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1章
05.趣味友をゲットしまして sideメイリン
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私、メイリン・リーが、イオりんことイオリ・ヒューガに出会ったのは、うららかな日差しのなか、花たちが咲き誇る花園だった——。
「ひゅ~う! ダリ様とリュート様が薔薇を背負って微笑み合ってますにゃ~!」
たまたま見かけてしまった推しの上級ハンター様のツーショットに、思わず植え込みに身を隠して覗き見をする私。
「戦うイケメンカッポー達を間近で見たい一心でハンターなんかになっちゃったけど、日々こんなシーンに遭遇できるなんてグフフ、最の高~、秘密の花園ばんざ~い! ドゥフフ」
「花園つーか、ここギルド前の花壇ですけどね」
「ニ゛ャッ!」
あぁ神さま、この美しい世界を作って下さりありがとうございますにゃ~! と、創造主エレンに感謝の祈りを捧げていれば、ビックリするほど間近から話しかけられて、思わず尻尾がボンと膨らんだ。
目の前の光景に集中しすぎたせいか、不覚にも私は何者かに後ろを取られていたのだ。
「ついでに言うと、微笑み合ってると言うよりアレはどう見てもガン飛ばし合ってますよ?」
背後を取られるなんて、五感に優れる猫獣人として恥ずかしい限りの失態なのだが、それよりも何よりも! 私の高まるハートに水を差すこのスットコドッコイに一言、物申さなければ! っと、勢いよく振り返れば、しゃがんだ私のすぐ後ろで、同じくしゃがみ込み膝に頬杖をつくそいつはいた。
その姿が私の目に入った瞬間、我が脳裏をとある言葉が駆け抜ける——
「あっあざとーい!」
「はぁ?」
飛び退きながら口をついた言葉に、何言ってんだ? って顔でそいつは私を見やった。
「にゃっ、にゃんだお前、新顔か!?」
そいつは若い人間の男で、人間にしては珍しいくらい顔が整っていた。だが、男前とかハンサムと言うよりはなんだか可愛い。
中性的とかでは無い。ちゃんと男なのだが、その青年のような少年のような顔に綺麗な若葉色の瞳が並んで、その目に少しかかるやや癖のある栗色の髪は、襟足だけを長く伸ばし括っていてそれがこの人間の男に似合っていて、とても、とてもよく分かってるな髪結屋よ……って感じ!
あとねぇ、こやつお肌がめっちゃ綺麗で、私は身を乗り出して見入ってしまう。キメ整い過ぎにゃんですけど?
「なっ何? そんなガン見されると怖いんですけど!」
引き気味で何か言ってくるけど、気にしないで観察を続ける。
というか、詰襟で横にスリットが入った裾の長いトップスという特徴的な服装から、私と同じ東の大国の出のようなのだが……顔だけじゃなく、その民族服の着こなしもあざとくて!
トップスは適度に付いたしなやかな筋肉を見てね! と、ばかりにピタッとしているし、本来ならノースリーブから見えるはずの剥き出しの肩は、フード付きのジャケットをゆるっと羽織っているので、露出はチラ見せ程度に抑えているのもツボを心得てる。
そんな上半身のチラ見せあざとさと対照的に、ボトムスは一般的な民族服のデザインよりゆったりとしていて下半身のラインは一切みえずガードが固い! それがまたこいつに似合っててあざと可愛くてな~。はい、そろそろ語彙力が来てにゃー!
