THE INNOCENT MANIAC

冬瓜咲ナガ

文字の大きさ
3 / 4
変わった風向き

異変

しおりを挟む
「千織先輩、このグラフ見てもらっていいっすか?」
赤嶺は神妙な面持ちで、タブレットに映るグラフを見せてきた。
「これは、OWL EYESフクロウの目の活動が活発になってきている証拠で、おととい話した僕の話覚えてます?」
「OWL EYESが民間人やスパイチームの施設の電波をジャックしようとしているって話?」
「そうっす、それについての話で、このグラフはスパイチームの本部が感知した、OWL EYESがどれくらいの強さで電波をジャックしようとしたのかの強度グラフっす。めちゃくちゃ簡単に言うと、敵勢力が強さを増しているってことっす。」
棒グラフを見る限り、日を増すごとにだんだん強度が増して言っているのがわかる。
「そして今日の部分見てください。数値が急激に増加しているんすよ、情報が少なくて不明っすけど、おそらく電波をジャックするための新たなプログラムを開発したんじゃないかと…」
「なるほど、確かにその可能性はある、最近本部との連絡が取りにくくなっているのもそのせいかもしれない。早急にプログラムか、その装置を破壊しないと民間人の通信部とも連絡が取れなくなって、連携が取れなくなる。赤嶺、発信源を追跡して。今から私が向かう」
「千織先輩一人でっすか?僕も行きます。僕にだって千織先輩のサポート位できるはず!」
歌丸は発信元まで行く準備をしながらこう答えた。
「ダメ、赤嶺は電波系ので気分悪くするから私の足手まといになる。そんなこと自分が一番よくわかってるはず」
「でも、いつもやってれば慣れるって先輩言ってるじゃないっすか!」
「今回の任務はミスできないし、強力な電波を発信してる場所ならセキュリティも甘くないはず、そんな中万全じゃない体調で、なんて、そんな甘いこと言ってられない。赤嶺の体調のことも心配してるんだから、あんたがよくできる隊員っていうのは私が一番よくわかってるし、私にとって良い後輩だけど…、良い後輩だからこそ大事にしたい。」
「先輩…、僕、ここから先輩のこと応援します。サポートはしたいけど、足手まといにはなりたくないので」
「わかってると思うけど、強力な電波の発信源ではドローン飛ばしたりとか、電話もできないからね。」
「わかってます、帰ったら先輩の好きなパンケーキでも焼いて待ってます。」
歌丸はその言葉を聞いて口元が緩んだ。
「わかった、めっちゃおいしいパンケーキ期待してる」
2人がそんな会話をしていると、廊下からオリヴィアが顔を出した。
「オリヴィア、私…」
「私も行きます」
歌丸と赤嶺は、オリヴィアから出たその言葉に戸惑いながらこう答えた。
「何言ってるんすか…」
「オリヴィア、今回の任務は…」
「私、あの大男たちに捕まった時に見たんです、簡易デスクの上に置いてある紙に、その発信源のプログラムを止めるパスコード。私それ覚えてます。」
歌丸と赤嶺は顔を見合わせ2人とも開いた口が塞がらない。
それでも歌丸は持ち直しこう答えた。
「銃は持てるようになった?」
「…はい、頑張ります!」
オリヴィアは落ちかけた眼鏡を片手で押し上げ、気合十分に返事をした。

それからオリヴィアと歌丸は早急に出発の準備を済ませ、車へと乗りこんだ。

「行ってらっしゃいませ、オリヴィアさん、歌丸さん」
「千織先輩、おいしいパンケーキ焼いて待ってるんで、急いで帰ってきてくださいね」
「わかった、5時間くらいで戻るよ」
歌丸はそう言うとエンジンをかけ車を出発させた。
オリヴィアは助手席に乗り、後ろを振り返り基地の出入り口にたたずむ2人を眺めていた。
そんなことはつゆ知らず、車は前へ進み続ける。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...