伝染病-人食-

くろいぴあすのひと。

文字の大きさ
2 / 4

伝染病・2

しおりを挟む
明かりが、ついていないのだ。

住宅地で周りに家が沢山あるのに一つも、いやむしろ学校などの施設さえも明かりが灯っていない。

恐怖感。未知の世界に来たのではないかという、恐怖感。

ハッとして意識を呼び戻すと後ろからズシン、ズシン・・・と重い足音。

後ろを振り返るとクマのようなウサギのような、壊れかけの人形のような、

ボタンで作られた右目は糸がほつれ取れかけている。

「・・・なんだあれっ・・・!」

血の気が引いて鞄を投げ捨て走る。

少し走ったところっで左足が動かない。

石に躓いて転んだ。それに気付くのは体が宙に浮いた後で。

「・・・痛っ・・・!」

こんなことをしているべきではない。逃げなければ。

今はそんなことはできない。

ただ目の前の敵が近づくのを見るだけで。

そんなことを思っていると横から玉のようなものが飛んでくる。漫画か何かで見たことがある。手榴弾・・・?

その手榴弾は破裂すると煙を放ちながら敵のほうに爆破が流れゆく

すると後ろから誰かがやってきて言う。

「・・・あーあー全く、こんな奴に苦戦して・・・」

その人の目には僕はなくて、目の前の化け物と話しているようだ。

対してその化け物はボロボロで今にも崩れそうだ。

僕を助けたその人というのは長い金髪に大きなピンクの四角いゴーグルのようなものに白衣の男性で、

後ろ姿なら女性に見えてもおかしくないほどだった。

「お・・・bえtえろ・・・よ?」

キュラキュラと化け物は消えた。

「あ、あの・・・」

「林ショウ。」

名前を、確かに呼ばれた。こいつは僕を知っている・・・?

「覚えていた時の宿題だ。」

「東翔病院に来い。受付で[ゼロ]を出せって言え。」



次目を覚ましたのは明かりを灯した、さっきの状況の前だった。

「・・・ゼロ?」

どこかで聞いたことがある。

そうだ。確かさやかの・・・

さやか?なんでそこでさやかが出てくるんだ?

確かさやかが十年前くらいに・・・三人で遊んでた時・・・

三人?

僕とさやかと・・・

もやがかかったみたいに思い出せない。

もう一人は・・・

「・・・ちぐさ?」

遊んでた子供とは違う、聞き覚えのある名前が・・・

「あれは・・・ハトの・・・いや、ボクの妹とハトの妹と遊んでた・・・

ショウくんだっけ?・・・まさか彼が・・・かわいそうだねえ。

僕の理想郷作りの餌食になっちゃって」

近くの病院からショウを見ていた誰かが言った。

見られていた当の本人は、きっと気付かずにそのまま家に帰るのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...