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ダンスとその後
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ニコラス殿と別れてキルの方へと向かった。
キルも手をひらひらとして答えてくれた。
「メル、ダンス上手なんだな」
「いや、あれはニコラス殿が上手だったからそう見えただけで本当はそんなに…だよ」
「そうなのか…」
「?(なんか悩んでる?)」
「あの、さ、よかったら俺とも踊らないか?」
「え…いいけど足踏むかも」
「踏むのか!?」
「うん、何回も練習している人じゃないと慣れてないから踏む」
「まぁ、そこは頑張る」
なんだか、踏まれることを前提にして痛そうにしているのが気の毒であり、面白くもあった
きっとキルもあまりダンスに熱中しているわけではないからなれていないのだろう
「おんなじレベルなことを期待してる」
「流石にお前よりは上手い…と信じてる」
そんなことを喋ってまたダンスホールへと戻った。
さっきの手慣れているニコラス殿とは違う
不器用だけれど、繊細で丁寧な仕草で私の手を取った
音楽が鳴り始める
それと同時に私たちも動き出す
数分間踊っていると、やはりさっきとは違って、足を何回か踏んでしまった。そのたびにキルは地味に痛いのか顔をしかめている
そんな様子は、たまらなくおかしくて笑いたくなってしまった
そんな仕草に気づいたキルは、
「お前…なんだよ」
「ふふふ、別に」
「笑ってるのバレてるからな」
「あ…」
「たくっ、どうせ下手だよ」
「別に下手なわけじゃないよ。私が慣れてないってのもあるだろうからきっとお互い様だ」
「そういう時は、ちょっと俺を立てろよ」
「そんなに違いがあるわけじゃないじゃない」
「そんなこと言うなら…」
ニヤリと笑って
少しぐっと引き寄せたと思うと、離れて、片手だけ握った状態で私を回転させた。いきなりのことで驚いたがまた、元の状態に戻ると、体制を整えようとしたが、そうはさせまいともう一度私を回転させ、少し場所を移動させるべく足を動かした。足がもつれそうになるのを、必死に耐えながらキルの後を追った
それを2回繰り返された
「さっきのは何?転びそうになったんだけど」
まだ音楽は鳴り続けている。たださっきとは違って、回転したりはせず、ゆったりと繰り返しているだけだった。
「なんだか舐め腐っているような顔してたから、少し驚くことをさせようと思って」
「確かにびっくりはしたけど…」
「いや、でも、こんなにダンスを楽しんだのは初めてだな。まぁあんまり踊ったことなんかないけどな」
「私の場合は1周回ってどっと疲れた。こんなに踊ったのは私も初めてなんだけど」
言い合いをしながら、この時間が愛しいと思って、お互いに笑ってしまう。やがて、ダンスの音が終わりへと近づいてきた。
「あ、セシルじゃん」
「え?」
「ほらあそこ」
キルが顎である場所を差し示した。確かに、そこにはセシル様がいた。向こうもこちらに気づいて、軽く手を振ってから、またどこかの貴族と話し始めた
セシル様は王族だから挨拶をすれば他のことをして良いらしいが、もちろん王族なので、貴族と話をしなければいけないそうだ。この前話していたときにそれを聞き、私は(大変そうだなぁ)と、他人事で聞いていたので覚えている
音楽が止まり、踊っている人たちも踊りを止め、お互いに礼をした
そのあとは、セシル様と話したらレミが乱入にして来て騒がしくなったり、第一王子、第二王子に礼をして少し話をしたりと賑やかにダンスの終わりを告げた
「ああ、やっぱり疲れた~ダンスも久々だからかもだが、めっちゃ見られてニコニコするってのは慣れねぇ....」