「何なのさあんた! そのトップスのスリット! やたら深いので脇腹チラ見えしてますにゃー!」
「なっ何と言われましても?」
突然の私の指摘に、脇腹を抑えながらうろたえる人間の男。
「その上から下まで狙いすましたかのような、顔面含むトータルコーディネートよ! 自分が可愛いって知ってるでしょ! メイちゃんは上げ膳据え膳より不足しているところに萌えを見出していく所存なので、過ぎたるあざとさは胃もたれします!」
殆ど言いがかりだが、世の中はね、声の大きい方が勝つんだよ。
「この服は養父が作ってくれたモノですし! 大体、猫耳と尻尾つけた女子にあざといとか言われる筋合いないですがっ!」
最初はキョトンとしていたそいつも、流石に口答えをしてくる。
「はっはーん、メイリンお姉さんは分かってるんですよ! 君のその襟足の尻尾毛を、お相手に掴ませて嫌よ嫌よも好きのうち、あんな事やこんな事をしちゃうんdっ「声大きいし、落ち着け!」
ばちん! っと、こ気味良い音と共に額に軽い衝撃があり反射的に「痛いニ゛ャッ」っと両手で額を押さえたが、手加減されたデコピンは全くもって痛くはない。
「あっ、ごめん。つーかホラ、こんな騒いでたらあちらさんに見つかるぞ」
「おぉっと~、私としたことが眼福タイムを逃すところでした!」
律儀に謝る男はひとまず置いといて、再び花園に視線を戻すとイケメンハンター様達はその距離を縮めていた!
「ウホッ ご褒美です~! あそーれ、かーべーどん♪ かーべーどん♪」
「いや、ありゃどう見ても胸倉をつかみ合ってるようにしか……まぁ確かにあの二人が並んでると絵になるが、あんな険悪な当人たちに、壁ドンコールしてるの聞かれたら絶対にエライ目に合うぞ」
こいつはどうやら私に対する敬語を捨てる事にしたらしい。
獣人や古代種は人間より長生きで見た目だと歳なんか分からないし、社会的地位とかもあったりで色々あるから、だから人間は見た目問わず我々に対して敬語で話しかけて来るのが常なのだが、敬語やめたって事は……んーまっいっか。メイちゃんそう言うの気にしないし。
「でしょでしょ~不良系イケメン白魔道士のダリ様と、真面目が服着て歩いてる系美男子なのに狂戦士なリュート様! 幼馴染なのに犬猿の中で、容姿も戦闘スタイルも全然違うけどそこが良いのよねぇ~」
壁ドンと言う単語が出て来て、おっ こいついけるくちか!? と、ついノリノリでお返事しちゃう私。
「確かに、素行悪そうなダリさん? が白魔道士で、生徒会長みたいなリュートさん? が狂戦士ってなんかぐっとクルものが……いや、俺のはそういうの趣向じゃ無いからな! ギャップカッコイイ的なやつだからな! うんうん」
何やら一人で納得している。しかし、セイ……
「セイト、カンチョウとは?」
「カンチョウじゃありません! こっちの話。まぁ、姉貴だったら初見の印象はダリリューとか言いながら、リュートさんのドS攻めからはじまる。リューダリすれ違い泣ける系で一本描きそうな気がする。姉貴の描く本そんなのばっかりだったなぁ」
膝に両肘をついて遠い目をするそいつ。
そのポーズもあざといなお前と思いつつ、私は後半のつぶやきに食いついた。
「なっ何それめっちゃ読みたいやつ! 私も断然リューダリで、一時は歩み寄りを考えるのに最後まですれ違う二人の切ない悲恋がいい!」
「いやそこはハピエンにしろよ」
拳を握る私にビシッと裏拳ツッコミが入る。
「いいえ、これはハピエンなのよ! だって死ぬまでお互いを想い続けるんだからハッピーじゃない?」
「それは俺にとって限りなくバッドエンド! はい無理、解釈違いでーす! 解散解さーん」
