好きなのは俺の声だけですか?

高羽流生

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「どうせ、また聞きに来るんでしょ? だったらずっと、俺のファンでいなよ。可愛がってあげるからさ」

(なんだよ、このセリフ、恥ずかしい)

 部屋の中で一人。パソコン画面を見つめながら、自作のダミーヘッドに向かって話しかける。

 配信までに何度も目を通しているけれど、実際に声に出して言ってみると、かなり照れくさい。

 だって、普段の鈴木は絶対に言わないような言葉、なのだ。

 自分に自信がある、陽キャの人しか言わないような言葉。だから、言い慣れないし、どういう顔をしていいのかわからなくなる。

(まあ、見えてないけど……)

 チャンネルを立ち上げる時に、イラストを注文した。イラストは普段の鈴木とは似ても似つかない、イケメンだ。

 百七十センチ、中肉中背。

 数か月切っていない髪の毛は少々もっさりしていて、眼鏡にかかっている。髪色も自然体の黒だ。

 けれど、配信用のイラストは違う。イラストを決める時、今村に相談したら『絶対イケメンにしたほうがいい』と言われて、オーダーを出した。

 黒髪だけど、綺麗に整えた艶のある髪。アニメキャラみたいなイラストだから髪型だってスッキリとしている。ついでに服装も、カジュアルすぎず、かっちりしすぎていない、雑誌のイケメンがきているような服。

「みんな、ありがとう。順番に名前呼んでくね。呼ばれてない人はコメントで教えて」

 配信すると何人もの人が投げ銭をくれる。ものすごく人気の配信者というわけではないけれど、バイトをする必要がないくらいにはもらえているのだと思う。半年たって、毎回配信時に投げ銭をしてくれる人もできてきた。

 順番にお礼を言って、見慣れたアイコンを見つけた。

 『リリ』カタカナの名前で覚えやすい。彼女(名前から言って女だと思っている)は、今村とゲーム配信をしていた時、はじめに投げ銭をしてくれた人だ。

 金額は多くはない。けれど、無料のスタンプをくれたり、コメントをくれたりする。

「リリさん、いつもありがとう」

 読み上げたら、『リリさん』がコメントに可愛いスタンプを押してくれた。

 配信画面を閉じて、ヘッドフォンを外す。

(ん、これでいい)

 どうせ、普段の鈴木はモテないのだ。男と話すのはまだいいけれど、かわいい女子となんて話せるわけがない。

 そりゃ、本音を言ったら可愛い彼女が欲しいけれど、鈴木の見た目はあまりにも普通、なのだ。背が高いわけでも、運動ができるわけでも、勉強ができるわけでもない。

(このイラスト、ほんと俺に似てない)

 同じ黒髪なのに、どうしてこうも違うのだと思ってしまうほど、配信用のイラストはかっこいい。まあ、アニメや漫画に出てくるようなキャラにしてもらったから当たり前なのだけれど。

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