度は別の問題にブチ当たる。
「ふえええぇぇぇ~もぅ無理ィ~っ!」
その日の放課後、食堂にソアラの悲鳴が響く。
「何弱気になっているのよ。ほら、まだ終わってないわよ? 試験まであと一週間なんだから!」
半分涙目になりながら声を上げる彼女に、真向いの席からキリアの厳しい言葉が飛ぶ。
「ひぃぃぃ~っ」
彼女らの頭を悩ませる問題――それは「中間試験」というまごうことなき悪夢の学校イベントである。白桜学院では試験一週間前から部活動は休止という措置を講じているため、放課後に仲の良い者同士が集まって勉強会を開催するのが学生たちの恒例となっている。
部活動が休止となるのは生徒たちにとっては歓迎するべき措置かもしれないが、これは「生徒たちの学力を向上を図り、一定程度の進学率確保を目指し、もって次年度の新規入学者の増加に寄与するため」という、何とも大人な事情が絡んでいたりする。
そうした背景から、ツグナたちも他の生徒たちと同様、食堂のテーブルにノートや教科書を広げて勉強に勤しんでいた。
(う~ん……改めて考えると凄い光景だな)
女性陣の姦しい声を聞きながら、ツグナはぽつりとそんな言葉を胸中に呟く。異世界から来た妖精族や狐人族が教科書とノートを広げながら問題を解く姿は、彼にとっては何だか新鮮な感じがしてならなかった。
転生前、十数年を地球で過ごしていたツグナにとってはもはやこの手のイベントは慣れたものだったが、ソアラやキリア、そしてリーナとアリアは初めてのことだ。
もちろん、向こうの世界にも同じような教育機関はいくつか存在するため、こうしたテストそのものは彼女らも経験済みである。しかし、向こうとは異なり、こちらでは「魔法」に関する科目は当然ながら出題されることはない。
そのため、いつもよりも殺気立った様子が窺い知れる。
「だから~、ここの式の分解は……」
「アリア、そこ手順間違えてる。ここの化学式は……」
そんななか、勉強会を率いているのはキリアとリーナの魔術師組である。
もともと「魔法」という事象改変を得意とするためなのか、二人は論理的思考力が高く、理数系の分野に強みを持っている。授業でもその知識と理解度は群を抜いており、時折教師から「君、先生役をやって」とお願いされることもあると本人たちは述べている。
それを耳にした時――いや、仕事しろよ。 と彼が思ったのは間違いではないだろう。
しかしながら、事実として生徒たちからの評判も良く、「またお願いしたい」とリピーターになる人が続出しているのだとか。
「「ひぃぃぃ……」」
対するソアラとアリアは暗記系の社会科目に強い傾向があった。ただし、本当に「頭に詰め込む」ように勉強するため、その忘却速度も速い。
その忘却速度はツグナの予想以上で、ソアラは特に小テストなどは「授業の予鈴が鳴ったら頭に叩き込み、テスト終了とともに記憶の彼方に忘却する」という離れ技を駆使して乗り切っている。
まさに綱渡りとも言える勉強態度だが、こればかりは生来の気質にもよるため、「矯正は至難の業だな」とツグナやキリア、リーナは半ば諦めている節があるのはここだけの話だ。
こうしてようやく本当の意味で日常の生活へと戻った彼らだったが、それから数日後、今度は別の問題にブチ当たる。
「ふえええぇぇぇ~もぅ無理ィ~っ!」
その日の放課後、食堂にソアラの悲鳴が響く。
「何弱気になっているのよ。ほら、まだ終わってないわよ? 試験まであと一週間なんだから!」
半分涙目になりながら声を上げる彼女に、真向いの席からキリアの厳しい言葉が飛ぶ。
「ひぃぃぃ~っ」
彼女らの頭を悩ませる問題――それは「中間試験」というまごうことなき悪夢の学校イベントである。白桜学院では試験一週間前から部活動は休止という措置を講じているため、放課後に仲の良い者同士が集まって勉強会を開催するのが学生たちの恒例となっている。
部活動が休止となるのは生徒たちにとっては歓迎するべき措置かもしれないが、これは「生徒たちの学力を向上を図り、一定程度の進学率確保を目指し、もって次年度の新規入学者の増加に寄与するため」という、何とも大人な事情が絡んでいたりする。
そうした背景から、ツグナたちも他の生徒たちと同様、食堂のテーブルにノートや教科書を広げて勉強に勤しんでいた。
(う~ん……改めて考えると凄い光景だな)
女性陣の姦しい声を聞きながら、ツグナはぽつりとそんな言葉を胸中に呟く。異世界から来た妖精族や狐人族が教科書とノートを広げながら問題を解く姿は、彼にとっては何だか新鮮な感じがしてならなかった。
転生前、十数年を地球で過ごしていたツグナにとってはもはやこの手のイベントは慣れたものだったが、ソアラやキリア、そしてリーナとアリアは初めてのことだ。
もちろん、向こうの世界にも同じような教育機関はいくつか存在するため、こうしたテストそのものは彼女らも経験済みである。しかし、向こうとは異なり、こちらでは「魔法」に関する科目は当然ながら出題されることはない。
そのため、いつもよりも殺気立った様子が窺い知れる。
「だから~、ここの式の分解は……」
「アリア、そこ手順間違えてる。ここの化学式は……」
そんななか、勉強会を率いているのはキリアとリーナの魔術師組である。
もともと「魔法」という事象改変を得意とするためなのか、二人は論理的思考力が高く、理数系の分野に強みを持っている。授業でもその知識と理解度は群を抜いており、時折教師から「君、先生役をやって」とお願いされることもあると本人たちは述べている。
それを耳にした時――いや、仕事しろよ。 と彼が思ったのは間違いではないだろう。
しかしながら、事実として生徒たちからの評判も良く、「またお願いしたい」とリピーターになる人が続出しているのだとか。
「「ひぃぃぃ……」」
対するソアラとアリアは暗記系の社会科目に強い傾向があった。ただし、本当に「頭に詰め込む」ように勉強するため、その忘却速度も速い。
その忘却速度はツグナの予想以上で、ソアラは特に小テストなどは「授業の予鈴が鳴ったら頭に叩き込み、テスト終了とともに記憶の彼方に忘却する」という離れ技を駆使して乗り切っている。
まさに綱渡りとも言える勉強態度だが、こればかりは生来の気質にもよるため、「矯正は至難の業だな」とツグナやキリア、リーナは半ば諦めている節があるのはここだけの話だ。
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