つーんと解釈違いを告げられた。ぐぬぬっ
「こっのハピエン厨がぁぁぁ!」
「なんだこのこじらせ猫娘がぁぁぁ!」
などとギャイギャイやってるうちに、ヒートアップしてどっちが攻だとか受だとか大声になっちゃって、ダリ様とリュート様に見つかった私たちは、ダリ様の高位浄化魔法(対アンデット用)で浄化されかけ、危うく生きたまま成仏させられる所だった。げに恐ろしや。
***
「しっかし、こっちの世界にもBL好きな女子っているんだなー、久しぶりに姉貴のこと思い出したよ」
推しに怒られるなんて貴重な経験を振り返ってる私の横で、麦酒をぐいぐい飲むさっきのあざとい人間の男。
何だかんだで日も暮れてしまったので、私たちは一緒にギルド内の酒場のカウンターに陣取っていた。
「びーえるじょし? もしかしてファン女子の事? なればあなたはファン男子だね。そう言えば私、ファン男子って初めて会ったかも~」
言って、私も麦酒をぐいぐい喉に流し込む。
「いや、俺は姉貴の影響で多少嗜んでただけだから。しかしまぁ携帯やツブヤイッター、REINみたいのもあるし、どこの世界もあんま変わらないんだなー」
そう言って頬杖をつきつつ、ちょっと型落ちだけど評判の良いドルワーフ社の携帯端末をいじり始める。
時々よく分からないことも言うのだけど、正直このあざとい男と語る萌え語りは楽しかった。
ファン女子同士だと解釈が相容れないとすーぐ「ならば戦争だガチのやつ!」になるのだが、このあざと男は引き際を弁えてくれているので話しやすい。きっと姉貴さんの教育の賜物なのだろうにゃ。
私は腕を組み、携帯端末をいじるあざ男に切り出した。
「ねぇねぇ我が同胞よ、良かったら私と趣味友にならない?」
「だから俺は趣味じゃなくて嗜み程度だから! それよりお姉さんハンターでしょ? 暇なら依頼に付き合ってよ。依頼受けるの初めてだから勝手がわからなくて」
「ぐぬっお友達の件はスルーですか~ちぇ! え~も~、なになに~?」
さらっと話題を変えられてしまったのは悔しいが、本当に困っている雰囲気だったので携帯端末を一緒に見る。
「てか、あんた見かけない顔だと思ったらやっぱり新参の初心者ハンターちゃんだったのね~っで、どの依頼を受注したいの~?」
「これ、このゾンビ狩りのやつ」
「えー! ゾンビなんて臭いだけなのに物好きね~。んーどれど、れ……行く!」
私の目は、その小さな画面に釘付けになった。
「いやさ、ゾンビってゲームや映画でしか見た事ないからどんな感じか興味あって、ん?……行く?」
「行くー! 行きまーす! ほら見て、このゾンビ狩り参加ハンターリストを見て! ダリ様とリュート様も参加ってなってる。これは彼らの健闘とラッキースケベ展開を祈って、我々もはせ参じるしかないのだよあざ男!」
「いや、それお姉さんも健闘しなきゃいけないやつだし、てか、あざ男って俺のことか?」
おっと、うっかり心の中の呼び方が声に出てしまっていた様だにゃ。
「だってあんた名乗らないんだもーん! もったいぶるならあざとい可愛いちゃんって呼ぶよ!」
「だからそのあざといとか可愛いちゃんってなんだよ! 俺は男だぞ!」
そいつは眉を吊り上げて誠に遺憾です! って顔をするが、はいはい、カワイイネー。
「そう言うのはもう良いから、早く名を名乗れ~い!」
言いながら私は、あざ男の携帯端末を奪う。この強奪行為には何の意味もない。
「あーもーこの酔っ払いー、はいはい返してー! はい、良い子ね。俺はイオリ、イオリ・ヒューガですよ~」
携帯端末を私から取り返しながら、あざ男はイオリ・ヒューガと雑に名乗った。何だか同郷っぽくない姓だがそんな事もあるのだろう。
