愛の檻

瑠花

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同伴者決定

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家に戻るとローラが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ。おや…何かありましたか?」
「ただいま~。うん、まぁ…父様はいる?」
「いえ。しかし、夕食には戻るとのことですが…」
「そう。じゃあ、夕食になったら呼んでちょうだい。それまでは部屋に籠るから。」
「かしこまりました。」

と、お辞儀をして行った。そのまま自室へ戻ろうとしたら、

「お嬢様、お帰りなさいませ!」

と、5年前から仕え始めた私の執事が自室の前にいた。

「お菓子などを用意しましょうか?それとも…」
「はぁ…あのね。ほぼ毎日部屋の前で待つのをや・め・て」

と言いながらドアを開けて部屋に入った。それに伴い執事も入ってくる。

「…」

とりあえず振り向いて、手を組み、怒っているアピールをしてみた。それもニコニコ笑って受け流している。これは…

「ニック。出てって」
「できません。私はお嬢様に救われました。なので、その恩返しをするためにもお嬢様をお護りするのが私の役目です。」

ニックは名前を呼ばないとお願いを聞いてくれないし、私の近くをほとんど(着替えや風呂には絶対について行かせないが)ついてくる。私が奴隷商から買って家に連れてきたこと恩を感じているらしい。

(見た目の割に義理堅いけど、なんだか監視されているようで嫌なんだけど…)

頑なに自分の意見を通そうとしてくるので譲れたり、めんどくさくなるとつい私の方が譲ってしまう。だから、今回もめんどくさくなったので放置した。

(お披露目会のことをレミに話して、いいかどうか聞いて…まぁ王家の誘いだからイエスしか無理なのだけど、父様にはきっと手紙がいってるはずだし…誘いが冗談だったら杞憂だけど冗談で王家の権力チラつかせるか?………)

悶々と考えていたら余計に訳がわからなくなった。
キルシュがセシル様と幼馴染というのは確かに貴族会で言われていたが、だからといって一人一人に声をかけてどんな関係かを確かめることはしていなかったはずだ。

「うーーん…なんだろう」

とひとりでに言ってみた。

「何かお困りなら私が聞きましょうか?誰かに相談することで新たな道を開くかもしれませんよ?」

と、アレクが言ってきた。確かにそうだと思ったが、学校の話をするとほとんど不機嫌になるのが、最近わかってきた。

「いいや、なんでもない」
「さっきから百面相してる所を見ると、そんなようには見えませんが」
「まぁどうせ夜には判明することだし、結果は決まってるし」
(手紙の話が無かったら冗談ってことだから、今度会ったら笑い話で終わりにしよう!)

と、自分の中で勝手に決めてみた。
そう思うと気持ちが軽くなった。

「そういえば、もうそろそろお披露目会ですね。誰を連れていくのか決めましたか?」
「同伴者のこと?それなら、夜に決める」
「同伴者ではなくて、連れていくメイドか執事を誰にするのかということです」
「え…?、、、、えーーー!?そんな話聞いてない!」

驚いた…そんな話聞いていないし、例年もそんな事例はなかったはずだ。

「アルム様がおっしゃっていましたよ。模擬戦をやったとおっしゃっていた次の日の朝に “女の生徒は基本的に執事かメイドを連れてくるようにとなった”   と」
(あ…途中でめんどくさくなったから適当に頷いていたわ…)
「ん?じゃあレミは?誰を連れていくのか言ってた!?」
「さぁ?知りません」

そういえば、レミとニックはなぜか仲が悪かった。
…まぁ、あとは父様が帰ってきたら考えよう。
そう思って夕食まで眠ろうと思ってベットの上に飛び乗った。



誰かが私を叩いてから、ゆすった。少し頭が活性化してきて、寝返りを打ってみた。そしたら、なぜか近くに体温がある気がして安心した。髪を撫でられて何往復もそれを繰り返してるように思う。

