THE INNOCENT MANIAC

冬瓜咲ナガ

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変わった風向き

初めての任務

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オリヴィアと歌丸は、双眼鏡を使い発信源に焦点を合わせた。
「あれが発信源、オリヴィア、状況は?」
オリヴィアは、発信源のパソコンの隣にある大きなアンテナを指さし、こう話した。
「あの大きなアンテナから大量の電波が放出されています。それによって大量の電力も消費している模様です。このままでは一般市民やスパイチームが使う電力まで吸い取られてしまう可能性があります。しかも少し離れたところには電波による健康被害を起こさないようにするためか、防護服をまとった護衛が数名ついています。電波による健康被害も考慮すると、戦闘は避けて、素早くプログラムを停止させる必要があります。」
「敵に見つからずに素早くことを終わらせないと一貫の終わりってことね」
「なるべく軽装のほうが動きやすくていいかと思います。」
オリヴィアと歌丸は戦闘を避けつつ素早く動くため、防弾チョッキなども外し、私服同然のような軽装になった。
「オリヴィア、私が敵の囮になるからその間にプログラムを停止させて。」
「私一人で停止させるんですか?てっきり二人でやるのかと…」
「オリヴィア、単独行動に危険はつきものだけど、団体行動はもっと危険だよ。散らばって行動すれば誰かが倒れても、誰かがプログラムを停止させることができれば成果が得られる。私は戦闘のほうが専門だからハンドガンくらいあればなんとかできるよ。オリヴィアは私のことは気にせず早くプログラムを停止させることだけ考えればいいよ。」
オリヴィアの肩は少し震えていた。
「オリヴィア、よく聞いて、貴方がスパイチームのDAMNに選抜されたってことには必ず何か理由がある、もっと自分に自信をもって、貴方の本質を見抜いた本部長は、貴方の何を見抜いたのかよく考えてみて。DAMNのメンバーの中で一番劣ってるとか、戦闘ができないと足手まといとか、そんな余計なことは考えなくていい、今必要なのはあなた自身の実力。貴方今自分に何ができて、何ができないかよくわかってるはず。今は戦闘は私に任せればいいから、プログラムを停止させることだけを考えて。良い?」
オリヴィアは少しうつむき加減に軽くうなづいた。

そして歌丸の合図の元、任務が開始された。

歌丸とオリヴィアはお互い90度反対の方向へ走り、歌丸は手に持っていた硬貨を道に放り投げ、近くにいた2人の敵をおびき寄せた。その間オリヴィアはパソコンの元まで走り、持っていたUSBメモリを差し、プログラムの停止を開始した。

(パスコードも入力したし、あとは90秒ほどで停止プログラムが完了して、このプログラムは発動しなくなる。しかも私の作ったプログラムには既存のプログラムを破壊するまでがセットだから、完了すればこのプログラムは完全に使い物にならなくなる。あとは待つだけ…」

「そこで何をしている!動くな!」
一人の護衛に見つかった。オリヴィアは咄嗟に背後の倉庫内に身を潜めた。
緊張と恐怖で心拍数は上がり、対して動いてもいないのに息が切れている。
(私、死んじゃう!)
「ママ…」
オリヴィアはまたしても自分の小さい頃の記憶を思い浮かべていた。
しかし背後には敵の護衛が近づいていた。

「どうした、いやなんだかコインの音がした気がしたんだが…」
「気のせいじゃないか、さっきもちっさい鳥が食料あさりに来ただろ、また鳥が来たんじゃないか?」
「んー、気のせいか…」
すると護衛は持っていた携帯に目を落とした。
「おい、プログラム実行中のパソコンのあたりで子ネズミがいたらしいぞ、俺たちも向かおう」

(子ネズミ?オリヴィアのことか!)
歌丸は今にも飛び出して護衛2人にとびかかろうとしたが、戦闘は避けるということと長居はできないことと、何よりハンドガン一つの軽装で武装した2人の男に敵うのかという不安から頭が混乱していた。
「茶髪の女が食糧庫に逃げたのか、ここにも食料を狙うやつがいるなんてな、さっさと捕まえて捕虜として輸送するぞ」

(オリヴィア!)
歌丸はオリヴィアが無事に逃げ切るか、自分が身を挺して守りに行くかの選択を余儀なくされた。


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