黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第111話 Event & Invader④

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 ソアラが帰り支度を始めた頃、リーナのクラスも同様にテストから解放された生徒たちが上機嫌でこの後の予定を話し合っていた。
 そんななか、カバンに手を伸ばしたリーナに、他クラスからやって来たキリアが声をかけてくる。

「お疲れ様。そっちの手応えのほどはどう?」
「うん? あぁ、キリア……私の方はまぁまぁの出来、といったところかしら。そっちは?」
「こっちも同じね。試験と聞いて緊張はしていたけれど、解答欄は全部埋めたわ。おそらく悲惨な結果にはならないハズよ」
 リーナの返しに、キリアはニンマリと笑いながらテストへの手応えを述べる。その自信ありげな態度から「負けないわよ」というメッセージを感じ取った彼女は、キリアの浮かべる表情と同じ笑みを作りながら「結果が楽しみね」と口を開いた。
 そんな両者の間に小さな火花が散り始めた矢先、教室の外から二人を呼ぶ声が耳に届く。

「おーい、キリアにリーナ姉っ!」
「うん? あぁ、誰かと思えば。アリアと……千陽さんね」
「どうも。アリアと一緒に帰ろうとしたら、『どうせならみんなで』と言われたので……」
 教室内に足を踏み入れたアリアは、そのまま真っ直ぐにリーナたちのいる席に向かう。そのすぐ後ろからついてきた千陽がぺこりと小さく頭を下げて同じように彼女たちのもとへとやって来た。

「構わないわ。それで? どうしたの?」
 リーナは千陽と言葉を交わしてその顔をアリアに向けると、どこか嬉しそうな顔を浮かべる妹に問いかけた。
「ねぇねぇ、試験も終わったでしょ? この後は特に何もないし……どうせなら、お疲れ様の意味も込めて、どこかで食べて帰らない?」
「どこか……って、行き先は決めてないの?」
「う~ん、とりあえず駅前はどう? あそこならいろんなお店があるし」
「……食べに行くってだけで、具体的なことは何一つ決めてないのね……」
 提案したはいいものの、その中身がまるでノープランなアリアの言葉に、帰り支度を終えたリーナがため息を吐きながらやや呆れて言葉を返す。

「まぁでもいいじゃんない? 駅に行くまでに決まるかもしれないし」
 リーナの返答に見かねたキリアがそっと助け舟を出してアリアの意見に賛同を示す。

「ふぅ……分かったわ。それじゃあ行きましょうか」
 リーナが席を立ったのを皮切りに、キリア、アリア、千陽が連れ立って教室を後にした。
 どこへ行こうかと思案しながら廊下を歩いていた彼女らは、いそいそと出口に向かうにソアラが会い、彼女の口から茜と一緒に駅前にあるオセロットというケーキ屋に行くことを告げられ、「ケーキ」の持つ魅惑に抗えず結局校門で待っていた茜と合流して店に行くこととなった。


 店に向かう道すがら、彼女たちの話題の中心は試験後の休日に行く「魅神楽リゾート」の話になっていた。

「え~っ!? ソアラたち、魅神楽リゾートに行くの? いいなぁ……私も予定がなかったら行きたかったよ」
「まぁまぁ、仕方がないよ。お土産買ってくるから気を取り直してって」
 ガックリと肩を落として落胆ぶりを露わにする茜に、横で歩くソアラが声をかける。

「それにしても広いのね。ちらっと調べてみたけれど、いくつかのエリアに分かれていて、その一つ一つが結構な広さみたい。これだけ広いと歩き回るだけでも相当時間がかかるわね」
「アトラクションの数も多いって聞いたよ? ジェットコースターが人気なんだって。私も乗ってみたいなぁ~」
「菓子や雑貨といったものも人気のようね。兄さんにプレゼントしてもいいかしら」
 キリアの言葉に、アリアが「今から楽しみ」だと言わんばかりの笑顔を浮かべて補足する。その後ろにいたリーナがいつの間にか手に入れていたガイドブックを開きながら、目ぼしいページにドッグイヤーを付けていた。

「ねぇねぇ千陽っ! 私たちは初めてだから、色々と宜しくね!」
「きいいぃっ! 千陽の裏切者ぉ~!」
「あはは……」

 まるで遠足前の子どものように浮き足立った様子を見せるアリアが、リーナの横を歩いていた千陽に声をかける。彼女も今回の行楽に付き合うメンバーである。一緒に行けない茜からは恨みがましい視線を送られる千陽であったが、そもそも彼女が一緒に行くこととなったのは、ツグナから「俺一人じゃ見きれないから」とお願いされたからだ。

(茜には悪いんだけど……正直言ってあんまり気乗りしないんだよね……)

 茜の若干責めるような物言いに、やや強張った笑みで流した千陽は、内心ため息を吐きながらそんな思いを心の中に呟く。
 それもそのはずで、今回千陽が一緒に行くのはツグナたちだけではなないからだ。
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