「ん…何時?」
「あともう少しで夕食ですね」

私は一気に頭を覚醒させて飛び起きた。

「おや、起きてしまいましたか」
「もっと早く起こしてほしかった…」
「中々見れない寝顔を堪能したくて、つい」

もう私は何故ニックがいるのか突っ込まない。
髪を軽く整えてから、夕食を食べに部屋を出た。

「あ、お姉様!」

ニコニコしながら妹が近寄ってきた。近くにはローラが仕えていて、お辞儀をされた。

「あら、レミ。これから夕食を?」
「はい!お姉様もですか?一緒にいきましょう」
「ええ、もちろん」

私たち姉妹は、学校でのことや最近流行りのものの話をしながら歩いていたが、後ろから一人だけ不穏な空気を出していたが無視した。そんなことをしている内に部屋につき、もうすでに父様がいたのでそれぞれの席についた。少し食べてから私は本題を話し始めた。

「あの、お披露目会の話なのですが執事かメイド同伴というのは本当ですか?」
「あぁ、前に言ったはずだが決定事項とのことだ。」

流石に寝ぼけてて聞いてなかったとは言えないし…、他に連れていくとしてもローラくらいだ。でも、レミはニックと仲が良くないからローズを連れていくだろう。

「レミは」
「もちろん。ローラと行きます!ローラもいいと言ってくれました。」

もうすでに決まっていたらしい。

「姉様、ファリオと一緒にいきませんか?そしたら、ローザもより楽しめると思うのですが…」
「レミお嬢様、メルお嬢様、私たちのことはお気になさらず。それにそのような豪華な場に立ち会えることは中々ございませんから、慎重になって…」
「そうね、ファリオと行きます。楽しむことが一番だもの。それは、私たちもローラも。ただ、ファリオは仕事が忙しいからどうかしら」
「そうです。執事長はアルム様の補佐で忙しいはずです。だから、今回は私が同伴した方がいいと思いますが」

いきなり会話に入ってきて、意見してきたニックの意見は正当な判断だが、

(あまり時間が取れないファリオと会える時間をローラに使ってあげられると思ったのだけれど…より負担をかけるのは…)

そんなことを考えていると父様が不思議そうに言った。

「話しているところ悪いが、お前らの同伴者は決まっている。王家とダンテ家から手紙が来て " エスコートする権利を息子に与えて欲しい " とのことだ。メルには話を通してあるとのことだが?」
「えぇ…その話をしようとしましたが、それでもメイドか執事を連れていくのでは?」
「誰もそんなことは言っていない。同伴者、つまり、守ってくれる人があればいいというだけだ。別に連れてきてもいいとはあるが人数が多すぎるのは良しとされないからな。基本は一人だろう」
「なるほど…」

(私が勝手に勘違いしただけか…ニックと話していた時に私はセシル様やキルの話をしなかったから、おかしな方向へ話が行ったのか、最初から話しておけばよかった///)

私は一人で暴走していたことが恥ずかしくなった。

「じゃあ、私はそのお二人のどちらかにエスコートされるということですか?私、セシル様としか喋ったことありませんよ…しかも、挨拶しかしたことありません。」
「じゃあ、メルはダンテ家の長男、レミはセシル様とエスコートしてもらえるように手紙を出そう。それでいいな」
「構いませんし、私はその話をされていたのですぐに話すべきでした。ごめんね、レミ」
「いえ、別に姉様を責めるつもりはないですけど…なんだか、セシル様は面倒くさそうで嫌ですけど…耐えて見せます。」

とても嫌がっているのが伝わってきたが流石に王家の手紙を突き返すことはできないし、知らない人にエスコートされるのも嫌だろうから我慢してもらうしかない。

「ローラもニックもごめんなさい。帰ってきてからいうべきだった…」
「いえいえ、私たちの分もお楽しみください。」
「いえ…」

ニックはなんだか納得いかないという感じだが反抗はしてこなかった。
これで同伴者は決まった。
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