レミともあったが、早々に男性陣に囲まれてしまい、嫌そうな雰囲気を醸し出しながら対応していたので、その隙にセシルと、私とキルは抜け出して庭に来ていた。さすがとしか言いようのないきれいな花々が飾られていているのに人の気配は全くなかった。言わば穴場中の穴場と言うやつだろう
「あはは、お疲れ様だねキル。あんまりこういうところ来ないもんね~昔から嫌ってたくらいだし」
「だって肩苦しくて、俺にはなんだか合わないんだよ」
「舞踏会とかお披露目会っていうのは、情報収集の場だから、脳筋のキルには早いんだね」
「そういうメルだってあんまり来てないだろう」
「そうだね。妹君の名前はよく見るけど、あんまり見たことないね」
「まあ…人には得て不得手がありますから、良いのですよ…アハハ…」
「こいつ、さっきと言ってることも真逆じゃねーか」
怒ったふりをしたキルが拳骨をからわせようと近づいてきたので、それを避けようと走り回っていると…
「あっ…」
うっかり何かに引っ掛けてしまい転びそうになっ…
「おっと」
前のめりになったところを、セシル様が、ナイスキャッチしてくれたことによって、私は無傷だった。
「ありがとうございます!」
「いえいえ、怪我がなくて何より」
「どうしたんだよ。お前が転ぶなんて」
「だって、こんなところに転ぶところなんてなかったはずじゃ…」
と、自分の足元を見てみると、どこから伸びてきたのか、つるのようなものが自分の足に巻きついていた。
「え…」
ここに来る時の庭は、もちろん綺麗なまでに洗練されていたので、つるなんてものを踏み越えてきた覚えは無い。しかも、自分の片足を覆うほどのつるなんてどうやって踏むんだろうか
「な、なんだこの植物…」
「僕も知らないなぁ。こんなもの庭に植えてあった覚えもないし、自然と伸びてくるなんて…」
こんな会話をしつつも、つるは、どんどんと私の足を覆い、上半身にまで来そうになっていた
「えっ、ちょっと何これ」
自分で取ろうにも引き付きが強すぎて、なかなか取れない
「ちょっと待ってろ」
引き剥がそうとしてくれるのか帯刀していた剣を出して切ろうとしてくれてる。それをみたセシル様も剣を取り出した
キルも手をひらひらとして答えてくれた。
「メル、ダンス上手なんだな」
「いや、あれはニコラス殿が上手だったからそう見えただけで本当はそんなに…だよ」
「そうなのか…」
「?(なんか悩んでる?)」
「あの、さ、よかったら俺とも踊らないか?」
「え…いいけど足踏むかも」
「踏むのか!?」
「うん、何回も練習している人じゃないと慣れてないから踏む」
「まぁ、そこは頑張る」
なんだか、踏まれることを前提にして痛そうにしているのが気の毒であり、面白くもあった
きっとキルもあまりダンスに熱中しているわけではないからなれていないのだろう
「おんなじレベルなことを期待してる」
「流石にお前よりは上手い…と信じてる」
そんなことを喋ってまたダンスホールへと戻った。
さっきの手慣れているニコラス殿とは違う
不器用だけれど、繊細で丁寧な仕草で私の手を取った
音楽が鳴り始める
それと同時に私たちも動き出す
数分間踊っていると、やはりさっきとは違って、足を何回か踏んでしまった。そのたびにキルは地味に痛いのか顔をしかめている
そんな様子は、たまらなくおかしくて笑いたくなってしまった
そんな仕草に気づいたキルは、
「お前…なんだよ」
「ふふふ、別に」
「笑ってるのバレてるからな」
「あ…」
「たくっ、どうせ下手だよ」
「別に下手なわけじゃないよ。私が慣れてないってのもあるだろうからきっとお互い様だ」
「そういう時は、ちょっと俺を立てろよ」
「そんなに違いがあるわけじゃないじゃない」
「そんなこと言うなら…」
ニヤリと笑って
少しぐっと引き寄せたと思うと、離れて、片手だけ握った状態で私を回転させた。いきなりのことで驚いたがまた、元の状態に戻ると、体制を整えようとしたが、そうはさせまいともう一度私を回転させ、少し場所を移動させるべく足を動かした。足がもつれそうになるのを、必死に耐えながらキルの後を追った
