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本編
第110話 Event & Invader③
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「はい。実は、ここって火之輪家がいくらか出資しているんですよ。その関係で上役の人とも懇意にしていただいているので。なので、頼めば人数分はゲットできると思うんですけどね」
「へぇ~、それは羨ましいな」
火之輪家の持つ人脈に、ツグナは率直な感想を漏らしながらもわずかながら黙考する。
「……? どうしました?」
「いや、確かに願ってもない嬉しい申し出なんだけどな。みんなの都合がつくかどう――」
あはは、と笑いながら一旦は躊躇したツグナだったが、そのセリフを呟いた直後、彼の背中にゾクリと悪寒が走る。
「「「「絶っ対行く!!」」」」
「え゛っ……」
突然背後から聞こえてきた強い意志を孕んだ声に、彼がその声がした方へ振り向く。するとそこにいたのは――
「まさか……自分だけ行こうだなんて思ってないよね、ツグナ」
返答次第では「裏切者ぉ!」と血の涙を流しながら怨念じみた空気を発しそうなソアラに
「そうよねぇ~ただでさえこっちはクラスメイトたちやソアラから『教えて教えて』とせがまれてロクに自分の勉強時間も確保できてない状況なのに……ツグナだけいい思いをするのはいただけないわよねぇ……」
ギロリと「自分だけズルい」と非難めいた目でこちらを見ながら不満を訴えるキリア
「ツグ兄……ツグ兄は試験勉強を頑張るこの幼気な妹を放ってなんかしないよね……」
瞳を潤ませながら罪悪感を抱かせる言葉を並べるアリア
「兄さん。家族思いな兄さんなら……やるべきことは分かりますよね?」
淡々とした口調で呟きながらも、静かにプレッシャーをかけるリーナ
ありとあらゆる方向からツグナを責め立てる彼の家族がいた。
「えっ? あ、あぁ……うん。はい……」
女性たちの気迫に押されたツグナは、言葉にもならない声を発しながら、結局は彼女らの言うがままに従うほかなかったのだった。
◆◇◆
そして、時間はあっという間に流れ――試験最終日。最後の科目の試験終了を告げるチャイムが学院中に響き渡ると、それまでの連日にわたる試験で干からびた花のように萎れていた生徒たちの表情が一気に明るさを取り戻す。
「お、終わった……」
解答用紙が回収され、筆記用具だけが置かれた机の上にソアラはぺたりと頬をつけ、魂が抜けたようなゲッソリとした表情で言葉を漏らした。
ほどなくして放課後を告げるチャイムが鳴り、教室中がにわかに活気づく。
「お疲れ~ソアラの方はどうだった……って、うわっ! どうしたの? 生気が抜けてるようだけど……」
「お、お疲れ茜……終わった。終わったよ、私……」
徹夜明けのような疲労を滲ませた笑みを浮かべながら告げたソアラの言葉に、茜は首を傾げながら訊ねる。
「終わった……って赤点確実で成績が終わった、と?」
「……何気にヒドくない?」
精根尽き果てたソアラに、茜は意地の悪い笑みを浮かべながらまるでトドメを刺すような言葉を放つ。
「ハハッ、ごめんごめん。冗談だってば。でもさ、テストは終わったんだし、まずはやり切った自分を褒めたらどう?」
白い目を向けながら「友だちとしてその言葉はどうよ?」と訴えるソアラに、茜はちろりと小さく舌を出しながら小さく謝罪する。
「そう、そうだよね……うん。そうだそうだ。まずは乗り切った自分を褒めよう! イェス! やったぜ私っ!!」
茜の指摘にパツと明るい笑みを浮かべて急速に調子を戻したソアラは、むくりと机から顔を上げると、ようやくテストが終わった解放感に浸り始める。
「うんうん。それでこそソアラだよ。それで、だ。テストが終わった自分のご褒美に、前々から行きたいと思ってたケーキ屋でも行かない?」
「っ――!? ケ、ケケケ、ケーキ!?」
茜からの誘いに、ソアラは目を輝かせながらオウム返しに訊ねる。
「そうそう。調べたら買ったケーキをその店でも食べられるみたいなんだよね。どう?」
「行く行くっ! 場所は?」
「駅前にある『オセロット』ってお店」
「すぐに行くから、門のところで待ってて!」
茜から店名を聞いたソアラは、先ほどまでとは打って変わり、鼻歌交じりの上機嫌で帰り支度を始める。
