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自分の席で一人弁当を開け、鈴木亮太は入っていた唐揚げを口に入れた。
(ん、美味い)
一人は好きだ。
自分のペースで何でもできるし、気楽だとも思う。
けれど、別に一人でいたいわけではない。ただ、人と話をするのが苦手だ。笑っていても、本当はどう思われているのだろうと気にかかるし、何より面と向かって話すとどうしてもうまく言葉が出てこない。何か特別なことがあったわけではないのだけれど、とにかく緊張してしまう。
(あ、高野さんだ)
きゃあきゃあと甲高い声が聞こえて、ふと顔を上げたら、クラスメイトの高野ゆりと相川望美が話しながら教室を出ていくのが見えた。
高野ゆり。クラスの中でもカースト上位の女子だ。
胸元まである栗色の髪は肩から下にかけてふわふわとカールがかかっている。いつもメイクばっちりで、たぶん、シャンプーか何かなのだと思うのだけれど、近くを通るといいにおいがする。
高野はいつも相川と一緒にいるから、二人は仲がいいのだと思う。相川も相川でショートカットがとても様になっている可愛らしい女子だ。
(二人とも可愛いよなあ。って、まあ、俺には関係ないけど)
高野も相川も可愛い。
いわゆる陽キャタイプのクラスでも人気のある人種だ。目を引く見た目だから、つい見てしまうけれど、鈴木は一生関わることがないだろう。同じクラスだから、必要最低限の連絡事項があれば話すこともあるだろうが、そもそも鈴木は話すのが苦手だから、たいていの連絡事項は男子に聞くと決めている。
(あ、今日の配信、呟いとこう)
ポケットからスマホを取り出し、卵焼きと米を口に入れて、もぐもぐと咀嚼しながらアプリを開く。ファン登録の人数が増えているのを見て、鈴木は「ふふっ……」と笑った。
最近見つけた特技。
もともと歌を歌うときには、その歌手の声を真似する癖があった。特別意識して、というわけではなく、そのほうが歌いやすかったからだ。
一年ほど前、ゲーム仲間だった今村透に『一緒に配信しない?』と誘われて、ゲームの配信をした。初めてやった時にはすごく緊張したのだけれど、面と向かって相手が見えないからか、ゲームをやっているからか、普通に話をすることができた。
何度か一緒に配信しているうちに、雑談配信もするようになって、今村が『こいつ、声変えれんだよ。ものまね、うまい』と言ったから、鈴木は歌の声真似をやって見せた。そうしたら、一気にコメントが湧いて、『かっこいい』『イケボだ』ともてはやされるようになった。
初めのうちは、『みんな優しいな』『お世辞言ってくれてるんだ』と思っていたのだけれど、換金アイテムまで届くようになって、嬉しくなった。
普段はまともに話すこともできない鈴木でも、画面に向かってならいくらでも話すことができる。
そうして、半年前、もう一つチャンネルを立ち上げた。ファンの人が書いてくれた台本や、無料の台本を声を変えて読んでいく配信をしている。
少し大人な声や、少年みたいな声。台本に書いてあるキャラクターをイメージして演じていくのだけれど、これがなかなか面白い。少しずつではあるが毎日ファン登録が増えていくのも、なんというか認められているような気分になる。
(今日は八時、と)
基本、金曜日の夜八時、どうしてもむずかしい時には予定変更をするけれど、定期的に配信するのはファン獲得に必要なことだと思う。
学校ではちやほやされることなんてないけれど、配信中はみんな鈴木に優しくしてくれるのだ。
(ん、美味い)
一人は好きだ。
自分のペースで何でもできるし、気楽だとも思う。
けれど、別に一人でいたいわけではない。ただ、人と話をするのが苦手だ。笑っていても、本当はどう思われているのだろうと気にかかるし、何より面と向かって話すとどうしてもうまく言葉が出てこない。何か特別なことがあったわけではないのだけれど、とにかく緊張してしまう。
(あ、高野さんだ)
きゃあきゃあと甲高い声が聞こえて、ふと顔を上げたら、クラスメイトの高野ゆりと相川望美が話しながら教室を出ていくのが見えた。
高野ゆり。クラスの中でもカースト上位の女子だ。
胸元まである栗色の髪は肩から下にかけてふわふわとカールがかかっている。いつもメイクばっちりで、たぶん、シャンプーか何かなのだと思うのだけれど、近くを通るといいにおいがする。
高野はいつも相川と一緒にいるから、二人は仲がいいのだと思う。相川も相川でショートカットがとても様になっている可愛らしい女子だ。
(二人とも可愛いよなあ。って、まあ、俺には関係ないけど)
高野も相川も可愛い。
いわゆる陽キャタイプのクラスでも人気のある人種だ。目を引く見た目だから、つい見てしまうけれど、鈴木は一生関わることがないだろう。同じクラスだから、必要最低限の連絡事項があれば話すこともあるだろうが、そもそも鈴木は話すのが苦手だから、たいていの連絡事項は男子に聞くと決めている。
(あ、今日の配信、呟いとこう)
ポケットからスマホを取り出し、卵焼きと米を口に入れて、もぐもぐと咀嚼しながらアプリを開く。ファン登録の人数が増えているのを見て、鈴木は「ふふっ……」と笑った。
最近見つけた特技。
もともと歌を歌うときには、その歌手の声を真似する癖があった。特別意識して、というわけではなく、そのほうが歌いやすかったからだ。
一年ほど前、ゲーム仲間だった今村透に『一緒に配信しない?』と誘われて、ゲームの配信をした。初めてやった時にはすごく緊張したのだけれど、面と向かって相手が見えないからか、ゲームをやっているからか、普通に話をすることができた。
何度か一緒に配信しているうちに、雑談配信もするようになって、今村が『こいつ、声変えれんだよ。ものまね、うまい』と言ったから、鈴木は歌の声真似をやって見せた。そうしたら、一気にコメントが湧いて、『かっこいい』『イケボだ』ともてはやされるようになった。
初めのうちは、『みんな優しいな』『お世辞言ってくれてるんだ』と思っていたのだけれど、換金アイテムまで届くようになって、嬉しくなった。
普段はまともに話すこともできない鈴木でも、画面に向かってならいくらでも話すことができる。
そうして、半年前、もう一つチャンネルを立ち上げた。ファンの人が書いてくれた台本や、無料の台本を声を変えて読んでいく配信をしている。
少し大人な声や、少年みたいな声。台本に書いてあるキャラクターをイメージして演じていくのだけれど、これがなかなか面白い。少しずつではあるが毎日ファン登録が増えていくのも、なんというか認められているような気分になる。
(今日は八時、と)
基本、金曜日の夜八時、どうしてもむずかしい時には予定変更をするけれど、定期的に配信するのはファン獲得に必要なことだと思う。
学校ではちやほやされることなんてないけれど、配信中はみんな鈴木に優しくしてくれるのだ。
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