「おっけー、イオリ、イオりんね! 私はメイリン。メイリン・リーよ、よろしくね我が同胞!」
こうして我々は握手を交わし、同胞となった。私とイオりんの感動の出会いはざっとこんな感じ。
ちなみにこの後、ちびちび飲んでた私たちを酔い潰そうとしたハンターの男共に酒をガンガン奢られたんだけど、イオりんが逆に潰し返して「可愛い顔して底なしの大酒飲みだなんて詐欺よねぇ~」って言ったら「仙人なのにザルだから酔拳が使えないんだよなぁ」と、情けない顔で言うその姿が妙にツボって、ゲラゲラ笑ってた私が、悪酔からのリバースをやらかしたりと……色々あった。
まぁ、そこら辺は封印されし黒歴史なのですにゃ~。
「ひゅ~う! ダリ様とリュート様が薔薇を背負って微笑み合ってますにゃ~!」
たまたま見かけてしまった推しの上級ハンター様のツーショットに、思わず植え込みに身を隠して覗き見をする私。
「戦うイケメンカッポー達を間近で見たい一心でハンターなんかになっちゃったけど、日々こんなシーンに遭遇できるなんてグフフ、最の高~、秘密の花園ばんざ~い! ドゥフフ」
「花園つーか、ここギルド前の花壇ですけどね」
「ニ゛ャッ!」
あぁ神さま、この美しい世界を作って下さりありがとうございますにゃ~! と、創造主エレンに感謝の祈りを捧げていれば、ビックリするほど間近から話しかけられて、思わず尻尾がボンと膨らんだ。
目の前の光景に集中しすぎたせいか、不覚にも私は何者かに後ろを取られていたのだ。
「ついでに言うと、微笑み合ってると言うよりアレはどう見てもガン飛ばし合ってますよ?」
背後を取られるなんて、五感に優れる猫獣人として恥ずかしい限りの失態なのだが、それよりも何よりも! 私の高まるハートに水を差すこのスットコドッコイに一言、物申さなければ! っと、勢いよく振り返れば、しゃがんだ私のすぐ後ろで、同じくしゃがみ込み膝に頬杖をつくそいつはいた。
その姿が私の目に入った瞬間、我が脳裏をとある言葉が駆け抜ける——
「あっあざとーい!」
「はぁ?」
飛び退きながら口をついた言葉に、何言ってんだ? って顔でそいつは私を見やった。
「にゃっ、にゃんだお前、新顔か!?」
そいつは若い人間の男で、人間にしては珍しいくらい顔が整っていた。だが、男前とかハンサムと言うよりはなんだか可愛い。
中性的とかでは無い。ちゃんと男なのだが、その青年のような少年のような顔に綺麗な若葉色の瞳が並んで、その目に少しかかるやや癖のある栗色の髪は、襟足だけを長く伸ばし括っていてそれがこの人間の男に似合っていて、とても、とてもよく分かってるな髪結屋よ……って感じ!
あとねぇ、こやつお肌がめっちゃ綺麗で、私は身を乗り出して見入ってしまう。キメ整い過ぎにゃんですけど?
「なっ何? そんなガン見されると怖いんですけど!」
引き気味で何か言ってくるけど、気にしないで観察を続ける。
というか、詰襟で横にスリットが入った裾の長いトップスという特徴的な服装から、私と同じ東の大国の出のようなのだが……顔だけじゃなく、その民族服の着こなしもあざとくて!
トップスは適度に付いたしなやかな筋肉を見てね! と、ばかりにピタッとしているし、本来ならノースリーブから見えるはずの剥き出しの肩は、フード付きのジャケットをゆるっと羽織っているので、露出はチラ見せ程度に抑えているのもツボを心得てる。
そんな上半身のチラ見せあざとさと対照的に、ボトムスは一般的な民族服のデザインよりゆったりとしていて下半身のラインは一切みえずガードが固い! それがまたこいつに似合っててあざと可愛くてな~。はい、そろそろ語彙力が来てにゃー!