「オッケー。なら、先に門のところで待ってるよ。ただ、人気店だから早くしないと目当てのケーキがなくなるよ~」
「分かった!」
ひらひらと手を振りながら先に行く茜の背中に向けて、ソアラは二つ返事を告げながらカバンに教科書を突っ込んだ。
「へぇ~、それは羨ましいな」
火之輪家の持つ人脈に、ツグナは率直な感想を漏らしながらもわずかながら黙考する。
「……? どうしました?」
「いや、確かに願ってもない嬉しい申し出なんだけどな。みんなの都合がつくかどう――」
あはは、と笑いながら一旦は躊躇したツグナだったが、そのセリフを呟いた直後、彼の背中にゾクリと悪寒が走る。
「「「「絶っ対行く!!」」」」
「え゛っ……」
突然背後から聞こえてきた強い意志を孕んだ声に、彼がその声がした方へ振り向く。するとそこにいたのは――
「まさか……自分だけ行こうだなんて思ってないよね、ツグナ」
返答次第では「裏切者ぉ!」と血の涙を流しながら怨念じみた空気を発しそうなソアラに
「そうよねぇ~ただでさえこっちはクラスメイトたちやソアラから『教えて教えて』とせがまれてロクに自分の勉強時間も確保できてない状況なのに……ツグナだけいい思いをするのはいただけないわよねぇ……」
ギロリと「自分だけズルい」と非難めいた目でこちらを見ながら不満を訴えるキリア
「ツグ兄……ツグ兄は試験勉強を頑張るこの幼気な妹を放ってなんかしないよね……」
瞳を潤ませながら罪悪感を抱かせる言葉を並べるアリア
「兄さん。家族思いな兄さんなら……やるべきことは分かりますよね?」
淡々とした口調で呟きながらも、静かにプレッシャーをかけるリーナ
ありとあらゆる方向からツグナを責め立てる彼の家族がいた。
「えっ? あ、あぁ……うん。はい……」
女性たちの気迫に押されたツグナは、言葉にもならない声を発しながら、結局は彼女らの言うがままに従うほかなかったのだった。
◆◇◆
そして、時間はあっという間に流れ――試験最終日。最後の科目の試験終了を告げるチャイムが学院中に響き渡ると、それまでの連日にわたる試験で干からびた花のように萎れていた生徒たちの表情が一気に明るさを取り戻す。
「お、終わった……」
解答用紙が回収され、筆記用具だけが置かれた机の上にソアラはぺたりと頬をつけ、魂が抜けたようなゲッソリとした表情で言葉を漏らした。
ほどなくして放課後を告げるチャイムが鳴り、教室中がにわかに活気づく。
「お疲れ~ソアラの方はどうだった……って、うわっ! どうしたの? 生気が抜けてるようだけど……」
「お、お疲れ茜……終わった。終わったよ、私……」
徹夜明けのような疲労を滲ませた笑みを浮かべながら告げたソアラの言葉に、茜は首を傾げながら訊ねる。
「終わった……って赤点確実で成績が終わった、と?」
「……何気にヒドくない?」
精根尽き果てたソアラに、茜は意地の悪い笑みを浮かべながらまるでトドメを刺すような言葉を放つ。
「ハハッ、ごめんごめん。冗談だってば。でもさ、テストは終わったんだし、まずはやり切った自分を褒めたらどう?」
白い目を向けながら「友だちとしてその言葉はどうよ?」と訴えるソアラに、茜はちろりと小さく舌を出しながら小さく謝罪する。
「そう、そうだよね……うん。そうだそうだ。まずは乗り切った自分を褒めよう! イェス! やったぜ私っ!!」
茜の指摘にパツと明るい笑みを浮かべて急速に調子を戻したソアラは、むくりと机から顔を上げると、ようやくテストが終わった解放感に浸り始める。
「うんうん。それでこそソアラだよ。それで、だ。テストが終わった自分のご褒美に、前々から行きたいと思ってたケーキ屋でも行かない?」
「っ――!? ケ、ケケケ、ケーキ!?」
茜からの誘いに、ソアラは目を輝かせながらオウム返しに訊ねる。
「そうそう。調べたら買ったケーキをその店でも食べられるみたいなんだよね。どう?」
「行く行くっ! 場所は?」
「駅前にある『オセロット』ってお店」
「すぐに行くから、門のところで待ってて!」
茜から店名を聞いたソアラは、先ほどまでとは打って変わり、鼻歌交じりの上機嫌で帰り支度を始める。
「オッケー。なら、先に門のところで待ってるよ。ただ、人気店だから早くしないと目当てのケーキがなくなるよ~」
「分かった!」
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