それを2回繰り返された
「さっきのは何?転びそうになったんだけど」
まだ音楽は鳴り続けている。たださっきとは違って、回転したりはせず、ゆったりと繰り返しているだけだった。
「なんだか舐め腐っているような顔してたから、少し驚くことをさせようと思って」
「確かにびっくりはしたけど…」
「いや、でも、こんなにダンスを楽しんだのは初めてだな。まぁあんまり踊ったことなんかないけどな」
「私の場合は1周回ってどっと疲れた。こんなに踊ったのは私も初めてなんだけど」
言い合いをしながら、この時間が愛しいと思って、お互いに笑ってしまう。やがて、ダンスの音が終わりへと近づいてきた。
「あ、セシルじゃん」
「え?」
「ほらあそこ」
キルが顎である場所を差し示した。確かに、そこにはセシル様がいた。向こうもこちらに気づいて、軽く手を振ってから、またどこかの貴族と話し始めた
セシル様は王族だから挨拶をすれば他のことをして良いらしいが、もちろん王族なので、貴族と話をしなければいけないそうだ。この前話していたときにそれを聞き、私は(大変そうだなぁ)と、他人事で聞いていたので覚えている
音楽が止まり、踊っている人たちも踊りを止め、お互いに礼をした
そのあとは、セシル様と話したらレミが乱入にして来て騒がしくなったり、第一王子、第二王子に礼をして少し話をしたりと賑やかにダンスの終わりを告げた
「ああ、やっぱり疲れた~ダンスも久々だからかもだが、めっちゃ見られてニコニコするってのは慣れねぇ....」
レミともあったが、早々に男性陣に囲まれてしまい、嫌そうな雰囲気を醸し出しながら対応していたので、その隙にセシルと、私とキルは抜け出して庭に来ていた。さすがとしか言いようのないきれいな花々が飾られていているのに人の気配は全くなかった。言わば穴場中の穴場と言うやつだろう
「あはは、お疲れ様だねキル。あんまりこういうところ来ないもんね~昔から嫌ってたくらいだし」
「だって肩苦しくて、俺にはなんだか合わないんだよ」
「舞踏会とかお披露目会っていうのは、情報収集の場だから、脳筋のキルには早いんだね」
「そういうメルだってあんまり来てないだろう」
「そうだね。妹君の名前はよく見るけど、あんまり見たことないね」
「まあ…人には得て不得手がありますから、良いのですよ…アハハ…」
「こいつ、さっきと言ってることも真逆じゃねーか」
怒ったふりをしたキルが拳骨をからわせようと近づいてきたので、それを避けようと走り回っていると…
「あっ…」
うっかり何かに引っ掛けてしまい転びそうになっ…
「おっと」
前のめりになったところを、セシル様が、ナイスキャッチしてくれたことによって、私は無傷だった。
「ありがとうございます!」
「いえいえ、怪我がなくて何より」
「どうしたんだよ。お前が転ぶなんて」
「だって、こんなところに転ぶところなんてなかったはずじゃ…」
と、自分の足元を見てみると、どこから伸びてきたのか、つるのようなものが自分の足に巻きついていた。
「え…」
ここに来る時の庭は、もちろん綺麗なまでに洗練されていたので、つるなんてものを踏み越えてきた覚えは無い。しかも、自分の片足を覆うほどのつるなんてどうやって踏むんだろうか
「な、なんだこの植物…」
「僕も知らないなぁ。こんなもの庭に植えてあった覚えもないし、自然と伸びてくるなんて…」
こんな会話をしつつも、つるは、どんどんと私の足を覆い、上半身にまで来そうになっていた
「えっ、ちょっと何これ」
自分で取ろうにも引き付きが強すぎて、なかなか取れない
「ちょっと待ってろ」
引き剥がそうとしてくれるのか帯刀していた剣を出して切ろうとしてくれてる。それをみたセシル様も剣を取り出した
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