「何なのさあんた! そのトップスのスリット! やたら深いので脇腹チラ見えしてますにゃー!」
「なっ何と言われましても?」
突然の私の指摘に、脇腹を抑えながらうろたえる人間の男。
「その上から下まで狙いすましたかのような、顔面含むトータルコーディネートよ! 自分が可愛いって知ってるでしょ! メイちゃんは上げ膳据え膳より不足しているところに萌えを見出していく所存なので、過ぎたるあざとさは胃もたれします!」
殆ど言いがかりだが、世の中はね、声の大きい方が勝つんだよ。
「この服は養父が作ってくれたモノですし! 大体、猫耳と尻尾つけた女子にあざといとか言われる筋合いないですがっ!」
最初はキョトンとしていたそいつも、流石に口答えをしてくる。
「はっはーん、メイリンお姉さんは分かってるんですよ! 君のその襟足の尻尾毛を、お相手に掴ませて嫌よ嫌よも好きのうち、あんな事やこんな事をしちゃうんdっ「声大きいし、落ち着け!」
ばちん! っと、こ気味良い音と共に額に軽い衝撃があり反射的に「痛いニ゛ャッ」っと両手で額を押さえたが、手加減されたデコピンは全くもって痛くはない。
「あっ、ごめん。つーかホラ、こんな騒いでたらあちらさんに見つかるぞ」
「おぉっと~、私としたことが眼福タイムを逃すところでした!」
律儀に謝る男はひとまず置いといて、再び花園に視線を戻すとイケメンハンター様達はその距離を縮めていた!
「ウホッ ご褒美です~! あそーれ、かーべーどん♪ かーべーどん♪」
「いや、ありゃどう見ても胸倉をつかみ合ってるようにしか……まぁ確かにあの二人が並んでると絵になるが、あんな険悪な当人たちに、壁ドンコールしてるの聞かれたら絶対にエライ目に合うぞ」
こいつはどうやら私に対する敬語を捨てる事にしたらしい。
獣人や古代種は人間より長生きで見た目だと歳なんか分からないし、社会的地位とかもあったりで色々あるから、だから人間は見た目問わず我々に対して敬語で話しかけて来るのが常なのだが、敬語やめたって事は……んーまっいっか。メイちゃんそう言うの気にしないし。
「でしょでしょ~不良系イケメン白魔道士のダリ様と、真面目が服着て歩いてる系美男子なのに狂戦士なリュート様! 幼馴染なのに犬猿の中で、容姿も戦闘スタイルも全然違うけどそこが良いのよねぇ~」
壁ドンと言う単語が出て来て、おっ こいついけるくちか!? と、ついノリノリでお返事しちゃう私。
「確かに、素行悪そうなダリさん? が白魔道士で、生徒会長みたいなリュートさん? が狂戦士ってなんかぐっとクルものが……いや、俺のはそういうの趣向じゃ無いからな! ギャップカッコイイ的なやつだからな! うんうん」
何やら一人で納得している。しかし、セイ……
「セイト、カンチョウとは?」
「カンチョウじゃありません! こっちの話。まぁ、姉貴だったら初見の印象はダリリューとか言いながら、リュートさんのドS攻めからはじまる。リューダリすれ違い泣ける系で一本描きそうな気がする。姉貴の描く本そんなのばっかりだったなぁ」
膝に両肘をついて遠い目をするそいつ。
そのポーズもあざといなお前と思いつつ、私は後半のつぶやきに食いついた。
「なっ何それめっちゃ読みたいやつ! 私も断然リューダリで、一時は歩み寄りを考えるのに最後まですれ違う二人の切ない悲恋がいい!」
「いやそこはハピエンにしろよ」
拳を握る私にビシッと裏拳ツッコミが入る。
「いいえ、これはハピエンなのよ! だって死ぬまでお互いを想い続けるんだからハッピーじゃない?」
「それは俺にとって限りなくバッドエンド! はい無理、解釈違いでーす! 解散解さーん」
つーんと解釈違いを告げられた。ぐぬぬっ
「こっのハピエン厨がぁぁぁ!」
「なんだこのこじらせ猫娘がぁぁぁ!」
などとギャイギャイやってるうちに、ヒートアップしてどっちが攻だとか受だとか大声になっちゃって、ダリ様とリュート様に見つかった私たちは、ダリ様の高位浄化魔法(対アンデット用)で浄化されかけ、危うく生きたまま成仏させられる所だった。げに恐ろしや。
