黒の創造召喚師 ―Closs over the world―

幾威空

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本編

第126話 激闘の余波②

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 結局、あのドラゴンロードによる一幕は「リゾート内で進めていた新しいアトラクションが不具合により暴走した結果生じた事故だった」として関係者の謝罪会見とともに報道された。
 もちろんこの理由自体が嘘であることは当事者であるツグナも承知している。だが、それをわざわざ指摘してしまうと、余計に面倒な事態になり得ると判断たこともあり、あえて名乗り出ることはしなかった。

 そう、しなかったのだが……

「なぁなぁ! 継那たちって、あの時現場にいたんだろ? なら、あの勇者たち・・・・について何か知っているんじゃないのか?」

 休み明けの月曜日、登校したツグナは席に着くや否や近寄って来た瑞基に開口一番訊ねられる。
「勇者たちって……あぁ、あの話題の?」
「そうそう。あのドラゴンも気になるけど、やっぱりそっちに興味が移っちゃうよね。ネットを通じて写真や映像も出回っているし、一体誰なんだろ? って思うのは当然でしよ?」
 ツグナの言葉に、彰彦が頷きながら言葉を返す。
 彼がドラゴンロードを倒したことや、ソアラたちがレッサーデーモンと戦った際のことは、本人たちが預かり知らぬ間に瞬く間に広がり、今では当時の被害状況よりもそっちが盛り上がりを見せていた。テレビを通じてお茶の間に紹介された影響もあるだろうが、ネット界隈では「分析班」なる人たちが出回っている写真や映像をもとに喧々諤々の議論を繰り広げることでさらに注目が集まっている。

「いや、まぁ気になるのは分かるけど、あの時はそんなことに構ってられないほど混乱してたしなぁ……人がわんさかいたし、警察とか救助隊の人たちもたくさんいたからな。かく言う俺も帰って来てから知ったクチなんだぞ?」
「そっかぁ……」
 肩を軽く上下させ、ため息交じりに呟くツグナに、問いかけた彰彦はやや残念そうに気落ちしながら相槌を打つ。
「彰彦、残念なのは分かるが落ち込んだって仕方がないって。しっかし、ホント運が良かったな。魅神楽リゾートって結構な人が集まるトコだろ? よく無事だったな……」
 気落ちする彰彦を宥めながら瑞基が話題を変える。彼の言葉にツグナは「確かにな」と答えつつ、さらに話を続けた。
「あの時は本当に『運が良かった』としか言えないんだよなぁ……俺たちがいたのが比較的出入り口に近かったってことと、件のドラゴンが広場から出なかったってのが幸いしてさ。ただ、逃げてくる客の波が凄くて、もみくちゃになりながら、気が付いたら敷地の外にいたって感じなんだよ。逃げてくる人と出入り口付近に既に押し寄せていた集団に挟まれてさ……ありゃあ満員電車ですし詰めされてた方がまだマシって思えるキツさだ」
「う゛わあぁぁ……」
「エグいなそりゃ……」

 ツグナの説明に、瑞基と彰彦は盛大に顔を顰めながら同情の眼差しで彼を見つめる。

(……ってのはウソだけどな。この二人には悪いが、話題の人物が俺たちだなんて知られたら、さすがに身動きが取れなくなるし、ここは誤魔化しておくのが最善手、ってトコだな)

 スラスラと口からそれっぽい嘘を紡ぎつつ、彼は心の中で目の前の二人に謝罪の言葉を呟く。
 同情を寄せる瑞基と彰彦に、ツグナは「まぁ大変だったけど、もう終わったことだから」と苦笑交じりに口を開くと、直後に一限目の始業を告げるチャイムが教室内に響き渡った。
「あ~、もう授業が始まるのか……」
 もっと良く話を聞きたかったと残念がる瑞基に、隣の彰彦が「あっ!」と声を漏らす。

「先週って試験だったじゃない? もしかして――」
 サアァァ……とやや血の気の引いた表情で訊ねる彼に、ツグナはコクリと頷きながら逃れられない事実を告げる。

「そうだな。休みもあったことだし……おそらくはテストの結果が返却されるんだろうな」

 その言葉に、「あ、赤点は回避しないとマズイ……」「どどど、どうしよう……今回、ホントに自信がないんだけど!?」と狼狽する瑞基と彰彦をなんとか席へと追い返し、ツグナはふと窓の外へ目を向けながら胸中に呟く。

(ニュース、か……取り上げられて拡散されたのは痛いが、これもすぐに収まりを見せるだろう。ただ……問題なのは、これをキッカケに近づいて来た輩をどうするか、だな)

 今後予想される面倒な事態を脳裏に思い描きながら、彼はため息を呑み込んで授業の開始を待つのだった。
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