***
「しっかし、こっちの世界にもBL好きな女子っているんだなー、久しぶりに姉貴のこと思い出したよ」
推しに怒られるなんて貴重な経験を振り返ってる私の横で、麦酒をぐいぐい飲むさっきのあざとい人間の男。
何だかんだで日も暮れてしまったので、私たちは一緒にギルド内の酒場のカウンターに陣取っていた。
「びーえるじょし? もしかしてファン女子の事? なればあなたはファン男子だね。そう言えば私、ファン男子って初めて会ったかも~」
言って、私も麦酒をぐいぐい喉に流し込む。
「いや、俺は姉貴の影響で多少嗜んでただけだから。しかしまぁ携帯やツブヤイッター、REINみたいのもあるし、どこの世界もあんま変わらないんだなー」
そう言って頬杖をつきつつ、ちょっと型落ちだけど評判の良いドルワーフ社の携帯端末をいじり始める。
時々よく分からないことも言うのだけど、正直このあざとい男と語る萌え語りは楽しかった。
ファン女子同士だと解釈が相容れないとすーぐ「ならば戦争だガチのやつ!」になるのだが、このあざと男は引き際を弁えてくれているので話しやすい。きっと姉貴さんの教育の賜物なのだろうにゃ。
私は腕を組み、携帯端末をいじるあざ男に切り出した。
「ねぇねぇ我が同胞よ、良かったら私と趣味友にならない?」
「だから俺は趣味じゃなくて嗜み程度だから! それよりお姉さんハンターでしょ? 暇なら依頼に付き合ってよ。依頼受けるの初めてだから勝手がわからなくて」
「ぐぬっお友達の件はスルーですか~ちぇ! え~も~、なになに~?」
さらっと話題を変えられてしまったのは悔しいが、本当に困っている雰囲気だったので携帯端末を一緒に見る。
「てか、あんた見かけない顔だと思ったらやっぱり新参の初心者ハンターちゃんだったのね~っで、どの依頼を受注したいの~?」
「これ、このゾンビ狩りのやつ」
「えー! ゾンビなんて臭いだけなのに物好きね~。んーどれど、れ……行く!」
私の目は、その小さな画面に釘付けになった。
「いやさ、ゾンビってゲームや映画でしか見た事ないからどんな感じか興味あって、ん?……行く?」
「行くー! 行きまーす! ほら見て、このゾンビ狩り参加ハンターリストを見て! ダリ様とリュート様も参加ってなってる。これは彼らの健闘とラッキースケベ展開を祈って、我々もはせ参じるしかないのだよあざ男!」
「いや、それお姉さんも健闘しなきゃいけないやつだし、てか、あざ男って俺のことか?」
おっと、うっかり心の中の呼び方が声に出てしまっていた様だにゃ。
「だってあんた名乗らないんだもーん! もったいぶるならあざとい可愛いちゃんって呼ぶよ!」
「だからそのあざといとか可愛いちゃんってなんだよ! 俺は男だぞ!」
そいつは眉を吊り上げて誠に遺憾です! って顔をするが、はいはい、カワイイネー。
「そう言うのはもう良いから、早く名を名乗れ~い!」
言いながら私は、あざ男の携帯端末を奪う。この強奪行為には何の意味もない。
「あーもーこの酔っ払いー、はいはい返してー! はい、良い子ね。俺はイオリ、イオリ・ヒューガですよ~」
携帯端末を私から取り返しながら、あざ男はイオリ・ヒューガと雑に名乗った。何だか同郷っぽくない姓だがそんな事もあるのだろう。
「おっけー、イオリ、イオりんね! 私はメイリン。メイリン・リーよ、よろしくね我が同胞!」
こうして我々は握手を交わし、同胞となった。私とイオりんの感動の出会いはざっとこんな感じ。
ちなみにこの後、ちびちび飲んでた私たちを酔い潰そうとしたハンターの男共に酒をガンガン奢られたんだけど、イオりんが逆に潰し返して「可愛い顔して底なしの大酒飲みだなんて詐欺よねぇ~」って言ったら「仙人なのにザルだから酔拳が使えないんだよなぁ」と、情けない顔で言うその姿が妙にツボって、ゲラゲラ笑ってた私が、悪酔からのリバースをやらかしたりと……色々あった。
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